鷺
ゴイサギという鳥は、名前の通りサギの仲間だ。
ただ、その見た目からは一見してサギには見えない。
実際に目にした時に真っ先に思い浮かんだのは、サギではなくペンギン。
姿形といい色味といい、それくらい良く似ている。
ゴイサギという名前を知ったのは、つい最近家の隣の水田で見かけて調べたから。
ただ、これが初めての遭遇ではなく、最初に見たのは何年も前だった。
その当時も「ペンギンに似た鳥がいる」と思ったことを覚えているけれど、そのまま調べることも無くいつの間にか忘れてしまっていた。
その頃は気になったことを知ろうとする意欲も、心の余裕も無かった表れだろう。
自分のこととはいえ、あの頃の自分に味気ない寂しさを感じる。
それはさておき、ゴイサギは日没後に動き出す夜行性の鳥で、日中に見かけることは少ないのだそうだ。
私が水田で見かけたのも朝だから、巣に帰る前の滅多にない機会だったのかもしれない。
何年も忘れていたのは、単に興味を持てなかったというだけでなく、思い出すきっかけが無かったことも理由の一つだろう。
見付けた後、その鳥の名前が何なのか図鑑で調べるのは少しだけ悩んだ。
サギといえば、白鷺やアオサギを思い浮かべる。
どちらも首や足の長い鳥として見慣れているから、ゴイサギの姿だけを見るとサギの仲間とは結び付かない。
手掛かりになったのは、背中に流れる長い冠羽に気が付いたからだった。
白くて長い冠羽と、頭から背中にかけての紺色、翼は灰色でおなかが白く、長い脚は黄色。
少し遠かったのもあって肉眼では虹彩の色まで見えなかったけれど、赤色の目をしているそうだ。
私が見た時と同じく図鑑の写真でも首が短く全体にずんぐりとした姿が載っていて、それこそペンギンのよう。
後に検索エンジンで「ペンギンに似た鳥」と調べたらゴイサギの名前が挙がっていたくらいだから、多くの人の共通認識だと分かったのも面白かった。
その首も、本来は短いわけではなく伸ばしていることがあるという。
他のサギが飛ぶ時に首を縮めているのと同じ要領らしい。
調べてみるとなかなかにユニークな生態だ。
田んぼの水の中には沢山のオタマジャクシが泳いでいる。
畦道にもまだ変態したばかりの小さなカエルや虫たちがあちこちで跳ね回っている。
そうした生き物が、ゴイサギたちの命を繋いでいるのだろう。
家の周囲には水田に加えてゴイサギが日中休むのに適した雑木林もある。
棲みやすい環境が整っているその傍に暮らしている幸運を、また一つ実感する発見だった。
今はまだ稲の背丈が短いから、水田にいるとその姿が目立つ。
これが伸びてくると、もともと夜行性ということに加えて、全身が稲の中に隠れてしまって見つけにくくなるのだろう。
それを考えると、この時期だからこそ発見できたのだと言える。
いつも何気なく眺める外の景色も、少しだけ注意して見たくなる理由が増えた。




