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ディスピュート

「やっと土曜日だな、緊張してきた。新しく覚醒してないけど、今の俺らの戦力なら問題ないよな」

「うん」

「ミントさん、また見てるだけなの?」

柳菜がそう聞くと、ミントは何とも難しい表情を浮かべる。

「やっぱり、この前みたいにすぐ人を殺しちゃうような人達なら、指定自警団としては見てるだけじゃだめだと思う」

テロ予告はしたけどテロはしてない、でも予告したんだからテロは未然に防いだ方が良いに決まってる。鎮圧はテロをしてる相手にする行為。でも被害者が出てからじゃ元も子もない。考えると、結構難しいな・・・。

背中ドクロが邪魔して来ても、今回は、戦わないと。

指定された時間の24時間前から明治神宮外苑軟式球場と、その周辺も少し広めに封鎖され、当然その周りには入れないマスコミ各社ややじ馬達が集まる中、警察車両で軟式球場に入った事にやっぱり優越感を感じてしまう。そして指定された時間の30分前になった頃、北村刑事がイヤホンに気を向け、ふとした緊張感を醸し出す。

「テロです。恐らく集まってきた一般の人達を目当てにしたものと思われます。巨大生物を操ってるらしいです。場所は明治記念館方面の路上です」

「僕行くよ」

「私も」

究に言うと究は頷いたがすぐにミントも志願してきたので、ワシゴリラ、黒炎の怪鳥、シロロンを発動し、変身したミントと一緒に飛んでいく。20メートルくらい上空から真っ先に見えたのは、銀色の何かで両目を覆われた3メートル級のサソリ体型のワニのような生物で、大きな口や短足、ギザギザの背中は正にワニだが、全身は黒い毛皮に覆われ、反り返った尻尾からは炎が放射されるその脅威は最早モンスターだった。

ん、傍に岩人間が居る・・・。見た感じ、モンスターを操る系の能力か。

隣は自然溢れる赤坂御用地なので、すでに木々は燃える中、岩人間と巨大生物の前に立ちはだかると目を隠されてるのに巨大生物は途端に立ち止まり、同時に岩人間が近付いてきた。

「どけよ指定自警団、ガブリエルを潰しに行くんだからよ」

「だったらここで暴れる必要なんてないだろ」

「あ?デュナンズ・ナイツはテロリストを相手にすんだろ?だからこうやってテロしてんだろうが」

デュナンズ・ナイツが、テロを誘発・・・。やっぱりそれじゃ、ヒーローなんかじゃないよ。

「恨むならガブリエルを恨めよ」

「ガブリエルはテロを起こせなんて言ってないよ?テロはあなたの責任だよ?」

「うるせえよ指定自警団っ。だったら来いよ!この世は力がすべてだろっ」

怒ったような横顔が目に留まった時にはすでにミントは飛び出していて、しかし巨大生物が大きな口で素早く噛み付いていくとミントは上顎をぶつけられて失速する。

ワニモンスター、どうにかしないと。

「指定自警団っ」

ん・・・。

「テロリストを離れさせてくれ。消防が来れない」

「あはい」

そう言うと制服警官は下がっていったので、とりあえず全速力で激突してワニモンスターを怯ませる。

「ミントさん、テロリストをここから離れさせないと消防車が来れないって警察の人が」

「そうだね」

「やっぱり一旦野球場に追い込んだ方が良くないですか」

「うん」

黙って野球場に来てくれた方が良かったけど。しょうがないか、テロはこいつ発信だし。

「ガブリエルと戦いたいなら、テロを止めて今すぐ行ってよ、じゃないと逮捕するよ?」

「・・・・・分かったよくそ」

岩人間がワニモンスターに乗っかって、緊迫感は凄まじいが大人しく道路を闊歩していく中、駆け寄ってきたさっきの警官は良くやったと言わんばかりに肩を叩いてきた。そしてすぐに警官が無線で消防車を呼び始める中、近付いてきたミントは何故か微笑んでいた。

「成長したね」

「そ、そうですか?」

「行こ?」

「はい」

やじ馬もマスコミも、警察さえもワニモンスターという巨体に道を開けていきそしてワニモンスターが野球場に入った時、その後に続くように知らない男性、そしてなんとウシクが入っていった。

