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フォートレス・イン・キャニオン

「あ、はい、それはもうやってますよ。人工衛星から探してます」

「そうか。それで、君達は大丈夫かい?ワシントンD.Cを攻撃しているのは違う国の飛行物体みたいだ」

「はい、どうやら本当にリリコが居た国の飛空挺みたいです。でも大丈夫です。リリコは自分が守るんで」

「そうか。では電波塔の場所が分かったらメールしてくれ」

「はい」

電話を切ってもハイミとプラーハはまだパソコンを見つめているので、とりあえずコーヒーを飲んで一息ついてみる。

「あれは王族専用機じゃないし、王子が来た可能性はないけどね」

「そっか」

メイルが目覚めて自分の膝から降り、伸びをしているところに部屋の扉がノックされたので出ていくと、そこには政晴が居た。

「神王会本部から通達だ、近々、本部が紅蓮会と対話を持ちかける」

「まさか、仲間に?」

「分からない。ただ杉内は元神王会だからな。和平交渉のようなものがあっても、おかしくはない」

「そうだね。でも、神王会が今も武器を集めてるっていうのは事実だし。溶かして別のものにしてるって訳じゃないし。それがどうにかならない限り杉内は折れないんじゃないかな」

「かもな。ヒョウガの一件から、私腹を肥やす奴らが大人しくなったみたいだが、根絶した訳じゃないからな。もしかしたら、紅蓮会から骨を抜く工作を考えてるのはその一派なのかも知れない」

「おいおい、それってキナ臭いじゃねえかよ」

無日がやって来て口を挟んできたが、無日は何故か心の中でその一派の人達を紅蓮会の仲間かと疑った。

「あぁ、探りを入れた方がいいかも知れないな」

「だったらリクの出番だよな」

「まあね」

「やるなら本部の人間との接触は避けた方がいい。本部はどの拠点には誰が居て、どんな能力か知ってるからな。知ってるというか、報告義務だからな」

「うんじゃあちょっと探ってみるよ」

神王会の闇みたいなのが蠢き始めたって感じかなぁ。

「みーっけっ」

ハイミとプラーハがそうハモった事に可愛く思える中、2匹が手招きしているので向かうと、パソコンには人工衛星からの映像が映されていた。

キャニオンランズ国立公園ってとこか。やっぱりこういう全く街が無い場所がいい隠れ家なのかな。

「でもさぁ、相手もこっち側にマナライザーが居るって分かってるし、本当は海底洞窟とかに居るんじゃない?」

「うん。そうだよね。地球には人工衛星がある事も分かってるだろうしね」

ハイミに応えながらスマホのメールを打ってる最中、パソコンの画面を見ると、そのキャニオンのど真ん中ではリアルタイムで急速に建物が作られ始めた。

何だ・・・すごい、全部マイセルで・・・。

そしてメールをヨハンに送るが、1分も経たない内にそこには周囲50メートルにも及ぶほどの要塞が出来上がった。

うわ、まだ更に大きくなって・・・。出来た部屋を囲むようにまた建物を。

「すごいねー。一瞬だ。これ本拠地かな?」

「でもやっぱりハイミは海底洞窟説だな」

「海底洞窟ってどうやって探すの?」

「そこだよね。でもさ、簡単に探せないからいいんじゃない?」

「うん、確かに」

リリコの隣に戻ってスマホを見つめ、とりあえず神王会の公式サイトから神王会のパソコンの中に入ってみる。パソコンから分かるのは神王会のスケジュール、神王会の全会員の情報、そして厳重なセキュリティが施されてるところには神王会と関わってる芸能人、政治家の情報、更には集めた武器が納められた倉庫のセキュリティ情報などがあった。

「すごいねりっくん、セキュリティのパスワードが3秒ごとに更新されてる。でも武器の事は武器庫の情報しかないね」

「うん。何が入ってるかの情報はオフラインのパソコンの中なのかな。でもその方がいいよね。さすが神王会って感じ」

「すごいね、政治家と芸能人、配当貰って神王会に出資してるんだ」

「(そのお金で武器を買ってるんだよね。表向きでは集めた武器は溶かすって言って)」

「うん。でもプロモ動画の為に溶かしたのはほんの一部で、本当は沢山保管されてるって、杉内も言ってたし」

紅蓮会との対話のスケジュールから何か分かるかなぁ。私腹を肥やす人達って、やっぱり幹部かな。幹部の名簿、ここか。

メイルが今度はリリコの太ももを枕にしている中、とりあえず神王会のパソコンから、パソコンと繋がってる個人の端末に移り、幹部会員のメールを覗いていく。

んー、あれ、核心的な情報がない。あれかな。みんな中年だからメールとかしないのかな。

「えへ、りっくん」

「やっぱり、直接本人を見ないとだめかなぁ」

「りっくんなら会わなくても遠くから見れるんだし、早速行ってみたら?」

「うん。じゃあ・・・・・この人にしようかな」



「もう、あんなにでっかくなってやがる」

カミーユが呟いても誰も気楽に応えるような雰囲気ではなく、推定100メートルの高層要塞がキャニオンのど真ん中に出来てしまった状況に、何だか本当に世界が変わってしまったかのように思えた。

