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谷を這う白竜

「何だよあれ、メタリックグリーンじゃない。新しいタイプの生物兵器か」

「もしかしたら」

しかしそう言う間にも4本腕の恐竜は私達に向かってきて、ペガサスに乗っているから距離もあり、すかさずウルフのリングが飛んでいって難無く斬り伏せたので問題はなかったが、ふと気になったのはやっぱり普通じゃあり得ない4本の腕だった。

「もしかしたら、巨大生物、食べちゃったのかな」

「そうかも知れないな」

「ウルフはどう考えてるの?」

「そもそも細胞だろ?なら自由に形を作れるはずだ。例えばマナライザーの力を使ってこの世界の動物を調べて、強そうな奴を真似たんじゃないか?」

「うーん、そっかぁ」

「真相は確かめようもないな」

「おーいウルフ、テレサ」

大きく手を振って呼びかけてきたのはカミーユで、空から見る限り今のところ恐竜たちはいないので、ウルフと共に2人の下に降りていく。すると当然のように白い恐竜もついてきて、2人は途端に警戒する。

「大丈夫、敵じゃないよ」

「何だよそれ。操ってるのか?」

「私のペガサス食べちゃって。そしたらこうなって、心も通わせられるようになったの」

「なるほど。そういう性質か。で、銃声の件は解決したのか?」

「うん。家で隠れていて貰うように説得出来たよ」

「そうか、あんまり1人で突っ走るなよ」

「うん、ごめん」

「けど、どうすんだよ。これじゃキリが無いぞ。日本みたいに、異次元のホールが閉じるのを待つしかないのか?」

「ジャック達が飛行物体を制圧したらホールも閉じるんじゃない?」

セシルがそう言うとカミーユも納得したように頷くが、その表情には不安が伺えている。

初めての事だし、戸惑っちゃうよね。映画みたいに宇宙からじゃなく、異世界から侵略されるなんて。

そんな時に遠くから雄叫びが聞こえたのでみんなでその場所に向かうとそこにはブリュンヒルデがいて、緑の恐竜を殴ってバラバラにした後、右手のガントレットを変形させて作った剣で集まる細胞たちを斬り崩した。

「ブリュンヒルデ」

セシルが呼ぶ中、ふと見渡してもヨハンの姿は見えなかった。

「集まっちゃってどうしたのよ。もう居なくなったって事かしら」

「うん、ウルフとテレサが上から見てるけど、今のところ恐竜は居ないよ」

「そう。でも第2波が来るかも知れないわよ?」

あれからブリュンヒルデ、ほとんどずっと日本語なんだよね。好きなのかな、日本。

「そうだけど、ヨハンは?」

「どこかには居るわよ。ヨハーン!」

すると一瞬の内にヨハンが姿を現すが、表情には見せないものの、やっぱり驚いているのか、ヨハンは白い恐竜を真っ直ぐ見てきた。

「これは大丈夫。中身はペガサスだから」

「そうか。それで、集まってるという事は一段落ついたんだね。では私はジャック達の様子を見に行く。みんなは引き続き恐竜の迎撃を頼む」



「大丈夫かなぁ、おじさん達」

「デュナンズ・ナイツは強者揃いだし、平気なんじゃない?」

拠点の自室に戻って過ごしていて、アメリカの異次元のホール騒動を報道しているテレビを映すパソコンからリリコを見れば、リラックスした笑みからそのままリラックスを伝えてくる。

「ナウレトさん来るかな?」

「どうかなぁ。軍の侵略行為だし、ナウレトさん、戦争反対派が多いって聞いた事あるし、でも可能性はあるかも」

「行ってみたいけど、下手な事したらリリコの事バラされちゃうし。マナライザーなら、鉱石の存在だって分かるし、あっちの軍隊が鉱石を手に入れるのも時間の問題だよね」

「まぁ、私、神だし」

そんな言葉に思わず笑ってしまい、自分の笑いにつられてリリコも笑うと、何だかパソコンで見てる緑の恐竜や、異次元のホールも特に問題が無いようにさえ思えた。

だって、世界は1つなんだから。

そうだね。



「デートとは、良いものじゃな」

「良かったです」

「して、結婚はいつにするのじゃ」

うえっ・・・・・。

シールキーの扉を開ける前、そう言ってチエヒメが優しく抱きしめてくると、そのままだとキスしちゃうんじゃないかという距離感に、心臓がドキドキしてくる。

「あの、でも、その、結婚は、18歳にならないと出来ない法律があって」

「なんじゃと、聖、歳は」

「17です」

「ああ・・・・・そうか」

でも何かちょうどいいって言ったらちょうどいいかな。1年くらいの交際期間。あれ、やっぱり僕もう、チエヒメさんの事、普通に・・・。

「でもほら、もっとお互いの事知ってからの方が、結婚は上手くいきますよ」

「そう言うなら、妾は待つぞ」

「・・・はい」

・・・悪くないよな、こういう人生も。

組織のホールに戻ると何だか緊張感っぽいものが流れていて、ふと歩き出しながら人が集まってるテレビを見てみると、そこにはヘリから撮ったような映像が流れていて、この前と同じような異次元のホールがあった。

