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ディスミスゲーム2

「(どれくらい寝てた?)」

「30分くらいだよ?」

「(じゃあそろそろまた捜そうかな)」

「コロネ、お腹空いてないの?」

ハイミがそう聞くと、コロネは少しだけキョロキョロする。

「(この体、お腹空かないから)」

「何で?」

まるで子供が聞くようにまたハイミが問いかけると、何となく気にかかるような挙動を見せながらコロネは黙ってハイミを見た。

「・・・そうなんだー」

え、テレパシー?気になるな。

「(とりあえず誘き寄せるのはあそこかな、ほら、箱根の、自分の縄張り)」

「結構歩くけど、ワープで連れてってくれるの?」

「(別にいいよ)」

ヌシか、お腹空かないって、本当に神っぽいな。

目には見えないけど明らかに何かを感じるような空気的なものが体にまとわり付いてきた直後、すでに目の前にはあの時の富士芦ノ湖パノラマパークが広がっていて、ちゃっかりコーディガンを着てきたリリコはそれでも寒そうに腕を組んでくる中、コロネは集中するように動かなくなる。

「自然に囲まれてていいとこだな」

そう言ってハイミも肩に乗ってきて、何となく散歩でもしようかと思った矢先、何十メートルか離れた場所にコロネが現れた。

あれ。コロネ2匹に・・・分身か。

しかし分身が消えた後、誘われて誰かがやって来るかと思いきや、そこに訪れたのは静寂だった。

「(おかしいな。来ないや)」

来ない、か。来れないんじゃなくて、来ないのかな。

「来ないならいいんじゃない?」

帰りたそうにリリコが声をかけるが、コロネは自分自身の縄張りだからかお座りしたままリリコに顔だけ向けた。

「(早い内に手を打ちたいんだけどな。様子見るからもうちょっと待ってよ)」

「いいけど」

再び動かなくなったが直後、コロネは立ち上がったので何となく周りを見渡す。

ん・・・。

「(ありゃ、その人、デュナンズ・ナイツに絡まれて戦ってるよ)」

「えっ急に?」

「(うん急に。どうする?見に行く?)」

キョウスケに報告も必要だしな。

「頼んでいい?」

そしてワープさせて貰った場所は交差点に面した芝公園の端っこで、すでにちょっとした観客も居る中、ガブリエルと戦っているのはなんとヒーローキラーとウシクだった。

「まさか、マナライズみたいな事してきて追いかけて来たのって、あのダイヤモンドの人?」

「(そうだよ?)」

うえぇ、あの人か、うん、確かにヤンキーだな。っとキョウスケに電話しないと。

「キョウスケ?」

「おう何だ、今これから芝公園だ、デュナンズ・ナイツが戦闘してる」

「あ、うん自分もそれ見てるから電話した」

「そうか、その割りにはちょっと電話遅くないか?」

「箱根に居たから」

「そうか」

翼と鎧は発動しているが、ウイングネイルの力やダイヤモンド色の攻撃は使わず、何となく2つの力よりも強力なんじゃないかと思えるほどの“隕石風ミサイル攻撃”でデュナンズ・ナイツ達を翻弄していく。

すごいな、アメリカの人達も居るんだろうし、2対何十なのに、ヒーローキラーが押してる。でも、本当に隕石落ちたみたいに、道路がボコボコだ。車も渋滞して警察も規制とかして働いてる。自分も神王会として介入しなきゃいけないんだけどなぁ。

「りっくん、何怖じ気付いてるの」

「だって無理だよ、ガブリエルとヒーローキラーだよ?キョウスケ達来るの待たなきゃ」



「ヨハン、行かなくていいの?」

「この前だって私が声をかけてやらなかったらどうなってた事か。まったく困った人だなガブリエルは」

何だ、あの能力者は。ガブリエル達をものともしないなんて。

「ヒーローキラーだっけ。確か新宿での戦いでもガブリエル達はヒーローキラーに退けられたし、こうやってリベンジしに来てもこれじゃ、ガブリエルじゃ敵わないって事だね。ヨハンとガブリエルって、どういう仲なの?」

