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孤独なダイヤモンド

アマカゼの言葉に周りの空気は静まったが、その瞬間ふと目に留まったのは、アマカゼの言葉を理解しているからこそアマカゼを真っ直ぐ見下ろすウイングネイルのその態度だった。

「・・・何やお前」

「俺もユミヒロ高校やから」

まさか・・・ウイングネイルが・・・。

「おいここ異世界やぞ!異世界まで追い掛けてくるか?普通」

「違うよ。俺は2ヶ月も前からこっちに来てる。それでたまたま知ってる名前聞いたから、俺の世界のオオモリユキトか気になって」

ウイングネイルがアマカゼ君の捜してた、センゴク達のリーダー?

「あ?気になってって、それだけかよ。追い掛けてきた訳やないなら関係ないやろ」

「・・・・・・まぁ」

そういえばアマカゼ君、オオモリユキトを捜して、どうするつもりだったんだろ。

「ユキト!!」

仲間とは思えないほどの怒鳴り声を上げたセンゴクに思わず顔を向けてしまった直後、センゴクは金色の光を眩く纏い、カッコイイ戦闘スーツを更に攻撃的に洗練させ、その手には眩く輝く黄金の剣を作り出した。すでに銀色のテロリストは飛び上がっていて、その拳は見た目には変わらないものの威力が上がったらしく、顔を殴られたオオモリユキトは大きく仰け反った。

あれ、オオモリユキトって、センゴク達のリーダー・・・。

するとセンゴクも飛び出してオオモリユキトに斬りかかるが、剣と鎧が甲高い衝突音を鳴らすと同時にまるで本人が爆発したかのようにオオモリユキトから凄まじい爆風が広がり、思わず顔を背けてしまってから見てみるとセンゴク達は地面に落とされ、辛そうにもがいていた。

・・・強い・・・。

「お前ら、何してんだよ」

そんなセンゴク達にウシクがそう声をかけるが、センゴク達はウシクを無視するようにただオオモリユキトを見上げ、しかも再び飛びかかろうと身構えたがその直後、雷光ヘビが雷光を飛ばし、爆竹のように跳ね回る雷鳴でもってセンゴク達を牽制する。

「邪魔すんな!」

虫でも払うようにノールックで金色の強風が放たれるとセンゴクは飛び上がり、雷光ヘビが金色の強風をその身でもって打ち消した事など見向きもせずに再び銀色のテロリストと共にオオモリユキトを襲っていく。

何だ?どうなってんだ?オオモリユキトが現れた途端、センゴク達、急に態度を変えて・・・。

そんな時何となく目に留まったのは、センゴク達を冷静に睨み付けるウシクの表情だった。

「お前ら、まさか・・・最初から──」

落ちてきたダイヤモンド色の炎が地面を鳴らし、更にそのダイヤモンド色の爆風は僕の方にもやって来たのでとっさに飛び退く。爆風が消え行くとそこには倒れている銀色のテロリストの姿があったが直後、銀色の体が空気に溶けていき、それはなんと春隆となった。

「・・・究っ」

「え?」

僕を見た究を眼差しで促すように春隆に目線を流すと、春隆はダメージに疲弊したような態度ながらも、そんな僕達の固まったようなリアクションに対してまるで知った風な表情を返してきた。