「聖」

そのテーブルではショウジ班の人達が寛いでいて、ショウジが呼んでいるので近付いていく。

「何だそのすげえ美女」

いつものようにシュウヘイとノーマンはゲームしているが、シュウヘイがそう口走るとノーマンも見てきて、みんなに注目されて普通に恥ずかしくなってしまう。

「チエヒメさんです。例の異次元のホールから来たんです」

「へー。あー、噂の」

え、噂になってる?ノブさんも知ってるし、そうなのか。

「まさか付き合ってるのか」

すると半笑いでノーマンがそう聞いてくる。

「聖が18になったら妾は聖と結婚するのじゃ」

うわ、そんな、天然かよ。兄ちゃんみたい。

その一瞬の間でも恥ずかしくなってしまう中、シュウヘイの薄いリアクションが最初に出たからか、他のみんなも静かに相槌を打つ。

「チエヒメは、異次元のホールがどうやって出来るか知ってるの?」

「知らん。妾は逃げてきただけじゃ」

ユキノの質問にチエヒメがそう応えた時、モモがユキノの肩をつつき、何やらパソコンの画面を見せた。角度的に見えるので見てみると、画面にはまるでドローンで撮影した映像が流れているように見え、直後に異世界の飛行物体は爆撃された。

「モモは、目を飛ばせるんだよ」

そんな僕を見ていたのか、ショウジがそう言葉をかけてくる。

「電波が飛ぶところなら、あらゆる場所を監視出来る。つまり電波を経由した千里眼だ。電波ってのは至るところに飛んでるからな。他にも電波を使って機械を使わなくても人と通話が出来たりな」

「デュナンズ・ナイツ、動いたよ」

モモがそう言うとショウジも身を乗り出し、シュウヘイとノーマンは抜きにしてみんなで墜落していく飛行物体を見ていく。

遂に、戦争になっちゃうって事かな。

「あの、代々木公園のは動いてるんですかね」

「さっき聞いた限りじゃ代々木の方は動いてないらしい」



あ・・・またホールから恐竜たちが。第2波だ。

「みんな、散らばって、迎撃よ」

ブリュンヒルデの指示で再びセシルとカミーユ、ウルフと私で分かれて散らばり、グランドキャニオンビレッジにやって来る恐竜を迎え撃っていると、向かってくる恐竜の中でまるで人間のような体格をした緑の生物が数人やって来て、生い茂った木々の上から眺めていると、映画に出てくるような戦闘ロボットのように武装した緑の人間は直後に私に向かって、肩にくっついたロケットランチャーからロケット弾を撃ち出した。

「ウルフ!」

わわ、来るっ。

木々に隠れようと降下した後、上空ではウルフのリングにロケット弾が着弾し、まるで紛争で見るような普通の爆発がそこに広がる。その爆音や空気の震え、熱波を間近で感じて思わず顔を背けてしまい、それから上を見るとそこにはウルフの姿は無く、空からではなく地上から緑の人間達を見ようとした時、その方向から中型の恐竜がやって来た。

う・・・ど、どうしよう。

すると直後に白い恐竜が突撃していき、噛み付き、押し倒して中型恐竜をやっつけてくれた。

ふう・・・あ、また来た、ウルフ大丈夫かな。

白い恐竜がまた1体恐竜をやっつけたところで、ふと目に留めたのはやっつけられたはずの恐竜の細胞が蠢いている事だった。そして蠢いている細胞はまた形作られていき、なんと何体もの小型の二足歩行タイプの恐竜になった。

そんな・・・。

白い恐竜は中型恐竜にトドメを刺している最中で、小型犬くらい小さい5体の小型恐竜が迫ってきたのですぐさまペガサスを飛び上がらせるが、1体の小型恐竜がペガサスの足に噛み付くとペガサスはよろめいてしまい、そのまま私も落ちて倒れてしまった。

痛ぁ・・・・・あ、またペガサスが。でも・・・。

ペガサスには可哀想だが、貪られていくペガサスを眺めていると、やっぱり小型恐竜たちは全員白くなり、翼を生やしたので、とりあえず新しいペガサスを出現させ、寄ってきた白い小型恐竜を1体抱き上げる。

・・・・・可愛い。あれ?

