第漆拾参話 83.7万年前の地球の様子を教えて
## 一言でいうと
> **約83.7万年前=「中期更新世への転換が進み、氷期の大型化が目立ち始める一方、アフリカでは人類の進化を左右する気候変動が激しくなっていた時代」**です。
### 氷河時代の転換点
83.7万年前は、**中期更新世移行(MPT)の終盤**にあたります。
それまでの氷期サイクルは比較的短い周期でしたが、この頃には大規模な氷床が発達し、地球の気候変動は次第に現在に近い**約10万年規模の氷期サイクル**へ移っていきます。
北半球の氷床が拡大すると、
**氷床拡大 → 海面低下 → 陸橋の出現 → 生物の移動**
という連鎖も起こります。
### アフリカ
アフリカでは、湿潤な時期と乾燥した時期が大きく入れ替わります。
湖が巨大化したかと思えば縮小し、森林が広がった地域がサバンナへ変わる。
こうした**環境のモザイク化と変動**が、人類の進化にとって重要でした。
この頃の人類は単純な「森林の住人」ではなく、森林・草原・湖畔など、さまざまな環境を利用しています。
### 人類
ホモ・エレクトス系の人類が依然として重要です。
ただし、ここから人類史は少し面白くなります。
アフリカでは、後の**ホモ・ハイデルベルゲンシスなどにつながる中期更新世の人類**へ向かう進化が進み始めています。
つまり、
> **「ホモ・エレクトスの世界」から「後のネアンデルタール人や現生人類につながる人類の世界」へ**
移り変わっていく途中です。
### 火と石器
火の利用はこの頃には人類の生活にかなり重要になっていたと考えられます。
また、アシュール文化の握斧なども使われ続けています。
石を割って使うだけではなく、**意図した形を作る技術が非常に長期間伝承されている**のが特徴です。
### 動物たち
大型哺乳類の世界は健在です。
ゾウ類、サイ類、ウマ類、カバ、ウシ類などが各地を歩き、その周囲には大型ネコ科やハイエナ類などの捕食者がいました。
海では大型クジラ類が泳ぎ、**メガロドンもまだ存在**します。
ただし、地球の寒冷化が進むにつれて、海洋・陸上の生態系も少しずつ姿を変えていました。
### 83.7万年前の重要性
この時代は、単独の派手な事件というより、
**地球の気候システムが大きく変わる
↓
生態系が揺れる
↓
人類の進化・分布も変化する**
という長い転換点として見るのが面白いところです。
> **83.7万年前――氷河時代のリズムが変わり始める地球で、ホモ・エレクトスの世界は次の人類へと静かに姿を変え始めていた。**
この時代からは、**「環境が変わる」だけでなく「人類そのものが変わっていく」**ことを章の軸にすると、かなり景色が変わります。




