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アンチコメント・ラブソング~どうしようもない炎上配信者の私に恋をしたのは 隣の部屋に住む、ラブソングの神様でした。  作者: 瀧ことは
M02 炎上ゲーム配信者、隣人宅に潜入する

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5/8

M02《1》《降臨キタ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!》

 それから数日、配信をしながらも注意深くインターネット上を周回していたが、《ウラオモテヤマネコ》の個人情報が流出してくることはなかった。

 最悪の事態は免れたらしい。隣人男子とも顔をあわせることはなかったので、このままこう、ゆるくぬるくフェードアウトしてくれたらいいな……と人任せにずいぶんバイアスのかかったことを考えていた。


 そんなある日、寧子が大学から帰ると、自宅の前に山のように「置き配」が置かれていた。


「あちゃー……フラれ記念でずいぶん買ったもんな……」


 基本は寧子のマンションは、オートロックでフルタイムロッカーもある。だがこの量が一度に配送されると到底ボックスに入りきらないし、他の部屋への配送のついでにドアの前に置いていったのだろう。「置き配可」の指示をしていあるものばかりだから、配送業者を責めるつもりもない。


(むしろいつもこんなにたくさんありがとうございます……)


 セールだからといって、自宅までこれだけの量を運んでもらう、時代とシステムに心から感謝をしながら、寧子は自宅の鍵をあけ、ぽいぽいとろくに確認もせずにダンボールを室内、ひとまずリビングダイニングに続く廊下に置いて、帰宅を済ませた。

 軽く夕食をたべ、髪をひとつにくくったら、眼鏡をかけてマスクをして、


「よしじゃあ、いっちょ、やりますか!」


 カメラヨシ、マイクヨシ、戸締まりも、ヨシ!


 本日のウラオモテヤマネコ雑談配信は

【セールで買ったもの開封配信】

 だった。

 インスタント食品に、これからはじまる夏に向けてのケア商品が中心。

 いくつか広告宣伝の案件として引き受けたものもまざっており、「あーこれは案件案件。でも使ってみよ~。悪くない感じだね~」と言いながら次々開封していく。

 特にキラーな話題もないため、視聴者数も多くはない。ゆるゆると、住所だけはバレないように手早く送り状を剥がしながら配信を続けていた、その時だった。


「ん!!!??」


 バリッとダンボールをあげた寧子が驚愕した。


「んん!? んんん!??」


《?》《どした?》《大人のオモチャでもでてきた?》


「いやいやいやいやいや!? 嘘でしょ!?」


 そこで、本来、寧子は箱を閉じて中身を隠す、べきだった。本来。

 リスクヘッジが出来ているなら。そしてそんなリスク管理が出来るなら……炎上配信者にはなっていない、わけで。


「ねぇこれ、って……………」


 ば、とカメラの前に露わにしたのは、でかでかとしたロゴの。

 ──『witcheS2』


《!》《!!!???》《ちょwwww》《え、まさか》《あたってたのかよ!!》


「嘘でしょ絶対あたってないんだけど!!!?????」


 witcheS2こと通称『S2』は今一番人気の新機種で、発売してからもずっと品薄が続き、通販やフリマサイトなどにもほとんど出回っていない。購入経路は公式サイトもしくは販売店での抽選。

 それも、当選者がきちんと入金操作をしなければ購入とはならないはずだった。当選の連絡もそうだし、入金をした、記憶が、ない。


「ええええええええええなんで!?」


 どこからの荷物!? とくちゃくちゃにした荷票を開いたヤマネコ──寧子はさあっと青くなった。宛先である、名前、に、見覚えは、ない。なかったが。住所の番地から察するに。


「お隣の荷物じゃん、これーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


 この日一番の、《!》と《!?》が配信を駆け抜けていった。


《え、ヤバ》《盗難?》《ついに》《ウラオモテ逮捕ヤマネコ》《泥棒ネコさんチーーッス!》


「違う、ほんと違うの! あーーーでもやばいやばいやばいどうしようこれ、開封しちゃったよーーーーーーー!!!!!」


 燃える。ぜってー燃える。今回の配信は燃える。おれはくわしいんだ、と寧子は心中絶望した。

 実際どこに置いてあった箱なのかもわからないので、配達員と寧子、どちらに否があるのかもわからない。

 箱さえあけていなければ、そうっと見なかったことにして、隣の部屋の前に置いてくることも出来たのだが……。

 けれど、開けた。開けてしまった。これは一言、言わなければならないだろう。


 わざとじゃないんです。


 外箱を開封しただけでゲーム機には手をつけてませんし電源もいれてませんから!!


《てかあれ?》


 絵に描いたようなお祭り騒ぎのコメント欄の中に、書き込み。


《ヤマネコ、隣人バレしてなかった?》


 そ、それを言うな今~~! と寧子は追加で絶望した。してたよ! まさにバレてた隣人氏の荷物だよ~~!!


《え、そうなの?》《家バレやば》《いっそ呼んでこいよ隣人》《ここで隣人いたら神展開》


 あるか~そんな展開が! と画面に叫んだ、その瞬間だった。


 ポン! と画面上に花火が上がった。それは投げスパチャの音だった。は? 今なんか投げる要素あったか!? と寧子が画面を確認すると、あまり見覚えのないアカウント名から、1002円という、謎な金額で。

 コメントは──。


《持ってきてくれてもいいですよ。在宅してます》


「は……………………???」


《降臨キタ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!》


 盛り上がり続けるコメント欄。上がり続ける視聴者数。

 こんなの絶対、イタズラのなりすましでしょ、とスルーするべきだった。普通だったらそうする。でも。

 アカウント名の《fossi》に見覚えはなかったが、1002というその文字は間違いなく……

 ちらりと寧子が、くしゃくしゃの荷札を見る。


 それは、間違いなく、隣人の部屋番号だった。

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