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闘志は燃え尽きて

あ、居た、あそこ。

燃えてしまっている建物が気になるが、消防隊が頑張っているのでとりあえずヨハン達に歩み寄る。するとヨハン達と対峙しているディゼルダに加勢するように“騎士みたいなロボット”と“黄色が基調となった戦闘スーツを着た巨漢”がワープしてきて、ふとマナライズしてみると2人はどうやらディゼルダと同じ世界から来ているというのが分かった。

んー、ディゼルダって人、本格的にデュナンズ・ナイツと戦うつもりなのか。仲間だって呼んじゃって。

「おじさん」

「ん、おお君達も来たんだね。シンガポール支部の情報はどうやって仕入れたんだい?」

「コロネの仲間だよ。ネットワークが広いからね」

「そうか」

「それよりその2人もディゼルダの世界から来てるみたい。本格的にデュナンズ・ナイツと戦うつもりみたいだよ」

「あぁ、そうらしい」

「貴様は何だ」

「自分達は神王会だよ」

「貴様らが、神王会。宣戦布告したはずなんだが」

「自分は神王会としてっていうより個人的におじさんと知り合いだから」

しかしハイミやコロネなど、見た目で判断しているのか、ディゼルダは鼻で笑う。

「ヨハン、貴様独りで、どれだけ抗えるか見物だな」

「独りなのは、君の方だ」

するとディゼルダは激しく燃え上がり、まるで燃え尽きて存在ごと消えるようにそのまま姿を消していったが、追いかける隙を与えないように騎士ロボットが見た目に反し、その場の全員を漆黒のドームで取り囲んだ。

うわぁ、コロシアム作られた・・・。相手は2人だけだけど、強敵だな。

しかも騎士ロボットは漆黒のドームを通り抜けて身を隠してしまい、更に同時にどこから攻撃を仕掛けてくるかと考える間を与えないように、戦闘スーツの巨漢が広範囲に電撃を放つという連携を見せつけてくる。

こっち来たっ。

ホワイトアーマーを纏って何とか電撃をかわすものの、直後にドームの外からビームで狙撃され、瞬く間にカミーユとウルフが倒れ込んでしまう。しかしその中でもヨハンによる目にも止まらない射撃によって巨漢も倒れ込み、ドームの中は不安と希望が入り交じる。

「あぐぁっ」

それからセシルも狙撃されて倒れ込み、バリアとして膜を張っているから血は出ていないが、結構吹き飛んだのでやっぱり苦しそうにしている中、次は自分の方にビームがやって来たので辛うじてかわす。

危ない・・・。

「(しょうがないな、自分がちゃちゃっと行ってくる)」

「うん」

ウルフがセシルを庇うように5つの輪っかを寄せて警戒する中、コロネが歩いて普通にドームを通り抜けていったので試しに触ってみるが、やはり漆黒のドームは普通の壁のように自分の手を阻んだ。

リリコ連れて来ないで良かったな。

コロネが出ていってから数分経ったような気がしてきたところで漆黒のドームが消え、同時に救急車のサイレンが耳に入って来たが、雑音や風も感じるようになったその“脱出感”はやっぱり安心を感じざるを得なかった。

「コロネ」

「(人間なんてちょろいね。それより逃げたディゼルダ、追わなくていいの?)」

悠々と歩いて来るコロネの近くには倒れている男性の姿があるが、同じように倒れているセシルやカミーユに何となく不安が過る。

「勿論向かうさ。ウルフ、2人を頼む」

「1人で追いかけるのか?どこに行ったかも分からないだろ」

「先ずブリュンヒルデを呼んで癒して貰ってくれ。私はドレイクの下へ向かう。それから、クリスティーナ達とも合流した方がいいだろう」

「あぁ、分かった」

ヨハンの単独行動を不満に思っているみたいだが、今回は普通に指示を出し、しかも後で合流するという事なのか、ヨハンが去って行ってもウルフは特に不満を抱かずに携帯電話を取り出す。