「・・・何で」

その瞬間、片膝を落とし、痛みやらに表情を歪ませながらも、口角が上がったその態度にふと目が留まった。

「言ってなかったか?あいつにチームを潰されてから、俺はヒーローとして、センゴクはスパイとしてあいつのチームに潜り込み、あいつを追っかけてた」

「え・・・」

「何だよ、それ、俺達騙したのか」

「騙す騙さないじゃない。お前達はそこの2人の能力者と同じ、あいつを誘き出す為の駒だ。それに、あいつに復讐したいってのは嘘でも何でもない」

南原さんと、センゴクが、仲間・・・。でも・・・。

その直後、春隆は背後から襲ってきた雷光に吹き飛ばされてしまう。

あ!・・・。

「騙しやがって」

「おいっ」

ウシクに究が向かっていったのを見ながら春隆に歩み寄ると、春隆は怒りの籠ったような呻き声を漏らしながらゆっくりと起き上がり始めた。

「くそ、こうも、うまく行かないとは・・・」

「でも、最初、センゴクと戦ってた」

「はっ、あれは、芝居だ。コクエンにもお前達にも、俺とセンゴクの関係を悟られない為に」

「じゃあ、この前は何で、僕達と」

「言っただろ。お前達はお前達でチームとして成長したから、俺は、俺で、やるって。ふう、まあそれにお前達の実力試したかったしな」

復讐、それだけの為に、ここまで・・・。

そんな時にセンゴクが地面に墜落してきて、やはりダメージがあるからか、立ち尽くしたまま春隆は溜め息のように笑いを溢し、項垂れた。

「こんな筈じゃ・・・」



「大守君、ホントは、大守君だってヒーローになりたかったんやないの?ウイングネイルだって、『ディアべリアル』だって、ヒーローの力やし」

もがいているセンゴクを見下ろしていた幸与は俺に目線を向けてくるが、フルアーマーなので表情が分からず、相変わらず独り宙に浮くその佇まいからふとした緊張感が流れる。

「俺、見てたんだ。給食費泥棒の真犯人から、大守君が給食費の袋奪い返したとこ」

「だから何や」

「だからホントは、テロリストになんかなりたくないんやないの?」

「でも、あいつが犯人はオレだっつったらみんなそれを信じたやろ」

「それはやっぱり、黙って教壇に袋を置いちゃってたから、ちゃんと自分が奪い返したって言えば」

「んな事したら余計俺をそういう目で見るやろ」

そんな事・・・。

「そんなんやから、万渉術の無い、違う日本に来たってのに。これから新しい人生を始めんだ。邪魔すんなよな」

「よぉ、お前、ホンマはそれ、逃げてるだけやないか」

「・・・あ?」

「事情を知らんでも分かるわ。お前は、逃げてるだけやってな」

「黙ってろよっ」

幸与が急降下していきシキに殴りかかるものの、シキに纏う風はまるで武術かのようにその拳を受け流し、同時にシキが振り上げた剣は幸与の肩からダイヤモンドの欠片を散らした。

ダイヤモンドが・・・。

「どらぁ!」

幸与がよろめいたところに更にシキは風を纏い過ぎてモヤがかかったような拳を腹に突きつけ、幸与を転倒させる。

「あれ、ダイヤモンド言うても、打撃には弱い筈なんやけどな。えらい硬いやないか」

「ただのダイヤやないわ。外側はただのダイヤやけど、内側は編み込んだダイヤを重ねたりしてる、だからこその鎧なんだよ」

「ほう。ほんでも、能力者の能力っちゅう時点で、この剣には敵わへんで?」

「あ?」

「俺も教えたるわ。能力者になる鉱石っちゅうのはな、能力者になる為だけのもんやないんや。この剣は能力やなくホンマもんで、刃に鉱石を混ぜ込んどる。すると能力者に対して特効作用が付くんや。せやからいくら能力の形に理屈が通ってようと、お前にとっちゃ俺は唯一の天敵やで?」

特効作用・・・。そんな事もあるのか。

「天敵?だったらこれならどうや」

そう言って幸与は掌からダイヤモンドのように反射する物質を発生させていくと、それはまるでパズルが繋がっていくように宙を舞い、そしてその物質たちは形はごく普通なダイヤモンド色の1本の剣になった。

「ただの剣やないか」

直後に幸与は飛び掛かり、有無を言わさず剣を振り下ろす。そんな剣を受け止めようとシキが剣をぶつけたがその瞬間、シキの剣は音を立てて虚しく砕け散ってしまった。

「・・・なっ」

1本だけになってしまった剣から風の刃を飛ばして幸与を牽制したシキだが、幸与はそんな慌てるシキに追撃する事はせず、ダイヤモンドの剣と余裕を見せつけるような態度をぶつけていく。

「何でや」

「教えてやるよ。この剣は能力やなく、本物やからや」

「んな訳ないやろ」

「シキさん、これが万渉術だよ」

「あれか、想像したら何でも出来るっちゅう」

「あぁ。ダイヤモンドってのは炭素の配列の問題やから、それを操作すれば作るのは簡単やしな。それに、お前が天敵なのは間違いや。お前らの力には限界がある。けど万渉術にはレベルも何も無い。この世界にとって、天敵はお前やなくて、オレや」

「くっ・・・」

「・・・大守君、もう、ええんやないかな」

「あ?」

「シキさんはテロリストやない、本物のヒーローだよ。戦う理由なんてない」

「先に手を出してきたのはそこの金色と銀色の奴らや。テロ鎮圧とか息巻いてケンカ吹っ掛けて来やがって。そしたらネチネチ復讐しに来やがって。まぁ、あいつらだけやない、そういう奴らはオレはヒーローとは認めない。結局そういう奴らは自分の為にヒーローやってるだけ。だからケンカを買ってやった。返り討ちに遭うのはそいつが弱いからや。オレは・・・悪くねえよ」