「単なる仲間だ。ワールド・クロスの時は同じチームに入る事がよくあってね。別に特別親しい訳じゃない」

「そうなんだ」

そう言うとセシルはポケットからではなく、まるでマジシャンのように手の中にいきなり携帯電話を出現させる。

「ヒーローキラー、記録しよっと」

ヨハン、動かないのか・・・。じゃあ何の為に俺達を。

「それにしても激しいな」

カミーユの呟きを掻き消しそうな轟音を上げ、俺達の方面へ弾き飛ばされてきた隕石が爆発すると、その風圧は思わず顔を背けさせた。

「ヨハンっ行かないの?ガブリエルやられちゃう」

「もう少し待とうじゃないか」

待つ?一体何を、いやまさか。

再び上空に現れた小さな隕石がガブリエル達目掛けて落ちていったその時、まるで見えない壁でもあるかのように隕石は跳ね返り、逆にヒーローキラー達を襲った。

「あ、ドレイクとエミリアン。加勢かな」

セシルが独り言を溢す傍ら、期待した通りに事が運んだのか笑みを溢すヨハンにふと目が留まる。するとヨハンはようやく歩き出したのでついていくと、何やらヨハンの前に別のグループと思われる3人の男女が近寄ってきた。

「あの」

「それって確か、警察と提携してる能力者の証だっけ?」

セシルがそう聞くとその女性は目を丸くしながらも、警戒心は伺えない表情を見せる。

「はい、私達指定自警団です」

なるほど、日本の能力者軍隊か。

「昨日みたいに説得するんですか?」

「説得が目的というより、対話が目的というべきかな。君達の用件は何かな」

「ガブリエル達を止める目的が同じなら、協力出来ないかなって」

「止める、か。昨日も言ったが、私達はチームが違うだけで目的は同じだ」

「じゃあアメリカの人達が来るのは賛成なんですか?」

「いや、それは賛成しないが」

「なら大勢で押し寄せるのを止めるだけでも協力出来ますよね?」

強引ではあるが、何故だろう、厚かましい印象が無い・・・。

「なるほど、指定自警団はアメリカの介入には抵抗するのか。しかし別にもう1つ私なりの目的があるんだ」

するとおもむろにヨハンは俺達に振り返った。

「3人は彼女に協力してあげてくれるかい?」

「え!ヨハン1人で何するの。せめて2人ずつにしなよ」

「対話の基本はマンツーマンだ。じゃないと無用に警戒心を抱かせてしまうからね。それに君達の相手はアメリカ勢だ、人数は多い方がいい」

「1人も2人も変わらないと思うけどな」

「ここはヨハンの指示に従おう」

カミーユがそう言うとセシルは不服そうではあるが黙り込む。



大丈夫かな、ライムさんと究達。ミントさんは神王会に話があるし、そしたらライムさんが行くってなったら究と柳菜も行っちゃった。あれかな、究はライムさんを先生にしてるのかな。

「あ、来た、神王会の人。聖、凉蘭」

「うん

 はい」

アマカゼがオオモリユキト達と何やら話してるのを横目にしながら、白い鎧の人達がオオモリユキト達やデュナンズ・ナイツの人達に近付いていくのを見ていく。

「神王会の皆さん」

神王会の人達が一斉に振り返ってくるが、毎度全員が全員表情が分からないという事にやっぱり威圧感を感じる。

「お願いがあるんだけど、デュナンズ・ナイツを止めるの、協力して欲しいの」

「昨日も言っただろ。神王会ってのは、あんたらみたいに警察に協力せず、自分達の力だけで街を守る為に動く組織なんだ」

「でも目的は同じでしょ?」

「それならむしろ協力しなくてもいいだろ。表立って協力しなくても敵は同じなんだから」

敵じゃないなら、それでいいのかなぁ。

神王会が来て、オオモリユキトとガブリエル達の間に立ったからか戦いの手が止まると、その訪れた静寂に苛立つようにガブリエルが紫の雷炎を威嚇するように立ち込めさせるが、そこに昨日のダンディーな中年男性が歩み寄る。

「ミントぉー」

ライムが手を振って満足げにやって来ると何やらヨーロッパ系の外国人を連れてきた。

デュナンズ・ナイツの人達、だよな。まさか協力してくれるなんて・・・。



「カミーユさんと、セシルさんと、ウルフさんだよ。デュナンズ・ナイツ側からもアメリカの人達を追い返すの協力してくれるって」

まさか、セシルが出身を聞いたら、異世界って・・・しかも双子で。異世界から来た人間の話はドイツでもあるが・・・。

「ありがとうございます。私ミントです」

「指定自警団、何だよそいつら、デュナンズ・ナイツって」

「アメリカの人達が大勢で来るのを反対してる人達だよ?」

「ま、反対派でもヨハン派だけじゃ戦力とは言えないだろうが」

白い鎧で統一・・・こいつらが神王会か。

「そんな事ないよ。デュナンズ・ナイツの中でもヨハンさんの方につこうって人達、きっと現れるよ」

人見知りを感じない笑みでライムがカミーユにそう言葉を返したその時、突如ドレイクが2メートル半ほどに体格を巨大化させ、鉱物のように全身の皮膚を尖らせ、何となくヨハンと穏やかじゃない雰囲気を感じさせる。すると直後にドレイクはまるで追い払うように手加減した感じでヨハンに殴りかかり、ヨハンは仕方なさそうに後ずさる。