ドレイクのところって事は、日本だよな。

電話が終わったら声をかけようと思ったが、ウルフの電話にブリュンヒルデは出ないのか、ウルフはヨハンに電話をかけ始めた。

「ヨハン、ブリュンヒルデが電話に出ない。・・・分かった」

ブリュンヒルデさんに何かあったのかな。

「ウルフさん、自分達、日本に帰るけど、何かあった?」

「分からない、だから俺がブリュンヒルデの下に行く。リクジ、2人を頼んでいいか。治療してくれるだけでいい」

ふとセシルを見てみると気絶していて、しかも背骨や肋骨と、目には見えない重傷を負ってしまっていた。

「いいよ」

「ありがとう。意識を取り戻したらヨハンに合流するように言ってくれ」

「うん、分かった」

ヨハンと同じように壁に向かって走り、ウルフもシールキーを使ってこの場から去っていったところでテレパシーで声をかけてきたリリコに振り返る。

「家から見てたの?」

「うん」

自分を基点にして拠点のマンションからワープしてきたというイメージを送り込んできたリリコはそして片膝を落とし、セシルの額に優しく手を乗せる。

独りでどれだけ抗えるかって言ってたディゼルダ、まだこの2人以外にも異世界から仲間を連れて来てるっていう余裕だったし、おじさん大丈夫かな。

「あれ?ヨハンは?ウルフも居ない」

「おじさんはドレイクのところで、ウルフさんはブリュンヒルデのところに行ったよ。それでウルフさんが、2人はおじさんに合流してだって」

「カミーユ!」

「どう、なった、ヨハンは」

「カミーユ、ヨハンのところに行って。私ウルフを追いかけるから」

「どうなってんだよ、何があった」

「私だって気を失ってたの。リクジが、ヨハンはドレイクのところで、ウルフはブリュンヒルデのところだって」

「そうだな、先ずはこっちも集まって作戦会議しないとな」

「じゃあ自分達は日本に帰るよ」

「うん。治療してくれてありがとうリリコ」

「これくらい何て事ないよ」



とりあえずロサンゼルス支部に来たが、ブリュンヒルデは・・・。人気が無いな、まるで深夜のような雰囲気だ。時計は、あれか、午前2時。

「あなた、どこから来たの?」

待機中なのか暇なだけなのか、1つのテーブルで眠そうにしながらも話しかけてきた女性にとりあえず歩み寄る。

「本部のウルフだ。ブリュンヒルデと連絡が取れないから来た。ブリュンヒルデはどこに居る?」

「寝てるんじゃない?」

「さっきまで連絡が取れていた。キャンベラ支部の事で動いていたんじゃないのか?」

「ジャックに聞いてみたら?向かいのバーに居ると思うよ?」

指が差された方の窓から外を見下ろすと確かにバーがあったので、シールキーは使わずに普通に入っていくと、カウンター席の1番端にジャックは居た。

「本部のウルフだ。ブリュンヒルデがどこに居るか知らないか?」

「知らない」

素っ気なくそう応えるとジャックはショットグラスを一気に傾けた。

「お前はキャンベラ支部の事で動いていないのか?」

「オレが守るのはロス、そしてアメリカだ。人には持ち場ってものがあるだろ」

「同じナンバーワンなんだろ?何も聞いてないのか?ある程度の情報共有とかするだろ」

「だったらブリュンヒルデの部下に聞いてくれ。自分の部下にならどこに行くか伝言くらいするだろ。キャリーならそこだ」

静かな雰囲気だったので話を聞いていたのか、顔を向けるとテーブル席で飲んでいた女性と目が合い、手を振ってきた。

「あなたがキャリー?」

「うん。ブリュンヒルデがどうかしたの?」

「連絡が取れない」

「うーん、ヨハンのところかな」

「いやさっきまでヨハンと一緒に居た。キャンベラ支部が破壊された時、ブリュンヒルデと電話で話した。それからシンガポール支部がディゼルダに破壊された。その時に傷を癒して貰おうと連絡したんだが、電話に出ない」

「何、それ。ディゼルダが、シンガポール支部を破壊?」

「あぁ、恐らくキャンベラもディゼルダがやったんだろう。シンガポール支部の前ではヨハンや俺達を襲ってきた」

「どうなってるの?ちょっと待ってブリュンヒルデに連絡してみる」

しかしブリュンヒルデは電話に出ないのか、耳元から携帯電話を離したキャリーは血相を変えた顔で首を横に振る。

キャンベラ支部が正常ならすぐに見つけられるんだが・・・。

「どうしよう。キャンベラ支部が破壊されたって情報が入ってきた後、ブリュンヒルデはどこに行くか言わなかった。すぐに戻って来るからって。そろそろ連絡して来てもいい頃なのに」

