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心剣士と灰銀の魔女  作者: リュカギン
第三章 ユーナベルム奪還作戦

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第11話 EP03-02 ユーナベルムの実力

自分が読みたい物語を、趣味で書いてます。

オリジナル小説のみです。

 いよいよ、ユーナベルム奪還だっかん作戦さくせん開始かいしされる。


 もりなか陣地じんちで、人間の軍(こっち)陣容じんようまわす。


 オレのは『新実にいみ 健二けんじ』。内地ないちでは、中学校ちゅうがっこうかよ中学ちゅうがく二年生にねんせいの、ごく普通ふつう男子だんし外地がいちなら、少女しょうじょ武器ぶきのこしたつよ記憶きおくたたか魔法まほう使つかい『心剣士しんけんし』である。


 夏休なつやすみの終盤しゅうばんに、中学校ちゅうがっこう制服せいふく半袖はんそでのワイシャツにくろのスラックスにくろのスニーカーでいる。こしには、『ちょう戦闘狂せんとうきょう少女しょうじょおもいののこ武器ぶき』を数本すうほんさげる。


 陣容じんようなにも、もり木々(きぎ)やぶしげみ、風雨ふううけずられた地面じめん高低差こうていさ視線しせんとおらず、周囲しゅうい味方みかたすら把握はあくむずかしい。

「コッチの戦力せんりょくって、どんなかんじっすか?」

 オレは、ちかくで部下ぶか作戦さくせん最終さいしゅう確認かくにんをするレオン指揮官しきかんいた。


 レオンは、いかにも前線ぜんせん騎士きしっぽい、無精髭ぶしょうひげでボサボサ金髪きんぱつの、オレのおやより年下とししたであろうわかめのオッサンだ。体格たいかくがいいし、かお大小だいしょう傷痕きずあとがあって、全身金板鎧フルプレートメイルまとい、大剣グレートソード背負せおって、戦場せんじょうたたきあげてきたかんじだ。


 レオンたい五十名ごじゅうめい指揮官しきかんでもある。

 名簿めいぼ登録とうろくする代替だいたい身元みもと用意よういできる人数にんずう五十名ごじゅうめい内訳うちわけは、指揮官しきかんレオン、レオンたいのサポート隊員たいいん四名よんめい、コンブ、ユーナベルムの騎士きし兵士へいし四十三名よんじゅうさんめい、オレ、である。


兵数へいすうやく二万にまん総指揮そうしきは、青雨ブルーレイン騎士団きしだんしん騎士団長きしだんちょうだ。ここ数年すうねん功績こうせきめぐまれていない名家めいか長子ちょうし初陣ういじん、といた」

 おっ?! ちぶれた名家めいかのボンボン騎士団長きしだんちょうなんとかして手柄てがらをあげさせたい、みたいなかんじか? はじまるまえから不安ふあんになるな。

自分じぶんたちの配置はいちは、布陣ふじんはし騎士団きしだん未満みまんちいさなたいあつめた合同ごうどう部隊ぶたいだ」

 レオンたい騎士団きしだん未満みまんちいさなたいだから、あつめの部隊ぶたいぜられるのが道理どうりだ。


ってのとおり、自分じぶんたちのたい五十名ごじゅうめい単独たんどく作戦さくせんちがって、参加さんか兵数へいすう誤魔化ごまかしがかないからな。たった五十名ごじゅうめいで、ユーナベルムの方々(かたがた)にはもうわけないかぎりだ」

まったくもって、そのとおりである」

 壮年そうねんのユーナベルム騎士きしが、オレとレオンの会話かいわ参加さんかしてきた。

みなが、ユーナ王女おうじょさま御守おまもりしともたたかいたいと、従軍じゅうぐんねがた。そのなかからのわず四十三名よんじゅうさんめい選抜せんばつ大変たいへんだったのである」

 壮年そうねんのユーナベルム騎士きしが、たからかにわらった。わらいながら、ユーナベルムのあつまりにもどっていった。


 ユーナベルムのよろい装飾そうしょくのパーツがおおくゴテゴテしていて、かりやすい。

 全身金板鎧フルプレートメイルはマントまで金属製きんぞくせいにしちゃったのか?、ってくらい多重たじゅう勇壮ゆうそうだ。重装金属鎧ヘビーアーマーも、儀礼ぎれいようみの過剰かじょう装甲そうこうかん軽装金属鎧ライトアーマー急所きゅうしょまも金属きんぞくパーツすら、シンプルな円形えんけいではなく、カクカクでとがってる。


 そんなのがあつまってる姿すがたは、たのもしいをえてこわい。中身なかみ猛者もさ猛者もさしすぎて、まとうオーラがオドロオドロしすぎる。中心ちゅうしんにいるのが、灰銀色はいぎんいろながかみしろいドレスのユーナ王女おうじょいま偽名ぎめい『コンブ』の美少女びしょうじょってのが尚更なおさら


