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エンデバー・フォー・フーム2

般若のグリフォンの内側から醸される威圧感に、これでもまだ16歳の大守幸与は少年らしく大人しくなる。そんなところで般若のグリフォンはコロネに顔を向け、何やらリリコを見た。

「お前も見たのか、我らの中を」

「ちょっとだけ」

お、怒るのかな。

「・・・・・そうか」

変な間があったが般若のグリフォンは一言そう呟くと大守幸与に目線を戻し、無言で近付いた。

「何やねん」

「連れていけ、お前の世界に」

えっ行っちゃうの・・・。

「・・・ええけど」



パトカーのランプが静かに回る中、そして戦闘不能になったテロリストに北村刑事が手錠をかけたので変身を解く。

「お疲れ様」

「はい

 うん」

凉蘭とミントも変身を解き、ホッとしたように笑みを浮かべるその傍らでは指定自警団の“フォロー担当”が壊れた歩道橋や砕けたアスファルトなど、戦いの最中で巻き添えに遭った物を直していく。

能力は広範囲で厄介だったけど、簡単だったな。やっぱり予想以上に僕、強くなれてる。でもな・・・。

「どうかした?」

もうすでに直ったがふと歩道橋に目が留まった時にミントが声をかけてきた。

「もうちょっと被害が出ないように出来たんじゃないかなって」

「大丈夫だよ?指定自警団はみんなでチームなんだから。出来ない事に目を向けてばかりなのは良くないよ?」

「そうですね」

レッドライトニングだけじゃなくて、そもそもフォロー担当のチームだっているんだしな。チームで分かれてても、みんな同じチーム・・・。

「ねえ、デュナンズ・ナイツの影響でテロが減るかもってニュースでやってたのに、減らないね」

「うん。何かね、アメリカじゃテロリストもちっちゃいチームを作ってデュナンズ・ナイツに対抗してるってノブが言ってたし、ここもそうなるんじゃないかな」

えー。そこまでしてテロの主張がしたいなんて。何でだろ。

街も元通りになり、ホワイトボードの依頼をまた1つクリアしたので組織に戻り、何ともアナログな感じで舞台上の部屋のホワイトボードに書き込んでから指定自警団のホールに戻る。

究達はまだか。ライムさんに究に柳菜にアマカゼ君も居るし、一気に2つくらいやるって言ってたしな。

「よお」

ん、ノブさん。リラックスしてる感じだけど。

「ロシアですげえ強い能力者が居て、ヒーローにもテロリストにもなる奴でさ、まあ日本に来るかどうかは分からないが、一応警戒しといた方がいいぞ」

「はい」

半笑いで言われてもな・・・。

「どういう感じなの?」

「魔法系だな。噂だけどな、聞いた話じゃ、ほとんどの攻撃が効かないっていう感じだと。でも1人の女だけはそいつとまともに戦えて、程なくしてそいつは逃げた」

「動画は無いんですか?」

「あぁ。撮ってた奴も居たらしいけど、そういう撮影機器が全部ダメになったんだと」

うお、それも能力かな。

「あとデュナンズ・ナイツな、ガブリエルとドレイクとかはさすがに大人しくなるだろうが、デュナンズ・ナイツ抜きでも自分達でやっちまおうっていうアメリカの奴らも居るってよ。でもまあそいつらはオレらの方で出来るだけやっとく。お前ら明日から学校だろ?」