「世界の全ての通信系統は支配され、悪用されない為に核兵器はやむなく凍結。これが、あいつらの言う、膠着か」

ヨハンの隣に立つノブカツもそう呟くが誰も応えず、ふとウルフを見るとその横顔はとても複雑そうだった。

チエヒメの事が世界に知れ渡ったら、どうなってしまうんだろう。

あれって、食べれるかな。

抱いているクレイがそう言って私を見上げてくると、他の4体も食べたいと言ってはしゃぎ出す。

「食べれるかも知れないけど、近付くだけでも危険だから」

それに、あんな大きなもの、食べきれないよね。それよりももっとおいしいもの食べたいな。

「おいしいものって?」

そう聞くとヴォーデはゆっくりと宙に浮き、アメリカ軍が列を為している方を眺めた。

戦車っていうんでしょ?あれ。何かおいしそう。

デジタル機器じゃないので戦車は稼働出来るが、アメリカ政府も勝機が感じられないのかただ軍隊が並んでいるだけの中、ヴォーデがトコトコと近付いていき、戦車に登っていく。

「おい何してる!ここは遊び場じゃないぞ!」

「悪いね、能力者への協力だと思ってくれ」

ヨハンがそう言うと、そのアメリカ軍人は怒っているが黙り込み、そしてヴォーデが戦車の砲身にかぶりつく。

「協力だと?砲身が食われたぞ!これじゃ使い物にならない」

「物の破損を直す能力者を手配する。問題ない」

ヴォーデは戦車がおいしそうに見えるんだ。でもぼくは違うんだよね。

「へー、じゃあバームは何が食べたいの?」

あれだよ。

空を見上げたバームの目線の先を見てみるがそこには何も無く、しかし心で繋がっているので考えは理解出来た。

「雲かぁ。あそこまで飛んでいくのは大変だよ?」

「飛んでいく必要はないだろ」

するとそう言ってウルフが歩み寄って来る。

「標高4000メートルくらいの山でも登ればいいんじゃないか?」

「あ、うん、そうだね」

調べればシャスタ山という良い具合の標高の山があったので、先ずはシールキーでカルフォルニアにあるシャスタ山の麓にやって来て、そこからみんなでアルバに乗って空を飛んでいく。

うわ、もう雲がすぐそこだ。

はしゃぎ出す恐竜たちだが、空気が薄くなってきた事で私だけ気分が悪くなってきてしまう。それでも治療の光で自分自身の体を包むと体調が良くなり、私の安堵を見てか、バームが何やらアルバに止まってと言った。

こっからはぼくだけで行くからちょっと待っててよ。

「うん」

でも、雲ってどうやって食べるのかな、ほぼ空気じゃん。

そう言うとヴォーデは鱗や毛皮を鉄に変え、背中から可愛い砲身を2本生やした。

カッコイイでしょ?

「うん」

ぼくも、何か、食べたくなってきたなぁ。

ヴォーデをまじまじと見つめながらモートがそう言って、アルバの背中から周りを見下ろしていく。

ぼくはもう決めたよっ。ぼくね、カチカチしてキレイなやつにするんだっ。

「それってどんなの?」

名前は分からないけど、見たら分かるよっ。

「何だろうな、気になるなぁ」

少ししてバームが戻ってくると、すでにバームは体から雲を発生させていて、アルバの背中にものすごく局所的な雹を降らせた。

んっ、違う。そのカチカチはぼくの食べたいものじゃないっ。

氷じゃないって事は、宝石かな。

アルバに乗ってシールキーで扉を作った場所に戻って扉を作り、先ずはバームたちを向こう側に行かせる。そしてアルバは向こう側にワープさせ、最後に私が扉を抜け、シールキーを剥がす。