   ◇


総指揮官そうしきかん実戦じっせん不慣ふなれなかんじっすかね? 魔物まものがわ有利ゆうりもりなか布陣ふじんしたり」

「それはですね」

 サポート隊員たいいん一人ひとり深緑色ふかみどりいろかみおんな兵士へいしこたえる。レオンたいはん戦闘員せんとういんで、普通ふつう円形えんけいパーツの軽装金属鎧ライトアーマーまとう。

平地へいち戦闘せんとうになった場合ばあい、ヴォモスを足止あしど可能かのう戦力せんりょくいからだと推測すいそくできます。森林しんりん内部ないぶであれば、障害物しょうがいぶつとなる木々(きぎ)視界しかいわるさで、こちらの戦力せんりょくでも十分じゅうぶん対抗たいこう可能かのうです」

「なるほどっす」

 われてみれば、そりゃそうだ。前回ぜんかいは、赤薔薇レッドローズ騎士団きしだんがヴォモスを正面しょうめんから足止あしどめした。あんな超絶ちょうぜつ戦力せんりょくいくつもあるわけないか。

当然とうぜん森林しんりん内部ないぶでの魔物まもの急襲きゅうしゅうと、視界しかいわるさによる友軍ゆうぐんとの連携れんけいむずかしさのリスクはあります。どちらのリスクがたかいかで、今回こんかいはヴォモスを危険視きけんししたのでしょう」


作戦さくせん開始かいし時刻じこくだ! 全軍ぜんぐん、ユーナベルムの城下町じょうかまちかこかべ目指めざし、前進ぜんしんせよ!」

 伝令でんれい兵士へいしたからかにげた。

 える範囲はんいだと百人ひゃくにんくらいだけど、たぶん二万にまんへい一斉いっせいうごした。もりのあちこちで、とり羽搏はばたきと、ごえさわがしくひびいた。


   ◇


 もりなかあるいて、呆気あっけなく、かべまえ到着とうちゃくした。城下町じょうかまちもりへだてる、たか堅牢けんろう石積いしづ灰色はいいろかべだ。もりなか魔物まもの襲撃しゅうげきは、かった。


 かべおおきくくずれている。そこに、たくさんの魔物まものふさがる。魔物まものさきには、廃墟はいきょ瓦礫がれきだらけのもと城下町じょうかまちえる。

 オレたちのいるほうかべ手前てまえもりは、木々(きぎ)がほとんどられている。日差ひざしをさえぎるものはく、視界しかいさえぎるものもい。

 くずれたかべはさんで、もりがわ人間にんげんぐんと、城下町じょうかまちがわ魔物まものぐんが、にらかたちだ。


 集合しゅうごうした人間の軍(こっち)は、一万いちまんもいなくないか?

「レオン隊長たいちょう青雨ブルーレイン騎士団きしだん姿すがたがありません」

 サポート隊員たいいん深緑色ふかみどりいろかみおんな兵士へいし報告ほうこくした。

もりなか魔物まもの足止あしどめをらったのかもな」

 レオンが冷静れいせいこたえた。こんな状況じょうきょうで、冷静れいせいなのか楽観らっかんてきなのかかりにくいひとだ。


 こんな状況じょうきょうかべくずれにふさがる魔物まものは、たくさん。パッと五百体ごひゃくたいほど、かべうしろや瓦礫がれきかげかくれてるかもれないから、目視もくしだけでかず断定だんていするのは危険きけんだ。

 つの魔物まもの数体すうたいふたつの十体じゅったい以上いじょうひとつのがたくさん。


 ひとつの魔物まものは、訓練くんれんんで武装ぶそうした人間にんげん数人すうにんかりで互角ごかくは、ハゲでせてはらた、手長てなが短足たんそく赤銅色しゃくどういろのオッサンだ。


 ふたつの魔物まものつには、まともな戦力せんりょく五十人ごじゅうにんる。全身ぜんしん赤黒あかぐろく、体高たいこう大人おとなやく二倍にばい人間にんげん動植物どうしょくぶつ中間ちゅうかんみたいなのヤツがおおい。


 つの魔物まものは、さらに大き(デカ)くて、動植物どうしょくぶつちか姿形すがたかたちをしたモンスターである。単独たんどくつよいのはたりまえおおくのふたつのひとつのひきいる。精強せいきょう千人せんにん騎士団きしだんですら、つのはむずかしい。


 その『魔物まものひきいるつの』が、複数体ふくすうたいいる。魔物てき得意とくいな『障害物しょうがいぶつおお閉所へいしょ』で戦闘せんとう仕掛しかけるには、戦力せんりょく不安ふあんがある。