あれ・・・。

1頭の雷光ヘビを肩に乗せているウシクに近付いていくと、真っ先に雷光ヘビが僕に気付き、ウシクも振り返ってきた。

「新しい仲間?」

「仲間じゃねえよ。ただの同業者」

同業・・・ていうか何の。何かウシク、テンション低いな。



「何で、サイゴウとニカイドウとウシクだけなのかな」

「さあな、紅蓮会は紅蓮会でまた傭兵でも集めてんじゃないか?だからあいつら今は暇なんだろ」

暇か・・・。サイゴウ、ほんとに巨大生物作ったのか。強そうだけどちょっと可哀想だな。

「近くに来てるのか?」

「うん、目の前のビルの上」

「見てるだけか?」

「分かんない。加勢とかは要らないだろうけど、気が向いたら行くよ」

「はは、気が向いたらかよ。あと10分ちょっとだな、じゃ切るぞ?こっちも準備運動するかな」

「うん」

キョウスケとの電話を切ってスマホをしまい、コンビニで買った缶コーヒーを飲む。

「りっくん、ガブリエル、戦力的にもう負けてるんじゃないかな?指定自警団に神王会に、テロリストだし」

「いやいやみんな味方同士じゃないし、それにジョアン達も来るでしょ」

今回はオトナリ達は来ないかな。前だって名指しで指定してる訳じゃなかったし。

「でも宣戦布告したんでしょ?」

「うん。今日はほら、もう先客居るし、来てても見てるだけなんじゃないかな」

「ねえちょっと散歩してきていい?」

「うん」

体高1メートルくらいには成長して、もう普通に喋れるハイミが飛んでいって少しした時、サイゴウ達とちょうどよく離れた場所にガブリエル、ジョアン、4つの武器を持つ女性、そしてワープ役のスキンヘッドの男性が音もなく静かに現れた。直後にスキンヘッドの男性は姿を消し、ガブリエル達に気が付いたニカイドウが声を上げ、そこには一触即発の緊迫感が吹き込む。



ワニモンスターを前にしてか、喋るよりも速くガブリエルは赤いプレートアーマー、紫の雷炎を纏い、5連の大斧を地面に突き立てた。するとまるで敵同士気持ちが通じたようにワニモンスターが動き出し、尻尾から炎を放射し、そして戦いが始まった。

「背中ドクロっ」

お、究・・・。

すると背中ドクロはゆっくり振り返ってきた後、一瞬キョロキョロしてから日本刀を出現させながら歩み寄ってきた。

「人をファッションで呼ぶな」

「だって知らないんだもん、名前」

「・・・・・ジョアン」

特に自己紹介するような雰囲気ではないが、ため息をついた後にそう言ったジョアンに、何となく人の良さを感じてしまう。

「俺は・・・究」

何か、変な空気になっちゃった。

「どうしてデュナンズ・ナイツになったの?」

背中を向け始めた矢先にミントがそう聞くとジョアンはまたゆっくり振り返る。

「聞いてどうする。理由なんて差ほど問題じゃない。問題は、デュナンズ・ナイツとしてどうしていくかだろ。俺も、人に共感は求めない。俺がやる事は1つ、悪人を成敗する事だ」

何だろな、理解は出来ないけど、ちゃんとした人みたい。

「それ、諦めてるだけなんじゃない?」

「何だって」

「答えはちゃんとあるから。なのにジョアンはそれを考えようとしないで、諦めてる」

「答え?悪人を成敗する事は間違ってると?」

「ううん、そうじゃなくて。悪人の中にも色んな人がいるでしょ?許されてもいい人だっているのに、どんな人か考えないで殺すなんてだめだよ」

「・・・・・人殺しに、許されていい人なんかいてたまるか」

怒鳴ってはないがすごい剣幕の表情にミントさえふと黙り込むが、敵ではないと思っているからかジョアンは刀は抜かず、静かに背中を向けた。

一応、人を殺すほどじゃなかったテロだってあるけど。そもそもそういうのはテロとして見てないとか?

頭から血を流し、倒れたワニモンスターが動かない中、岩人間はガブリエルと、右肩にガトリング砲を乗せている男性とウシクは4つの武器を持つ女性と対峙しているが、気にかかったのは3頭の雷光ヘビに戦いを任せて自身はまったく動かないウシクだった。



サイゴウ、ダメージを半減する力だよな。てことはガブリエルは相当な力なのか。でもサイゴウが弱いのかな。

まるで手加減でもしてるように5連の大斧は地面に刺したまま、ガブリエルが紫の雷炎を纏った拳で殴りつけるとサイゴウは足をもつれさせて遂に倒れ込む。すぐに立ち上がるもののサイゴウは少し息が荒く、それと対照的にまったくダメージの伺えない佇まいのガブリエルという構図に少し退屈な気がしてきたところでそこにドレッドヘアの知らない男性がやって来て、ガブリエルに近付いた。

デュナンズ・ナイツ仲間かな。何話してるんだろ。

すると直後にドレッドヘアの男性はコウモリのような翼を生やし、飛び出してサイゴウの頭を掴んだ。しかし岩人間だからか持ち上げられるような事はなく、ドレッドヘアの男性はサイゴウの顔を蹴って宙返りする。

