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ガルジャンテイマー・アンド・プロメテウス

初めてやったけど、出来るもんやな、ジョイニング。

「じゃあ、行くよ?」

「うん」

ラストエンペラーペンギンに意識を向け、それに応えるようにガルジャン達も各々ラストエンペラーペンギンに闘志を向けていったと同時に、ラストエンペラーペンギンの盾が青白い光のような冷気を纏う。

来る!・・・。

ガルジャン達が俊敏に離れた直後、ラストエンペラーペンギンの盾は強烈な冷気のビームを放ち、とっさにそのビームの行く先に振り返ると、何十メートルも先のビームに当てられた壁とその周辺には瞬時に凍結が広がっていく。

危ない・・・。

バーニングムフロンが突撃していくが、ラストエンペラーペンギンは盾で豪快にバーニングムフロンを薙ぎ払い、ひっくり返ったバーニングムフロンがじたばたする最中にカミナリペリカンが上空から電撃のビームを仕掛けるが、ラストエンペラーペンギンは瞬時に氷の壁を作り出し、盾を使わずに攻撃を防ぐ。しかしそこにショウの黒炎の球が放たれていくと、砕け散る氷の壁と共にラストエンペラーペンギンは尻餅を着く。

隙が出来たっ・・・。

すかさず闇の球を撃ち放つと同時にカミナリペリカン、グラスウルフ、バーニングムフロンもそれぞれ電気、冷気、炎の球を撃ち放ち、そしてラストエンペラーペンギンは4色の爆発に呑み込まれていった。

やったか?・・・。

しかし直後、爆風の中から強烈な冷気のビームは放たれて、その水平に照射されていく暴風のような冷気圧にガルジャン達は成す術なく呑まれていき、そしてそれは最後に俺の下にやってきたのでとっさに体を闇で包み込む。

ぐっ・・・。

それでも衝撃は抑え切れず、ふと足元を見ると地面は凍っていき、まるで台風でも相手にしているかのような風圧を受けながら何とか立っていられるというそんな中、ショウが黒炎を纏った拳で殴りかかると、ラストエンペラーペンギンは瞬時にそのビームをショウに向ける。

ふう・・・。そりゃ完全には抑えられないよな。さすがに。

黒炎がラストエンペラーペンギンを後退りさせ、強烈な冷気のビームが止んだその状況に期待が膨らんだ矢先、ラストエンペラーペンギンは怒ったように鳴き声を上げると足元から水流を噴き上がらせ、水鉄砲のような局所的な津波という反撃を繰り出していく。

ショウ・・・。

やはり物理的に相性が悪いのか、放たれた黒炎は瞬時に鎮火され、ショウは強烈な津波、そしてミサイルのように襲っていく氷のトゲにやられて地面を転がっていく。

そんな、あの姿なら、ラストエンペラーペンギンと互角のはずじゃ。

「坊や、もしかして、さっきよりあの子の力が弱まったとか思ってないかしら」

「え」

「得てして感情とはそういうものよ?感情とはつまり制御装置。暴走が収まって正気になるという事は、感情によって無意識に力が抑えられるという事」

そ、そうか・・・。

「それにしても、ガルジャンを使うのって面白いわね」

でも、ラストエンペラーペンギンの力があればセンゴク達を倒せるかも知れない。でもその為には能力者としてのレベルを上げなきゃ・・・。どうすれば。

そんな時、ラストエンペラーペンギンはプロメテウスに振り返り、何やら手を挙げてみせる。

「えぇ?んー、まぁラスティがそう言うなら」

ラスティ?・・・。友達かよ。

するとプロメテウスはラストエンペラーペンギンに歩み寄り、何やらその可愛らしいペンギンの手を掴んだ。

「何するの?」

「ラスティがね、ジョイニングじゃない方を見せてあげればって」

ジョイニング、じゃない方・・・、いやまさか。

プロメテウスと手を繋いだラストエンペラーペンギンから間欠泉のように光が噴き上がっていった直後、ラストエンペラーペンギンは宙に浮き、イルカのように尻尾を発達させ、ヨーロピアンな鎧には海色の羽衣を飾り付け、そして6角形の盾は星形の6角形へと変化を遂げた。

リインフォース・・・。ガルジャンの強化。ていうかスーパーレアを強化するなんて、さすがプロメテウス。

すると強化された事に嬉しがるようにラストエンペラーペンギンは宙を泳ぎ回り、そんなラストエンペラーペンギンにプロメテウスはまるでガルジャンの創造者かのように笑顔を浮かべる。そして気が済んだのか、ラストエンペラーペンギンがプロメテウスの隣に浮き留まると、プロメテウスとラストエンペラーペンギンは戦いの続きをしようかと言わんばかりの雰囲気を醸し出してくる。

