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ディスミスゲーム3

「君の能力は面白いね」

・・・え?

転がった先にはダンディーな中年男性が居て、しかも僕を見るなりこんな状況でも余裕に満ちた佇まいでそう声をかけてきた。

「ドレイクはね、“感知したものの動きを勝手に反転させてくれるセンサーを持っている”んだ。つまり、彼の力に相応しくないレベルの能力者はすべて、彼と戦う事すら出来ない。そんな絶対強者である彼に触れられるとは、君は面白い」

「ど、どうも」

絶対強者・・・。レベルが足らなければすべて跳ね返される。なるほど。

「ドレイクのその力のレベルっていくつなんですか?」

「それは私も知らないんだ。ドレイクにとっては最重要機密という事だろうしね」

確かに、それはそうか。

「指定自警団、何故歯向かう。お前らはデュナンズ・ナイツと目的は同じはずだ」

力で攻めるだけの人かと思いきやドレイクは話しかけてきて、そんな時にガブリエルの紫の雷炎が轟き、神王会の人達を吹き飛ばしたり、アスファルトの破片を散らしたりしていく。

「同じじゃないよ、これじゃテロだよ!」

「見た目はテロだとしても中身が違う。大義があれば、世界はデュナンズ・ナイツを認める」

大義・・・。そりゃあ、ネットじゃ賛否両論だ。つまり認める人達もいる。

「でも、そういうのは世界中が認めないとだめだよ。一部の人に理解されればいいなんて、そんなの認められてるなんて言えない」

「これは革命だ。道半ばで打ち砕かれるから革命は悪とされるが、日本を治め、アジアを治め、そして全世界を治めて完遂されれば、革命は悪とは言われない」

革命・・・。

「道半ばで打ち砕かれるから悪なんやない。悪だから打ち砕かれるんや!」

ドレイクが振り返る中、ふと気に留まったのは攻撃が跳ね返されたのに尚強気なオオモリユキトの佇まいだった。

「お前の力のトリックはもう分かった」

するとオオモリユキトは手を伸ばし、どんな攻撃が出てくるのかという緊張が張り詰めるが、直後にオオモリユキトの手からは何も出ていないのに衝撃音が鳴り、ドレイクはまるで体全体に何かがぶつかったように後ずさった。

ええっ。

「何だと」

「センサーに感知されたら跳ね返されるんやったら、感知されない攻撃をすればいいだけや」

感知されない、見えない攻撃か。

今度は両手を突き出したものの、オオモリユキトの見えない攻撃がドレイクを襲う前にドレイクは横に跳んで転がり、直後に僕の体は吹き飛んで悪魔風の人獣にぶつかった。

そんな・・・いてて。

「聖」

そこには究が居て、立ち上がった悪魔風の人獣が怒ったように睨み付けてきた瞬間、ベーグを頭に乗せて炎を纏うゼロニアが悪魔風の人獣に体当たりする。



「キョウスケ大丈夫かな」

「対デュナンズ・ナイツチームには回復役も居るし、大丈夫じゃないかな。それよりドレイクの跳ね返す力のレベル、“ブースター”の力でレベル6だ。“レベルを上げる能力”で覚醒せずにレベルを底上げするなんて考えたよね。ていうか、いいの?りっくん、ずーっと突っ立ってるけど」

「だって、そもそも自分、偵察係だし」

「(ちょっと退屈。自分ならあんな人間達、全員まとめてボコボコなのに。他の動物が巻き込まれでもしたら、出動しちゃおうかな)」

・・・・・さすが、ヌシ。

「ドレイク派の能力者達の能力、一通りマナライズしたし、私達帰っていいんじゃないかな」

「まあ一応、観察も仕事だし、退屈ならリリコ、ハイミとコロネ連れて散歩でもしてくれば?」

「ええ?りっくんが居るなら私も居るよ」



「ウルフ、私は用が出来た。ここは頼む」

「ど、どこに」

こんな状況で?・・・。

「ディゼルダに真実とやらを聞いてくる。ウルフ達は出来る限りドレイク達を鎮めてくれ」

「・・・分かった」

真実、か。ドレイクに意志を固めさせた真実とは、一体どのようなものなんだ。

リングたちが勝手に動いてガブリエルの紫の雷炎の爆風を防いだり、向かってきたアメリカからの能力者と戦ったりする中、いつもの余裕に満ちた雰囲気で静かにシールキーを壁に貼り、この場から去っていったヨハンを何となく見る。