あれ?・・・。

まるで人形のようにサイゴウは倒れてしかもまったく動かなくなったので、ちょっとだけマナライズしてみるとサイゴウから見えた感情は痺れて動けないというものだった。

・・・触れたら麻痺させるとか?危ないな。

するとドレッドヘアの男性は次に4つの武器を持つ女性の下に行き、何かを話してからニカイドウに向かって飛んでいくが、ガトリング砲の銃弾が男性を牽制していく。その瞬間、女性は4つの武器を一斉に光らせ、ニカイドウとウシクに向けて広大な緑の閃光を放った。

うわ、あの強烈なやつ。

ウシクは雷光のマントと雷光ヘビに守られて立ち堪えたがニカイドウは倒れ込み、起き上がった矢先にドレッドヘアの男性が頭を掴むと、ニカイドウは痺れたようにそのまま静かに倒れた。

んー、やられたか。このまま、2人は逮捕かな。後はウシクか。



殺しちゃったのかな・・・ん。

雷光ヘビが吐いた雷光に女性もドレッドヘアの男性もウシクから離れていく中、また別の知らない男性達が6人来たがその男性はウシクに声をかけた。

「ウシク、新しいグループ作ったのかな」

「そうなのかな」

究に応える間にもどこか赤を基調としたファッションで統一した男性達は各々武器を出現させたり変身したりしながら、岩人間とガトリング砲の男性を庇うように立ちはだかっていく。

「グレンカイ!」

これから戦いが激しくなるのかと思い始めた矢先、6人全員が白い鎧を纏う統一感がすごい神王会の人達がガブリエル達を挟み込むようにやって来て、その場にはちょっとしたカオス感に包まれる。

「何してんだ、お前らデュナンズ・ナイツと戦う理由無いだろ」

「ここに来たのはこいつらの勝手だが、逮捕されるのを黙って見る訳にもいかないんでな」

「テロリストを庇うなら、敵として見なす」

神王会の人にグレンカイの人が応えた時、4つの武器を持つ女性がグレンカイの人達に向かってそう口を挟む。

「デュナンズ・ナイツ、お前らグレンカイと戦う理由無いだろ。一応グレンカイはどっちかというと多分テロリストの部類には入らない」

「曖昧過ぎるだろ、何だそれ」

「それとも何か?デュナンズ・ナイツはテロリストでもない奴等と戦う三流マフィアか?」

「侮辱するなら容赦しない」

え!ガブリエル、日本語喋ってる、何で?

「殺しはしない。だが我々の邪魔をするなら動けないようにはしてやる。どの道、テロリストを野放しにしていい理由など無い」

するとガブリエルは神王会の方に体を向け、ジョアンと女性はグレンカイの方に体を向けていく。

は、始まるか・・・。でも、本来は争う必要のないグループ同士・・・。

神王会の人が挑発したからしょうがないとは思うが、ガブリエルが5連の大斧を手に取り、佇まい自体が緊張感みたいなガブリエルがそして5連の大斧を振り、紫の雷炎を撒き散らすとそれは津波のように僕達の方にもやって来て思わず避難してしまう。しかし避難してしまったからか、乗ってきた警察車両が巻き添えを食らい、サイドミラーが吹っ飛び、フロントガラスが割れてフレームも少し歪んだ。

あちゃ・・・。そういうとこは見境無しか。何だかな。

6人の内5人が盛大に倒れ込む中、1人が黄緑の火の玉を投げるように飛ばし、瞬間的な爆発でガブリエルを襲う。爆発自体のダメージは大した事ないみたいだが、その爆風は瞬間的に黄緑の氷塊と化し、ガブリエルは足元ごと氷漬けとなる。しかし神王会の人が再び掌に黄緑の火の玉を灯らせたと同時にガブリエルの全身から弾けた紫の雷炎は黄緑の氷を砕き散らした。火の玉が投げ込まれるも雷炎はそれを吹き消し、そしてまた神王会の人達全員は紫の雷炎に襲われた。

実力が違う・・・ん。

砕け散る黄緑の氷の壁が衝撃を和らげたのか、火の玉の男性は倒れる事なく、更には空に消え行く紫の雷炎を自分の手に引き寄せた人はそれを細くまとめて撃ち返していく。

指定自警団として、どうしたらいいんだろう。ただ見てるだけなんて・・・。いや──。

ふとミントを見ると、警察の人達をちょっとだけ離れさせてきたミントは僕と目を合わせた時、まるで僕の気持ちを察したように表情を引き締めた。

「止めた方がいいですよね?これじゃ、ただのケンカですよ」

「うん。みんなっ」

上空から降ってきた光の散弾がふと目に留まるが、それはすでに球場全体を叩くように地面に落ち、辺りは砂埃という薄い煙幕が巻き上がった。

おっと・・・。

直後に砂埃は風に流れていき、ふとすべての目がその方に向けられると、上空からやって来た5メートル級のすごく見覚えのある騎士風の巨人が球場に勢いよく降り立った。

・・・何で?・・・オオモリユキトの、ガルジャン・・・だよな。

組織対組織、理念対理念、どんどん入り乱れていきます


ありがとうございました

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