いやいや・・・。

「もうええわ」



まるで漫才の締めのようなセリフに、プロメテウスとラストエンペラーペンギンはキョトンとした表情で顔を見合わせる。

「ただでさえ勝てないのに、何でわざわざ強化なんか」

直後、アマカゼの言葉にラストエンペラーペンギンは手を挙げながらラッパのような鳴き声を上げる。

「そうよ。坊やだってリインフォースすればいいのよ」

「え・・・」

「むしろ、その子達のリインフォースもマスター出来ないで、スーパーレアを扱えるかしら」

「それは、そう、やけど」

ジョイニングとか、リインフォースとか、ガルジャンって意外と奥が深いな。

「おーい」

振り返るとホールの扉の方からは究がやって来て、凉蘭が居ない事を理解しながら、何となくテンションの高い究を見ていく。

「何だよプロメさん、戦うのめんどくさいとか言ってたくせに」

「あたしは戦ってないわよ?戦ってるのはこの子よ」

「そ、そっか。俺の相手もしてよ」

「鳥井さんは?」

「疲れたからってホールに戻ったよ。でも凉蘭の相手してたのは戦闘魔晶達だったから。それでホールに戻ったらこっちがすごい事になってるからさ」

遊びたくてしょうがない子供のようなテンションの究に何を思ったのか、ラストエンペラーペンギンは短く鳴き、プロメテウスに振り返る。

「そ。この子はいいって」

「お、やった。聖は?」

「僕も、ちょっと休憩かな。黒炎の怪鳥とワシゴリラとシロロンの3つを重ねられるようになって、実質的に1段階強くなったみたいなもんだし」

「おおっそうか。なら俺ももっと強くならないと」

人間に戻って闘技場の椅子の無い観客席に上がり、ラストエンペラーペンギンと究の戦いを眺めていた時、ふと近くに居る、カーバンクルをペットのように膝の上に乗せているアマカゼに目を向ける。

「まるで、別に強くなりたい訳じゃないのにって態度ね」

気が付くと僕の右斜め上にはプロメテウスが居て、プロメテウスの言葉にまるで図星かのように、振り返ったアマカゼは苦々しい表情を浮かべる。

「他のスーパーレアの子達、早く出たいって言ってるわよ?」

「・・・うん」

「早くちゃんとモチベーション持ちなさいよ?」

「・・・うん」

プロメさん、そういえば半分ガルジャンじゃないんだよな。でもガルジャンって、人の思念っていうし、もしかしたら、プロメさんが保護者っぽいのはアマカゼ君が無意識に親みたいな存在を欲してるからかな。

「ていうか、プロメテウスって何でそんなに、親みたいなの?そんなキャラだったっけ」

・・・あれ?

「俺、そんな風にした覚えないけど」

「えそうなの?」

思わずそう声を出してしまうと、アマカゼが僕に顔を向けた時にプロメテウスが上品に笑いを吹き出す。

「坊や、人の思念には潜在意識が混ざってるのよ。そもそも坊やがガルジャン作ったのは、寂しいからじゃないのよ」

やっぱ・・・そうなのかな。

「でも、別に俺、親が欲しいなんて思った事ないよ。住職のじいちゃん、ちゃんと親やってくれてたし」

「それに坊や、1回覚醒してるわよね?それはつまり進化であり、ソウゾウを超えるって事よ」

・・・ソウ・・・ゾウ?

「いくら万渉術が解明されても、創造者の想像を超えたら理解出来なくて当然よね」

創造者の想像を超える?・・・それって最早、創造物ではないんじゃ・・・。いやプロメさんが特別なのかな。



「プロメさんて、何か特別なガルジャンなの?」

ていうか、キュウもショウも、何でプロメさん?まいいや。

「特別っちゃ特別かな。ガルジャンはチャンネルが1つしかないって言ったでしょ?でもプロメテウスが唯一持ってるチャンネルは、万渉術なんだよ」

「・・・ん?」

「10年くらい前やったかな、万渉術そのものを特化したチャンネルにしてガルジャンを作ったって話があって、でもそのガルジャンは暴走して、しかもチャンネルが万渉術だからとてつもなく強くて、創造者も殺されて、それで何人がかりでやっと倒してっていう悲惨な事件があって。それで俺もプロメテウスを作る時、そのチャンネルを万渉術にしたんだ」