「ウルフ!」

ん・・・。

特に色などの個性は付いていない、普通の見えない衝撃波の卵を出現させ、それを爆発させて周囲に衝撃波を放つという魔法で、セシルが俺に飛びかかってきたアメリカからの能力者を吹き飛ばす。しかし直後にセシルは背後から飛んできた拳の形をした炎の塊の直撃を受けて飛んできたので、思わず抱き止める。

「もーウルフ、早く本気出してよ」

「分かったよ」

100パーセントカーボンだけで出来た、限り無く強度を追求した“カーボンアーマー”を全身に纏い、同時に5つのリングも最強強度を追求したカーボンでコーティングする。それから手を前に出し、手の前に呼び寄せた1つのリングから、何かに当たれば破裂して衝撃波を放つ光の弾を発射する。着弾と衝撃波でマントを着けた男性を吹き飛ばしたところでふとガブリエルを見ると、ライムと一緒に居た、一見弱々しい小柄の少女リュウナが“白く煌めく光を纏った1発のパンチ”でガブリエルを大きく後ずらせて尻餅を着かせた。

「リリースブラスト!」

直後にトドメを刺そうというように、ライムと一緒に居た少年キュウが両手から赤、青、黄の3色の光の球を撃ち出し、その球の大きさからは想像出来ないほどの爆発でガブリエルを襲う。そして転がってきたガブリエルは立ち上がれないようにもがいていて、そんな姿にその少女と少年はホッとしたように微笑み合った。

見掛けに依らず、やはり能力者軍隊だな。



再びドレイクに蹴り飛ばされて地面を転がるがすぐに立ち上がり、まるで子供でも相手にしているかのように見下してくるドレイクを見つめる。連携している訳ではないが、そこでオオモリユキトは見えない攻撃を仕掛けてドレイクを硬直させたので飛び出して殴りかかる。しかし拳は当たり仰け反ったもののドレイクはタフなボクサーみたいに素早く反撃してきて、やはり経験が違うからか僕は再び倒れ込んでしまう。

いてて・・・くそぉ・・・でも、全然スタミナは落ちてないし、まだまだいける。

「ドレイクさん、別に悪だとは言わないけど、やっぱり間違ってるよ。だから止める」

「いいだろう。そうやって、私達人間は、結局力でしか解決出来ないんだ。悪とされたものが死ななければ、正義を正義と呼ぶことは出来ない」

そんな・・・。

「そんな事ないよ」

ミントさん・・・。

「死んじゃったら、間違ってる事も理解出来ないよ。間違ってる事を理解出来れば、殺し合う必要は無いんだよ?」

「間違ってるだと?テロリストに裁きを与える事が間違ってるというのか」

「そうじゃなくて、テロリストだって、間違ってる事を分からせないと、ただ殺したって何も変わらないよ」

「間違ってる事を理解したところで、テロリストに殺された者は帰って来ない」

「ていうか、俺、人殺しやないけどな。何で俺にケンカ売ってきてんだよ。中途半端なヒーロー気取りをボコボコにしただけやし」

「なら、私はお前のような中途半端なテロリスト気取りをボコボコにしてやる」

「何やと」

「指定自警団、確かにお前の言う事は理解出来る。だがデュナンズ・ナイツは止まらないぞ」

「ドレイクさん、私達、協力出来ますよね?目的は同じなんだし」

「協力だと!?何故戦っている」

「それは、あなた達がちょっと周りが見えなくなってるから。それを分かってくれれば協力出来ますよね?」

「お前も、暴走してるのは私の方と。それは、私の試練だな。デュナンズ・ナイツが世界を治めれば、人の意見など簡単に変わる。私はそれまで止まらない。止めたいなら、力で示してみろ!」

力・・・やっぱり、それしかないのかな。人間だしな、敵キャラじゃないんだもんな。でもそれなら、力で示せば、大人しくしてくれるんだよな。

「アマカゼ君、リインフォースってどうやるの?」

「えっああ、どうって、コツは集中して強くイメージするだけだよ」

強くイメージ・・・・・よーし。

「んーーーーーーっ──」

進化、進化・・・。全部のDNA情報を、1つにして強く。うわっ何か、体が、熱く・・・。

「んおおおっ!」

そして瞬間的に高圧的なものが体の中から弾け、まるで何かの爆発の中にいるような感覚を通り過ぎてふと自分の体を見下ろしてみる。

すごいな、これまではDNA情報を重ねてる感じだったけど、今は、ワシとかゴリラとかじゃなくて1つになってる感じ。よーし。

するとドレイクはかかってこいと言わんばかりに僕に体を向けてきたので、足を踏ん張り、翼はあるが最早旅客機のジェットエンジンでもあるかのように黒炎を噴かして飛び出し、殴りかかる。しかしドレイクは僕の拳を受け流すとそのまま僕の体も受け流し、勢いをつけた分、僕は盛大に飛んでいって転がってしまった。