そんな時に俺の携帯電話が鳴り出し、静かなバーに響いた音に思わず周りの目を気にしてしまう。

セシル。

「治ったのか?」

「うん、リリコに治して貰った。カミーユはヨハンに合流させたから。私達も」

「ロサンゼルス支部の目の前のバーだ」

「ブリュンヒルデに会えたの?」

「いやまだだ」

「おい!」

静かなバーで、バー全体に聞こえるくらいの声を上げたジャックに思わず振り返ってしまうが、未確認飛行物体でも見たのかといったようなジャックの眼差しに、ふとその先に顔を向けると、バーのガラス張りの窓からよく見えるロサンゼルス支部の建物が中から燃えていた。

くそっ。ここでもか。

「ウルフ!ウルフ!」

すぐに走っていくジャックと数人に、他にもデュナンズ・ナイツが居たのかと思った直後、ディゼルダが建物の中に居るのか、ロサンゼルス支部の中から爆発が起こり、支部の窓が吹き飛ぶ。

「セシル、ディゼルダがロサンゼルス支部に来た。支部が燃えてる。ヨハン達を呼んでくれ」

「分かった」

ディゼルダ・・・ディゼルダ派じゃない支部を全部破壊するつもりか。これじゃ、最早テロだ。

動物の威嚇かのように、バーを出ていったジャックは全身から緑と青に輝く電気を迸らせると、デュナンズ・ナイツと思われる他の人達もディゼルダが降りてくるのを待つように各々変身したり、武器を出していく。そして俺もバーを出たところで爆発と共に炎の人影が飛び降りて来ると、まるでヘルメットでも取るかのように顔だけ炎を弱め、ディゼルダはジャックを見た。

「本当にディゼルダか。ディゼルダ派をやめたからって報復しに来たのか?まるで子供だな」

「報復?これは制裁だ」

直後にディゼルダの隣にブラックホールのような小さな歪みが発生すると、そこから誰かが弾き出されるように落ちてきたが、まるで死んでいるかのように動かないその人はなんとブリュンヒルデだった。

「ブリュンヒルデ!」

キャリーが叫ぶが、ディゼルダが隣に居るから駆け寄る事が出来ず、直後にジャックは怒りを表すように全身を眩く輝かせ、思わず後ずさりしてしまうほど激しく2色の電気を迸らせた。そして言葉なくジャックは走り出して殴りかかり、ディゼルダの炎の爆風とジャックの電気のぶつかり合う衝撃波が辺り一面に散り広がった。

ブリュンヒルデ・・・。

動かないブリュンヒルデも転がってしまう中、カーボンで全身を覆いながら走り出し、殴り合いという名の炎と電気の爆風からブリュンヒルデを守る為にリングを立てる。

「ブリュンヒルデ!」

流れ弾のような炎と電気が建物や地面、そして俺のリングを無差別に叩いてくる中、キャリーもやって来てブリュンヒルデの首筋に指を当てる。

「良かった、脈がある。でもどうしよう、支部のみんなも助けないと」

広範囲回復の力を持ったブリュンヒルデを先に倒しておくなんて・・・ディゼルダめ。

「怪我人は俺が連れてくる。ブリュンヒルデを頼む」

リングは1つ持っていくか。

「行くぞ!」

ディゼルダと戦っている数人とは別に、救命活動の為にと燃えて今にも崩れそうな支部に入っていく人と共に建物に入っていく。すでに2階が崩落しているところもあり、火の海となって黒煙も充満している中、青っぽい光が見えた方へ向かってみると、そこではバリアのような光のドームの中で身を守ってる人達が居た。

「出ないと崩落するぞ!」

「崩落くらいじゃこのシェルターはびくともしない。だから鎮火されるのを待ってる。動けるなら怪我人運んでくれ。このシェルターの中なら怪我が治る」

2メートルくらいの白いライオンのような人獣の男性に、ドームの中の男性が応えると、人獣の男性は俺の肩を叩いた。

「お前、あっち頼む」

「あぁ」

しばらくして支部が鎮火されると光のドームも消え、ドームの中に居た人達が無事に生き延びたと安堵するが、一方ではすでに息絶えていた人も居て、瓦礫を掻き分けながらそして遺体を運び出すが、ディゼルダと戦っていた人達は全滅していて、赤十字の服を着たワールド・クロスの人間達が救急隊のように動いているその情景に、まるで災害にでも遭ったかのように頭が真っ白になった。

支部だけじゃなく、周辺一帯が破壊されて・・・戦いに巻き込まれたのか。くそ、ディゼルダ・・・。

強敵であるディゼルダに、ウルフは果たして勝てるのか。


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