「へぇ、でもプロメさん、暴走してないけど」

「それはただのガルジャンは創造者の感情に左右されるけど、ガルジャンカードのガルジャン達にはそれぞれ自我を持たせたから。まぁ、その時点で、最早ガルジャンじゃないかもやけど」

「そっか、何か、通りですごい動物感があると思った」

「でもいくら自我があっても、何かプロメテウスだけは俺もよく分からない時があるし。単に覚醒したからなのかもやけど」

ふとプロメテウスを見るとプロメテウスは頬杖を着いてキュウを見ていて、キュウを見るとキュウは強化されたラストエンペラーペンギン相手にどこか遊ばれてるような動きを見せていた。

そりゃ、別に強くなりたい訳やないけど、スーパーレア達の事を考えたら、強くならなきゃな。

戦闘魔晶達を装着したキュウはまるで万渉術でも扱うように、氷の壁を作ったり、電気を飛ばしたり、炎を武器状にしたりしてラストエンペラーペンギンの相手をしていくが、ラストエンペラーペンギンが強烈な冷気のビームを放っていくと、体に纏った電気と武器状の炎で威力を分散させているものの、台風のような風圧に身動きが取れなくなってしまう。そして強烈な冷気のビームが止み、同時にキュウが疲れ果てたように膝を落としたその時、遠くではあるがほんのりとキュウの体全体が光ったのが見てとれた。直後にキュウはすんなりと立ち上がり、驚くように自身の手や体を見下ろしていく。

「キュウ」

ショウが呼ぶと、振り返ったキュウは何が起こったかを理解したかのように陽気な笑みで親指を立てて見せた。

「やったじゃん」

覚醒・・・か。

ショウ達がそれぞれの家に帰ったので大阪の組織の自分の部屋に帰ると、ショウ達に出会ってからカードに戻らなくなったプロメテウスは相変わらずカードに戻らずにソファーに座り込み、テレビを点ける。

ジョイニングに、リインフォース・・・。リインフォースしたガルジャンとジョイニングしたら、それなりに強くなれるかな。

何となくソファーに座り、まるで家猫のように歩き回るカーバンクルを横目にしながらおよそ20階くらいから見るような景色を窓から眺める。

「プロメテウスがカードに戻らないのって、その方が楽しいから?」

「そうねぇ。ガルジャンがいっぱい居たら寂しくないだろうなって思いながら坊やがガルジャン作ったからよ」

「そっか」

いくらスイートルームでも、さすがにレアカード全部出せないよな。出せても動き回れないし。

ルームサービスで夕食を運んできて貰い、ダイニングテーブルでパンとスープ付きのハンバーグを食べていると、カーバンクルが寄ってきたのでパンをちぎって食べさせる。

モチベーションかぁ。ショウ達のモチベーションってどんなのだろうな。

「ねぇ坊や、明日、どこか連れていってよ。暇でしょ?」

「・・・うんええよ」

創造者の想像を超えた、か。確かにそれでこそ俺の求める究極のガルジャンやけど、でも何やろな。めんどくさいとか、センゴクと戦ってるのに逃げようって言ったり、急にガルジャン使ったり、リインフォースしたり。想像を超えるって、そういう事なのかな。

翌朝になって同じようにルームサービスを頼み、ダイニングテーブルの向かいの席で卵スープを飲むプロメテウスを何となく気にしながら、朝食のローストチキンのサンドイッチを食べ、そしてシールキーで作った扉で大仙公園に出ていく。

「やっぱり良いわね、自然。あたし自然大好き」

さすがに朝は人居ないや。

カーバンクルを原寸大にすると、カーバンクルは犬みたいに体をブルブルさせた後に地面の臭いを嗅ぎ、嬉しそうに公園を見渡した。

「何やそれっめっちゃ可愛いやん」

高校生っぽい知らない女性が話しかけてくると、その馴れ馴れしい女性はおもむろにポケットからスマホを取り出した。

「俺の召喚獣」

「へえー、センスあるやん。撮ってええかな?」

「ええけど。普通、みんな結構怖がるんやけど」

「私能力者やから」

そう応えながら、女性はスマホからシャッター音を鳴らす。すると直後、女性の眼差しはプロメテウスに向けられた。

「てか、コスプレ?」

「あら、人型の召喚獣だっているわよ」

「そ、そらそうやね」

そして終始フレンドリーに去っていった女性から、何となく空に目線を移していく。

落ち着くなぁ・・・・・関西訛り。

創造者の想像を超えたものは最早ガルジャンじゃない。でもその想像をも創造するのが「万物に干渉する術」という事ですね。


ありがとうございました

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