何だよ、武術の達人かよ・・・もー。



それからリュウナが神王会の人を殴り飛ばしたエミリアンを背後から蹴りつけ、怯ませた時にキュウが召喚獣に炎を纏わせて突撃させていくと、エミリアンは見るからに疲弊したようにゆっくりと起き上がる。

もう、エミリアンも限界か。それにしてもキュウとリュウナ、敵にしない方がいいな。

「ウルフ」

振り返ると戦いという名の喧騒の中、ジョアンが真っ直ぐ俺を見つめていて、そこに神王会の人達が向かっていくが素早くナディアが4つの武器から放つ緑光の衝撃波で軽く蹴散らした。

「何故だ、何故俺達と戦う。仲間じゃないのか」

「仲間だからこそだ。ジョアン、お前もディゼルダから真実を聞いたのか?それともただドレイクに味方しているだけなのか?」

「いや、俺にとってはドレイクの言葉が真実だ」

「味方なら、ドレイクを導けよ。ただ黙って味方してるのは、ドレイクを孤独にしてるだけだ。だから人は暴走する」

「ガブリエルやエミリアンも居る。俺が何を言っても、届かない」

「ウルフ、別に私達、ドレイクに意見したいって思ってない。それよりヨハンはどこ行ったの」

「ディゼルダに真実を聞きに行くんだと。ドレイクが何を聞いたか確かめる為に」

「もしヨハンがドレイクと同じになったら、意見するの?」

ドレイクと同じに?・・・。いつも単独行動で、方針が決まった時に共に行動するだけの俺が・・・。

「俺が意見したところで、それで方針を変えてくれるかは分からない。しかし、黙っている事がいいとは思えない」

「結局、お前らは、デュナンズ・ナイツそのものを見下しているんだろ」

そう言ってガブリエルが5連の大斧を杖代わりにして立ち上がる。

「見下してるなんて」

「ドレイクもディゼルダも分かってるぞ。ヨハン派は、調和をもたらす為にデュナンズ・ナイツに身を置いている、ワールド・クロスの人間達だと」

・・・分かっていたのか。ヨハンはワールド・クロスの上層部しか知らない極秘任務と言ってたが。

「しかし敵ではない」

「そういう事じゃない。結局お前らヨハン派は、心からテロリストの存在しない世界を望んでいないんだ」

「そんな事ない。戦わないという理念に反しても、ワールド・クロスはテロリストの排除を望んだ。それがヨハン派だ」

「なら、何故ヨハンは、デュナンズ・ナイツに徹しない」

それは・・・・・。

「ヨハンは傲慢だ。自分が抑止力などと」



黒炎を纏わせた拳を力いっぱいに振るい、ドレイクの顔をぶん殴ってようやく倒れ込ませると、それから起き上がったドレイクは肩で息をして疲れた様子で僕を見た。

ふう・・・ふう、やった。

しかしそうかと思いきやドレイクはスッと立ち上がり、深呼吸してからファイティングポーズを見せた。

んー。何か敵味方関係なく、すごいって思っちゃう。リインフォースして互角か。僕だってミントさんに武術を習ったんだ。

「おらっ」

あっ。

割り込むようにオオモリユキトが見えない攻撃をしてドレイクの気を逸らすと、何となく追撃するのが後ろめたくなる。すると何故かオオモリユキトは僕を見て、追撃しない僕を見てか更に見えない攻撃を仕掛けていく。横に跳んだものの、直後にドレイクは少しだけ宙に浮き、見えはしないが縛られているような感じになる。

「はああああ!」

うおっ。

そして必死にもがいているドレイクにオオモリユキトが両手を向けると、直後に両手からはダイヤモンド色の凄まじい光線が放たれた。

あれ、見える攻撃・・・。

しかしその場のすべての眼差しを引き付けるようなキレイで凄まじい光線が止まると、ちょっとだけ宙に浮いたままドレイクは気絶したようにぐったりしていて、そして音を立ててドレイクが落っこちると、良くも悪くもすべて眼差しがオオモリユキトに向けられた。

「どうだ!デュナンズ・ナイツぅ!」

「オオモリ君トドメ刺しただけやん」

ウルフの能力は少しだけ氷牙に似ています。でもそれに気が付く人なんかいません。似てる人なんて、沢山いますからね。ミントやシンジが見ても、少し氷牙を思い出すだけ。


ありがとうございました

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