 かといって、くずれたかべはさんでのにらいに、魔物まものどもが何時いつまでもってくれるともおもえない。


   ◇


青雨ブルーレイン騎士団きしだん合流ごうりゅうつべきではないか?!」

 だれかがたからかに提案ていあんした。

ったとして、もりなかからあらわれるのは魔物まものどもかもれぬぞ! そうなれば、われらははさちされて危機ききひんする!」

 だれかがたからかに反論はんろんした。

 どちらの意見いけん妥当だとうで、不毛ふもうだ。最終さいしゅう決定権けっていけん青雨ブルーレイン騎士団長きしだんちょう不在ふざいで、結論けつろんるわけもない。


「レオンたい! まえへ!」

 壮年そうねんのユーナベルム騎士きしが、号令ごうれいけた。ユーナベルムの騎士きし兵士へいし四十三名よんじゅうさんめいが、かべくずれのまえすすた。

 反応はんのうして、一体いったいつのが、ほか魔物まものひきいてうごいた。


 これはものだ。

 魔物まものがわ第一陣だいいちじんは、赤黒あかぐろ大木たいぼくみたいなつの一体いったいひきいるふたつの二体にたいひとつの二十体にじゅったいほど。

 人間の軍(こっち)も、戦闘せんとうはじまってしまってはしとうごす。

 ここはわば、ユーナベルムの地元ホームグラウンドである。そこでユーナベルムの騎士きし兵士へいしたちが如何いか先陣せんじんるのか、興味きょうみがある。


シールドへい! かまえー!」

 壮年そうねんのユーナベルム騎士きし号令ごうれいで、大盾ラージシールドかまえた重厚じゅうこうよろい騎士きしたちが横一列よこいちれつならんだ。魔物まものどもの突撃とつげきめる防壁ぼうへきを、……いや、ダメだ!

 四十三名よんじゅうさんめいでは人数にんずう不足ぶそくか、少人数しょうにんずうせんれてないのか、なら大盾ラージシールド防壁ぼうへき中央ちゅうおうおおきなきがある。あそこを魔物まものとおけたら

「あっ!」

 あんじょう大盾ラージシールドれつ中央ちゅうおうつのけた。はし赤黒あかぐろ大木たいぼくみたいなヤツで、とがったながえだ何本なんぼんも、むちのようにりまわした。


 あのつのシールドへい背中せなかおそわれたら、防壁ぼうへきくずれて魔物まものどもが雪崩なだんで、こっちにおおきな被害ひがいる。

「くっ!」

 ここはちかいオレがフォローにはいるしか

「えっ!?」

 大木たいぼくみたいなつのが、灰銀色はいぎんいろけむりかたまりみたいなものと交錯こうさくした。つのえて、三又みつまたつの地面じめんちた。

「……えっ?」

 われながら、けたこえしかなかった。


 灰銀色はいぎんいろけむりあつまって、灰銀色はいぎんいろながかみしろいドレスの少女しょうじょ、コンブになった。

 コンブはほお紅潮こうちょうさせ、紅潮こうちょうられたくないように、しろいレースの手袋てぶくろめた両手りょうておおう。おおった直後ちょくごに、全身ぜんしんをビクンビクンと痙攣けいれんさせる。


「ユ、ユーナ王女おうじょさま?」

ちかづいてはダメ!」

 心配しんぱいした騎士きしを、コンブがつよ制止せいしした。コンブらしからぬ、つよ口調くちょうだった。

「……大丈夫だいじょうぶです。わたくしは、大丈夫だいじょうぶです」

 今度こんどは、自身じしんかせるような、弱々(よわよわ)しいこえだった。


 まえきた異様いよう光景こうけいに、戦場せんじょう一瞬いっしゅんまる。

殲滅せんめつせよ!」

 壮年そうねんのユーナベルム騎士きし号令ごうれいで、ふたたうごす。ぜん部隊ぶたいが、かべくずれへと前進ぜんしんする。

『ギャッ! ギャッ!』

 魔物まものどもが、城下町じょうかまちおくほうへと後退こうたいはじめた。継戦けいせん不利ふり判断はんだんして、ヴォモスひきいる魔物まもの軍勢ぐんぜい本隊ほんたいとの合流ごうりゅうえらんだのだろう。


 このたたかいは、たったの数分すうふんで、人間の軍(こっち)完勝かんしょうだった。


   ◇


 オレは、勘違かんちがいしていた。


 あの『魔城まじょう前庭ぜんてい』での援軍えんぐんってのは、ユーナベルムの騎士団きしだん大軍たいぐんで、戦場せんじょうのドなか魔物まもの相手あいて大立おおたまわりをえんじたのだとおもっていた。


 勘違かんちがいだった。いま光景こうけいかった。


 コンブが、いな偽名ぎめいではなく本名ほんみょう、ユーナ王女おうじょが『魔城まじょう前庭ぜんてい』にあらわれて。戦場せんじょうつのはユーナ王女おうじょおそれ、つのすらもユーナ王女おうじょ警戒けいかいして、迂闊うかつ追撃ついげき自重じちょうしたのだ。結果けっか、オレたちはつよ魔物まものわれることなく、『魔城まじょう前庭ぜんてい』から撤退てったいできたのだ。


 オレはユーナベルムのたたかかたはじめてて、常識じょうしきえたちからってヤツを理解りかいした。それが脅威きょういとなったときのおそろしさも、理解りかいした。



心剣士しんけんし灰銀はいぎん魔女まじょ

第11話 EP03-02 ユーナベルムの実力じつりょく/END

読んでいただき、ありがとうございます。

楽しんでくれる人がいると、書く励みになります。

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