ドレイクの奴・・・。

ドレイクのそんな態度に触発されたのか、エミリアンも“恐怖を連想させるような容姿が特徴的な悪魔風の人獣”へと変身を遂げ、同時にガブリエルは紫の雷炎で神王会の人達を攻撃した。そして直後、ガブリエルはエミリアンと共に再びヒーローキラーへと向かい始めた。

「じゃあみんな、私達も行こう。翼解放」

白い翼を生やして白黒の鎧を纏ったライムが歩き出すと、“魔法使いが持つようなタクト”を出現させたセシルも、“盾にもなるサーフボードのような剣”を2つ出現させたカミーユも一緒に歩き出し、そしてドレイク達3人と対峙するような形となる。

「デュナンズ・ナイツを裏切るのか」

ヨハンも来たが、ドレイクは俺達3人に言うようにそう口を開く。

「オレ達はヨハンと共にある。ドレイク、お前いつからそんなに頭が悪くなったんだ」

「何だと?」

「オレ達ヨハン派は、デュナンズ・ナイツに調和をもたらす為にいる。他の奴らだって、暴走してるのはお前の方だって思ってるよ」

「・・・調和か。・・・カミーユ、お前は真実を知らない。何故、能力者という存在が生まれたか。それを知ってもまだ、自分は調和をもたらす側だと言い張れるのか」

「何言ってんだ」

「私は聞いたんだ。ディゼルダから真実をな。バカバカしくなったよ、何がワールド・クロスだ。この世界に元々調和なんて存在しないんだ。だったら私達は、私達が抱いた理念をただ全うするだけだ」

ディゼルダ・・・真実・・・。

「そこをどけ。暴走だと?それは違う。お前らが無知なだけだ」

「真実って何だ」

「ディゼルダに聞け」

直後にドレイクは殴りかかってきて、あてがったもののカミーユの盾剣は空しく吹き飛び、それからエミリアンも殴りかかってきてもう1つの盾剣もカミーユの傍から離れてしまう。それでもエミリアンは殴りかかってきたので、“見た目はリングだが見えないシールドが張られている”リングの特性を活かし、リングの中心でエミリアンの拳を受け止める。

「おらあ!」

その時に神王会の人が横から飛んできて、“竜の頭を模したガントレット”でエミリアンの顔をぶん殴った。



また乱闘だ・・・。でも。

「ミントさん、僕達も。ドレイクって人を止めれば、多分みんな止まりますよ」

「うんそうだね」

黒炎の怪鳥とワシゴリラ、オッシーを発動して向かっていった瞬間、見た感じヒーローというより敵キャラな悪魔風の人獣が雄叫びと共に衝撃波を放って神王会の人を吹き飛ばす。しかしウルフは黒っぽい宝石みたいなテカりを見せる輪っかをもう4つ出現させて、合計5つの輪っかで壁を作って身を守った。僕達がオオモリユキトの前に出ていくとドレイクも進んできて、今度は僕達がドレイクと対峙したような形になる。

「ちょっと待てや、別に守って貰う筋合いないんや」

「でもオオモリ君、隕石跳ね返されたやん」

「トリックを暴けばなんて事ないやろ」

まったくオオモリユキトもオオモリユキトだな。神王会みたい。

「これが僕達の仕事だから」

「巻き添え食らってもオレは悪くないからな」

そう言うとオオモリユキトは僕達を通り過ぎていってしまい、先制攻撃を仕掛けるように殴りかかっていくが、拳が突き出されようという直前、オオモリユキトは跳ね返った。

おおっと・・・。

「その程度の力では、私の敵ではないな」

跳ね返す力、かな。それなら単にレベルが上なら。でもオオモリユキトの万渉術も跳ね返されたし。

試しにオッシーを発動させてから、翼からの黒炎で勢いをつけながら殴りかかると、僕まで少しびっくりしてしまうほど、僕の拳はドレイクの頬に当たってドレイクは大きく仰け反った。

「何やねん、お前だってただの能力者やろ」

おほ、やっ・・・うわ。

素早く殴り返してきたドレイクの拳を何とか受け止め、今度は黒炎の弾で応戦し、その爆発でもってドレイクを後ずらせる。しかし巨体の割りに素早く腕を掴まれてしまうとそのまま投げ飛ばされ、勢いよく地面の叩き落とされてしまう。

・・・いてて。

ディスミスゲームは頭の中から現実へ。


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