「はい」

やっぱり気配りも出来るいいリーダーだなぁ。



「大丈夫かな、グリフォン。大守君の世界って事は、みんなから中を見られる訳だし」

「(大丈夫だと思うよ?自分の身を守れるくらいの強さはあるから)」

あのまま大守幸与と一緒に行っちゃったから帰ってきたけど。

「コロネも異世界に興味あるの?」

「(まあそりゃあね)」

帰ってきて早々1人洗面所に向かったリリコが何となく気になって洗面所の方に目を向けながら、ソファーに座ってスマホを見る。

・・・お、お、お。

マナライズしていくとリリコと同じように画面に触れずともスマホはネットに繋がり、ネットニュースを表示した。

うん、練習ってこういう事だよな。



一先ず今、全支部にディゼルダの姿は無い、か。

ブリュンヒルデと合流し、それからどうしようという時、ふとカミーユの冷静に驚愕する顔に目が留まった。

「カミーユ?」

一瞬俺を見た後、するとカミーユはブリュンヒルデに指を差した。

「口にクリーム付いてるぞ」

「え?」

「お前、本当に支部回ったのか?ケーキ食ってただけだろ」

指摘されて慌てて口に付いたクリームを取り、舐めはするが、ブリュンヒルデは悪びれる表情は見せない。

「だって、自棄食いしなきゃ落ち着かないわよ。それに実際に支部に行かなくたってそれぞれのナンバーワンにメールすればいいし」

「何でオレ達には行けって言ったんだよ」

「それは、冷静じゃなかっただけよ」

「カミーユ、女心分からないの?ブリュンヒルデは何も悪くないでしょうが」

セシルにそう言われて呆れるように言葉を詰まらせたカミーユは俺を見たが、俺も特に言葉は出てこないので黙っていると、直後にブリュンヒルデのスマホが鳴り出した。

「・・・どうしたの?うん。・・・分かった」

「何か問題か?」

「単なるアメリカの能力者の動きに関しての報告よ。それでそっちは何か分かった?」

「いや、けどカミーユの知り合いがキャンベラ支部に居て、ヨハンの携帯電話を持ってきてくれればハッキングして情報を引き出してくれる。問題は、どうやって手に入れるか」

「それなら直接頼めば?警察に」

「警察が証拠品を持ち出す訳ないだろ」

「そんなの分からないじゃない」

それから警察署の応接室のソファーに座っていると、程なくして警察官がやって来た。その中年男性は期待を寄せるような表情のブリュンヒルデを見るなり面倒臭そうに顔をしかめる。しかしその手には証拠品としてビニール袋に入れられた携帯電話が握られていて、ブリュンヒルデが手を伸ばすものの男性は素早くそれを頭上に上げた。

「何でよ!」

「証拠品を持ち出させる訳にはいかないだろ。いくら日頃から街を守って貰ってるあんたらの頼みでも、そんな事したらクビだ。だからオレも行く。そもそも証拠品を持ち出す事自体問題なんだぞ」

「分かったわよ。じゃさっさと済ませましょ」

まさか本当に持ってきてくれるなんて。ブリュンヒルデに押されたからかは分からないが、言ってみるものだな。

すると応接室の中だからか周りの目を気にする事なくブリュンヒルデはシールキーを壁に貼り、さっさと扉を開ける。

「おう?能力者のワープ装置か。こんな間近で見るのは初めてだ」

そういえばまだディナー食ってないな。

ダニエルにとっては普通の日中に俺達が来た事になるので、それからダニエルは爽やかな顔で手を挙げた。

「おーもう来たのか。警官まで連れて来るなんて。何かコネでもあるのか?」

「そんなんじゃないわよ。私達には日頃から恩があるでしょ」

「ああ、まあそうだな。それがヨハンの携帯電話か?」

そう言ってダニエルは警察官の中年男性を見るが、当然の如く理解されず、ブリュンヒルデが通訳してそして携帯電話はビニール袋から取り出された。

「じゃあさっさと済ませるか」

パソコンと携帯電話がケーブルで繋がれ、それからのキーボードが叩かれる小さな音が分かるほど、そこは沈黙に包まれる。

「先ずはそうだな、着信履歴かな・・・・・最後の着信はブリュンヒルデだな・・・ふっ」

それより・・・。ブリュンヒルデの着信の数。

「何がおかしいのよ。同じナンバーワンとして連絡事項が色々あるのよ」

「そうか。別に怪しいところは無いな。じゃあ次はメールだな・・・・・何だこれ」

神王会・・・リクジ・・・。

「何で神王会とコンタクトを、いや、最初にコンタクトを取ってきたのは神王会ね。どうやってヨハンのアドレスを知ったのかしら」

「そういう能力なんじゃないか?」

ブリュンヒルデにカミーユが応える中、ダニエルはその他のファイルをまるでタンスの引き出しを開けては閉めるように探っていく。

「クリスティーナが、ディゼルダからのメールから位置情報を突き止められるって言ってたが」

「それはつまり先ずアドレスで端末を特定して、GPSで位置を探るって事になる。それはハッキングというよりクラッキングの世界だ。通信会社のサーバに侵入して個人情報を引き抜いたりする訳だしな。はは、その警官は英語が分からないみたいだが、さすがに警官の前でやるってのはなあ」