「ほんでもお前、テロリスト扱いされとるで?ケンカ売られる理由があったんやないのか?」

「知るかよ・・・」

「とにかくや、新しい人生はええけど、それはここやのうて自分の世界でやる事や。テロリスト扱いされとるんやから」

「・・・知ったように言うな。指名手配されてんのに、戻れるかよ」

「え」

また何かやらかした?・・・。

「おいおい、やっぱりお前の問題やないか。ちょっとはええ奴か思たのに、心配して損したわ」

「あ?心配とか意味分かんねえ」

「シキ!」

そんな呼び掛けに俺と一緒に幸与とシキも揃って顔を向けていくと、その方からは指定自警団の一員として有名なゴトウショウリ、そしてカトウアイリが居た。

「おお、どないした」

「いやいや、テレビで見てたけど、劣勢じゃん」

ゴトウショウリがそう応えているその時、幸与は素早く天に右手を伸ばし、その頭上にダイヤモンド色の光を生み出した。

あれは・・・。

「ん?」

そしてシキ達がその光に目を向けるその瞬間、光は爆発するような速度で5メートル級の騎士風ガルジャンとなった。

うわぁ・・・「オルタ・デルタ」。あのアニメの、しかも正義の騎士王をまんまガルジャンにするなんて。

ウシクの下に向かっていく幸与を追いかけようとゴトウショウリが動き出した瞬間、オルタ・デルタは右手と一体となっている「グローリーキャノン」でその足元に銃撃し、光の銃弾とその爆発でもって牽制する。

・・・やっぱり、ヒーロー、好きなんじゃん。

「ウシク、とりあえずどっか逃げろ」

「あぁ」

え、逃げちゃう。

「待てよ・・・」

立ち上がるのもやっとなセンゴクが枯れたような声で呼び掛けるも、そんなセンゴクには見向きもせずに幸与は機械の翼からビームを噴き出し、とてつもない速さで飛び去っていった。しかしオルタ・デルタの存在感に緊迫感は途切れず、グローリーキャノンから放たれた無差別に降り注ぐ光の散弾にシキ達、そしてショウ達も皆オルタ・デルタに敵意を向けていく。

ガルジャンにはガルジャン、光には、闇・・・。

ダークカンガルーとグラスウルフと顔を見合せて走り出し、左手と一体となっている「ブリリアンスソード」を振りかざしたオルタ・デルタに向けて、ダークカンガルーと一緒に闇の球を撃ち放っていく。

「シキさん、剣には気を付けて。攻撃範囲が広いんだ」

「何で分かるんや」

「あれ、俺の世界のアニメに出てくるやつなんだ」

腕を交差し身を屈めて闇の球を受けた直後、オルタ・デルタは俺に向けて光の銃弾を撃ってきたが、ダークカンガルーが飛び出すと体に纏ったその闇に、光の銃弾と爆発は吸い込まれるように弱々しく空気に溶けていった。

「そんなのも、想像で出来んのか」

カトウアイリがまるで凄腕の万渉術士みたいに、激しく燃え上がらせた炎を空中で分割させ、それをロケットのように飛ばし、そして着弾と同時に炎を凍らせていく中、体の所々が炎の氷に締め付けられたオルタ・デルタは胸元の紋章とマントを光らせた。

あ、あれ来る。

紋章の光が炎の氷を吹き飛ばした直後、オルタ・デルタは胸元の紋章から超高圧な光を放つ「サバイブ・ジャスティス」を繰り出した。間一髪でカトウアイリはそれをかわしたものの、球状の光は正にアニメみたいに地面をえぐっていき、そして最後には大爆発を起こして更にその地面には巨大な窪みを残した。

うわぁ、公園がめちゃくちゃ。オルタ・デルタ、ヒーローなのに・・・。

それでもそんな派手な攻撃など慣れきっているように、シキは真下から飛び上がりオルタ・デルタの顎を打ち上げ、そこにすかさずゴトウショウリが“昼間には見えない武器”で追い打ちをかけ、更にカトウアイリが炎を噴き出す氷のロケットでトドメを刺していく。

すごい、さすが指定自警団・・・。

指定自警団の戦いに呆然とするように立っているキュウとショウにふと目が留まった時、その目線のままプロメテウスにも目が留まると、目を合わせてきたプロメテウスは微笑むと何やら俺の方に歩み寄ってきた。

「前みたいにあたしを頼ってくれないのね」

「え!?頼っても応えてくれないじゃん」

「でも頼られなくなったらそれはそれで、寂しいわ?」

・・・めんどくさ。

「でも、大丈夫だよ。あれくらいなら、シキさん達も居るし」

「そう」

それより、大守君・・・大丈夫かな。

オルタ・デルタのイメージは、オプティマス・プライムとか、オメガモンとか、まぁその辺りでしょうかね。基本的には想像にお任せです。


ありがとうございました

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