第漆拾弐話 94.2万年前の地球の様子を教えて
## 一言でいうと
> **約94.2万年前=「氷河時代の大きな気候変動のただ中で、アフリカでは人類が環境の揺らぎに適応し、ユーラシアではホモ・エレクトス系の人類が広い範囲に暮らしていた時代」**です。
### 氷河時代の地球
94.2万年前は**更新世前期の終盤**です。
この頃は、いわゆる**中期更新世移行(MPT)**が進行中。
氷期・間氷期のサイクルが変化し、北半球の氷床がより大規模に発達する方向へ向かっていました。
そのため地球では、
* 氷床の拡大・縮小
* 海面の大幅な上下
* 草原・森林の拡大縮小
* 動物の生息域の移動
が繰り返されています。
### アフリカ
アフリカでは乾燥化傾向が続き、**森林とサバンナのモザイク**が重要な環境になっています。
湖も気候によって大きく変動しました。
特に東アフリカでは、湖が拡大すると周辺に豊かな生態系が形成され、乾燥すると急速に縮小するというダイナミックな環境変化が起きています。
こうした環境変動は、人類にとっても大きな選択圧になったと考えられます。
### 人類
この頃も**ホモ・エレクトス系の人類**が重要です。
アフリカだけでなく、
**西アジア・コーカサス・東アジア**
などに人類が広がっています。
そして重要なのが、約100万年前という時点では、人類がすでにかなり長期間にわたってアフリカ外で生活していたことです。
つまり、
> **「アフリカから脱出した人類」ではなく、「アフリカの外に定着した人類」**
を見る時代です。
### 石器
アシュール文化の握斧など、計画的に加工された石器が引き続き使われています。
一方で、東アジアなどではアシュール型石器が少ない地域もあり、人類の技術文化は地域ごとに異なっていました。
### 大型動物
陸上では依然として大型哺乳類の時代です。
ゾウ類、サイ類、ウマ類、ウシ類、シカ類などが草原や森林を移動し、それを大型肉食獣が追っています。
そして人類も、火と石器を使いながらこの生態系に参加しています。
### 海
海には大型クジラ類が生息し、**メガロドンも健在**です。
ただし、氷期・間氷期による海面変動が大きいため、現在とはかなり違った海岸線が何度も現れていました。
---
### 94.2万年前の地球
この時代の面白さは、**地球そのものが大きく揺れていること**です。
気候が変わる
→ 植生が変わる
→ 動物の分布が変わる
→ 人類も移動・適応する。
その変動の中で、人類はすでにアフリカを越えて広い世界に存在しています。
> **94.2万年前――氷床と海と草原が大きく姿を変える地球で、ホモ・エレクトスは環境の揺らぎをものともせず、旧世界の各地を歩いていた。**