「そんな事言ってる場合じゃないわよっ」

「分かってるって・・・こうなったらあいつの力が必要だ、ジーン!頼むよ」

やって来たのはアジア系の顔立ちの女性で、ダニエルが俺達が本部から来た者達だと言うとジーンは愛想良くブリュンヒルデに手を差し出した。

「顔を合わせるのは初めてだね」

「そうね、いつもメールでの連絡だったし」

「ジーン、ディゼルダの携帯電話の現在地割り出してくれ」

「手で?」

「能力で」

「オッケー」

すでに集中してるのか囁くように返事をしたジーンはそれから指を伸ばし、パソコンの画面に触れてディゼルダのメールアドレスをドラッグした。直後にジーンは目の前の何もない空間にタッチし、SF映画でよく見るようなホログラムのディスプレイを出現させ、そして普通にパソコンでも扱うようにホログラムのディスプレイをタッチして操作していく。

「ジーンの能力でクラッキングすれば、機械的に識別される事がないんだよ」

し放題って事か。しかしデュナンズ・ナイツだからな、悪用する事は無いか。

「彼女は何をしている」

警察官の男性がそう聞いてきて、ふとブリュンヒルデに顔を向ける。

「解析よ」

「そうか」

「・・・あれ、おかしいな」

「どうしたんだ」

「現在地が分からない。携帯電話の電源切ってるんじゃないかな」

「そんな」

セシルが呟くと、ジーンはもう探すものはないといったように諦めが伺える表情でホログラムを消す。

「最後に現在地が消えたのは本部の近くだけど、意図的に現在地を探られないようにしたならその場に留まる訳ないよね」

もう、どうする事も出来ないのか・・・。いやでも。

「なら、次は本部のカメラだな。そもそもそれが見れれば何が起こったか分かるんだ」

すると警察官の男性には理解されないと分かってるからか、ダニエルは当然のようにそう言った。

「ダニエルが言ったんだぞ携帯電話持ってこいって。次はカメラの映像データが入ったパソコンだとよ」

「何だって!?そんなでかいもん隠して持ち歩ける訳ないだろ」

「頼むよ、もうここまで来たんだから」

「お前ら焦り過ぎなんじゃないか?事件の捜査ってのは焦ったって上手くいかないもんだ。まったく、お前らに協力すれば捜査が捗ると思ったが、どうやら間違いだったようだな。帰るぞ、さっさと証拠品返してくれ」

落胆を態度で伺わせながらダニエルは黙ってヨハンの携帯電話を渡し、そして警察署の応接室に戻ってくる。落胆が充満しているからかブリュンヒルデでさえ黙っている中、携帯電話を胸ポケットにしまうと冷たい表情のまま、警察官の男性はそして扉を開ける。

「仮に事件が暗礁に乗り上げたら、正式にお前らに頼んでやる。それまで待ってろ」

誰が声を上げる間もなく扉は閉められると、それから今は警察官の男性の言うことを聞くしかないのかという重たい空気に、カミーユは唸りながらソファーに倒れ込むように腰を落とした。

「仕方ないか」

直後に応接室の扉が開けられると、再び警察官の男性が冷たい表情で顔を出す。

「ここは寛ぐ場所じゃないぞ」



あ、戻ってきた。でも何か落ち込んでる。

「また遺伝子を改変したの?」

「うん。髪の毛みたいにすぐに処理が終わる情報量じゃないみたい」

「どんな遺伝子にしたの?」

そう聞くと読み取って欲しいのか、リリコは途端に真顔で黙り自分を見つめてくる。

「万渉術ね。時間がかかるって事は複雑な感じなのかな」

「りっくんのはもう処理済んでるよ」

「え、万渉術?」

「違うよ、マナライズ。鉱石で能力を得るっていうのは、能力っていう外部メモリを脳っていうコンピューターに繋いでるようなものなの。だからその外部メモリを丸ごとコンピューターにインポートしたの。で同時に外部メモリはフォーマットしたから、りっくんは鉱石を2つまで使ってる状態に戻ったって訳」

「何かやけに専門用語が。じゃあ、マナライズ、レベルが無くなったんだ」

「うん」

「さっきリリコみたいに触らずにスマホ動かしたよ、練習がてら」

気が付くと笑みを浮かべたリリコの仲間意識からの喜びやら嬉しさを感じていて、それから密着するようにリリコが隣に座ってくるとハイミがテーブルに乗って目の前にやって来た。

「ハイミもマナライズ出来るようになったよ」

「おお、そうなんだ。リリコの世界でも動物もマナライズするの?」

「するよ。ナウレトさんもそうだけど、他にも知能の高い動物いるし」

ウルフ達がシールキーでどこかに行く度、時差の計算が大変です。


ありがとうございました

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