ふと見た白い大型恐竜はまるでご飯でも食べるように中型恐竜の細胞を食べていて、更に直後に白い大型恐竜は少しだけ大きくなった。

成長、するんだ・・・。細胞だからかな。ウルフどうしてるかな。

ペガサスに乗って木々の上から眺めるとウルフは緑の人間達と戦っていて、リングたちが生きているみたいに宙を飛んでいって緑の人間達に斬りかかると、緑の人間達は為す術が無いようにウルフから後ずさっていく。

やっぱりすごいなウルフ。全然、今のままでも強いのに。

しかしそんな時、緑の人間達の背後にティラノサウルスが緑の人間の人数分やって来て、武器を壊されてボロボロの緑の人間達はなんと各々ティラノサウルスたちと合体した。

うわ。細胞だから、あんなことも出来るんだ。

最初は2メートルくらいだったのに、合体すると3人の緑の人間達は3メートルくらいに巨大化し、更に体の所々を黒ずませ、まるで金属みたいな質感を思わせるようなもので体を覆った。

それにしても、どうなってるんだろう。

「ウルフ」

「下がってろ」

「うん、でも私の恐竜も戦うから」

やる気を見せつけるように、闘牛みたいに地面を掻いて白い大型恐竜がウルフの隣に並んだ時、緑の人間の1人が小さく首を傾げたのがふと目に留まる。地上に降りると5体の白い小型恐竜たちが私に向かってまるで抱っこをせがむようにジャンプしてきて困ってしまう中、そして白い大型恐竜は走り出し、同時に5つのリングが飛んでいった。

「みんな落ち着いて」

緑の人間より白い大型恐竜の方が少し大きいので力の差があるのか、1人の緑の人間と白い大型恐竜が取っ組み合っている最中、リングたちが2人の緑の人間に斬りかかっていく。

ヨハンやジャック達も、恐竜と合体した軍隊と戦ってるのかな。

リングによる怒濤の突撃、そして全部のリングが一体になって放たれる特大のビームという攻撃に1人の緑の人間が倒れ、普通の人間に戻って動かなくなる中、白い大型恐竜が変化して尖ったガントレットに刺されて倒れてしまったので、癒しの光を当てて傷を治す。またふと緑の人間が首を傾げたのが見えたところで、白い大型恐竜が尻尾で叩き返し、緑の人間は後ずさりする。それから白い大型恐竜が噛み付いたり、一方ではリングが飛んでいったり、そんな猛攻にようやく緑の人間達は逃げていった。

やった・・・。まさか、私がこんなに役に立てるなんて。

ウルフ自身はそんなに動いていないが、強く溜め息を吹いたウルフは顔だけカーボンアーマーを解き、私に振り返った。

「増えてる」

「うん」

1体の白い小型恐竜を抱き上げて見せるとウルフは気が緩んだのか、どこか呆れるように笑みを溢す。

「恐竜もいないみたいだし、セシル達と合流しようよ」

「そうだな」

ウルフがリングに乗って浮き上がったのでペガサスに乗って浮き上がる中、ふと振り返ると地上の5体の白い小型恐竜たちは私を真っ直ぐ見つめてきて、何だか変に後ろめたい気持ちになる。

「みんなも飛べるんじゃない?」

すると顔を見合わせた5体はバタバタと飛ぶ鳥のようではなく、ペガサスのように優雅に宙に浮いた。

・・・あ、居たセシル達。緑の人と戦ってる。

「セシル!カミーユ!」

心の中で問いかけてお願いすると白い大型恐竜は頷き、緑の人間達に向かっていく。まだ2メートルの人達にとっては白い大型恐竜は強敵で、すぐに押し倒されてこちらが優勢になる中、ふと見るとカミーユは全身に軽い怪我をしていたので、すぐに傷を癒す。

「悪いなテレサ」

「当然でしょ?セシルは大丈夫?」

「うん。それより、増えてる」

「えへへ、うん」

飛びながらすり寄ってきた5体の鼻息やら肌がくすぐったくて思わず笑ってしまうと、1体がセシルの腕の中に収まり、セシルは緊張と困惑を伺わせる。

「まぁ、これくらい小さいと可愛いけど」

小さい恐竜たちはどんな活躍をするんでしょうかね。そもそも活躍するのかしないのか。


ありがとうございました

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