「進展は?」

そう聞くとウルフは首を横に振る。すでに異世界の軍隊の要塞を望める場所に能力者の拠点も作られていて、沢山の能力者が行き交う中、歩いているとふと何やら四方5メートルほどの近未来っぽいゲートが幾つか置いてあるのが見えてきて、何となく近付いていく。

「何これ、すごい」

「各主要都市に繋がってるんだと。ワープ出来ない能力者の為のワープゲートだ」

「ドイツは」

「そこだ」

探してよテレサ。ぼくが食べたいカチカチっ。

「あ、うん、分かった」

「何だって」

「今この子たち成長期っていうか」

そんな時にウルフはヴォーデに目を留め、変わった姿を見つめた。

「こいつらだってマイセルなんだよな?なるほど、個性によって変化が異なるのか。いい戦力に・・・」

そう言いながら次にウルフが見たのはバームで、バームは自分が雲になって広大なキャニオンのほんの一角に雨を降らしていた。

「どうなりたいかはこの子たちが決めるから」

「そうなのか。まぁでかい方は戦力には違いない」

「レオン、これはどう?」

携帯電話で調べたダイヤモンドの画像を見せると、レオンは可愛らしく背伸びして画面を覗き込む。

ちょっと違う、けどこういう感じっ。

やっぱり宝石なんだ。でも宝石なんて、どこに行けば・・・能力者にそういうのを作れる人とか居たらいいな。あ!

「ウルフって・・・・・あ、だめか」

「何だよ」

「レオンがね、宝石が食べたいって言ってるんだけど、ウルフは炭素しか出せないよね?」

「あぁ」

「でもダイヤモンドじゃないっていうから、宝石を出せる能力者とか、知らないかな」

「別に同じような系統の力で知り合いとか作ってる訳じゃない。でも、そういう奴はどこかには居るはずだ。先ずは欲しい宝石が何かを突き止めるべきじゃないか?」

「そうだね。・・・レオン、画像見せるから、欲しいのあったら言ってね」

色々な宝石の画像を見せていくとすぐにレオンが反応したので、再度確認させるとそれはアメジストだった。

「アメジストを作れる能力者というより、宝石を出せる能力者で捜す方がいいだろう」

「うん」

幸い能力者は沢山居るので、手当たり次第話しかけて宝石が出せないのか聞いていく。

「宝石?私は出来ないけど、宝石を生やしたドラゴンを飼ってる友達は居る」

「どんな宝石?」

「色々。ダイヤモンド、トパーズ、パール。体中に生やしてる」

「アメジストは?」

「生やしてる」

「どうか会わせて欲しいの。この子が宝石を欲しがってるから」

「友達はドラゴンが好きだから、1匹あげたらくれるかもね」

「それは無理」

「あはは、冗談。ちょっと待って、呼ぶから」

「ありがとう」

少ししてローマに続いているワープゲートから男性が出てきて、呼んでくれた女性が声をかけるも、その男性はすぐさまアルバに近付いた。

「これ、誰のティラノサウルスだ」

「私の」

「随分と斬新な・・・何だ、子供も居るのか」

「子供じゃないよ。私は元々ペガサスを召喚出来るんだけど、ペガサスを緑の恐竜に食べられちゃったの。そしたら緑の恐竜たちが私と心が繋がるペガサスの特性を受け継いだの」

「・・・つまり、こいつらは異世界の軍隊の技術か」

「うん」

「大丈夫なのか?遠隔操作されたり、もしかしたら盗聴されてるかも知れない」

「考えた事もなかった。でも今までそんな事なかったよ?」

「そうか。それでドレッサ。何の用だ」

「あ、名前は」

「テレサ。彼は仲間のウルフ」

「私はドレッサ。彼はアントニオ。テレサが、アメジストを恐竜に食べさせたいって」

「食べさせる。エサなんて何でもいいんじゃないのか?わざわざ高価な物を食わせなくても」

「エサって訳じゃないの。この子が自分の意思で、アメジストを体に取り込みたいみたいで」

「取り込む・・・細胞として?」

「そう」

するとアントニオはアルバを見上げ、ヴォーデやバームを見てから、表情は固いが納得したように頷くと直後に2メートル級の西洋のスマートなドラゴンを召喚した。

うわ、すごいキレイ。

「まるで宝石がドラゴンの形してるみたい」

「宝石は外皮だけなんだ、中身は普通の生物だ」

アントニオがドラゴンの首を撫でると、ドラゴンは気持ち良さそうに可愛らしく目を瞑る。

おさらいですが、ヨハンのチームは全員、ヨハンの知り合いの能力によって“全ての外国語が話せる”ようにして貰っています。


ありがとうございました

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