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ゴールデンウィンド・アンド・シルバーリザードマン

キュウが振り返ってきて、一気に総攻撃を仕掛けてしまおうという思いをその眼差しに見せてきたその直後、まるで最初から見てたんじゃないかと思うほどタイミング良く、ウシクの後方から金色の戦闘スーツで全身を覆ったセンゴクがやって来る。

でも、2対3やし・・・。

「行け、グラスウルフ」

再びグラスウルフを召喚したところでカーバンクルも戻ってきて、同時にショウがコクエンのガルジャンをラーニングした姿に変身すると、直後にセンゴクは前置きもなく金色の風の塊をやじ馬に向けて撃ち放った。色の付いたただの風圧なのに、ただの風圧とは思えない衝撃に人々は枯れ葉のように舞い上がり、悲鳴を散らせていく。しかもセンゴクは正に無差別テロのようにまた別の方へと掌を向け、金色の風という凶器をやじ馬にぶつけていく。

「やめろ!」

戦闘魔晶たちが飛んでいき、横から後ろからとセンゴク達を取り囲んだが直後、センゴクは素早くキュウに向かって小さな金色の塊を撃ち放ち、キュウは交差した腕でガードしたものの敵わず、砕け散る氷の壁と共に勢いよく倒れ込んだ。

「カーバンクルっ」

戦闘魔晶たちを離されて攻撃されるなんて、キュウの力、見切られちゃってる・・・。

ショウが黒炎を飛ばしていくがそれは雷光ヘビに阻まれ、センゴクはその間にも金色の風を体から噴かせてロケットのように飛び出し、スランバーに強烈な一撃を繰り出す。

「スランバー!」

しかしキュウの呼び掛けも虚しく、地面を転がっていったスランバーはそのまま空気に溶けて消えていった。

「くそぉ」

「まさか、スランバー死んだ?」

「死なないさ。でも復活までに時間がかかるんだ」

「どれくらい?」

「分かんない。やられたの初めてだし。ゲームじゃそうだから、多分俺のもそうだろな」

そんな時にショウが更に姿を強化させ、角と尻尾を生やして体格自体を少しだけ肥大させる。トカゲ風の鳥顔で翼に毛皮に鱗、角に尻尾に筋肉ムキムキな体格という、最早ただのモンスターになったショウは直後、“それらしく”雄叫びを上げる。

「ショウ?」

しかしキュウの呼び掛けも虚しく、ショウは向かってきた雷光ヘビ以外目に映らないかのように、雷光ヘビの頭を素手で掴み、黒炎を纏った拳で雷光ヘビを殴り付ける。そんな時にもセンゴクは狩りでもするように飛び掛かり、ベーグを襲った。

「戻れシバー!」

戻ってくるシバーに向かってくるセンゴクにグラスウルフを向かわせ、間一髪でシバーを守ったもののセンゴクは止まらず、今頃になってようやくその動物のような殺気と瞬発力に恐怖を抱いた直後、再び間一髪でシバーはキュウの体にくっつき、そしてキュウの電撃を纏った手はセンゴクの拳を弾き、拳に纏っていた金色の風を爆発音のような風音と共に散らしていった。

「まだまだ雑魚だな高校生。人が本気を出すって事はこういう事だ」

そう言い放つとキュウが応える間もなく、センゴクはキュウに殴りかかる。しかしセンゴクの拳がキュウの頬に当たった瞬間、電撃音と共に拳は弾かれ、更に逆にキュウが両手から放った電撃にセンゴクは大きく後ずさった。

「誰が雑魚だって?」

「おお、まぁまぁやるじゃねえか」

しかしキュウを見たまま、直後にセンゴクはまたやじ馬の方に掌を向けるがそこにグラスウルフが立ちはだかり、撃ち放たれた金色の風は氷の壁に阻まれる。

「チッ・・・」

「お前の相手は俺だ!周りの人を巻き込むなっ」

「あ?オレはテロリストだぞ?律儀に1対1でなんか勝負するかよ」

自分と同じ言い回しを使われたからか、キュウは言葉に詰まり、そんなキュウにセンゴクはバカにするような笑い声を上げる。そんな時にやじ馬が歓声混じりにざわめき、ふと視界に吹き飛ばされて倒れ込むウシクが映り込むと、ウシクに振り返ったセンゴクの舌打ちからは純粋に焦りを感じた。

「あっちの高校生は、お前なんかよりマシみたいだな」

すると直後、センゴクは手を真っ直ぐ天に伸ばした。

ガルジャン・・・。

しかしとっさに身構えるもののセンゴクの手の上には何も現れず、その瞬間何となく蠢く大きな何かが見えると、突如センゴクの隣には滑らかな印象を感じさせる銀色の鱗と鎧に全身を覆った、トカゲと人間の間のような骨格をした何かが現れた。

「何だそいつ、それがお前の、ガルジャンか?」

いや、何か違和感がある・・・。

「こいつはガルジャンじゃねえよ。普通の能力者」

やっぱりそうか。

「そんな、まだ仲間が居たなんて」

「そっち頼む」

顎でショウを差してセンゴクがそう言った直後、銀色のテロリストは風音を鳴らして残像を見せ、瞬く間に数メートル離れていたショウを殴り飛ばした。

高速移動系か、それだけでも手強いな。

しかもその衝撃は強烈らしく、立ち上がったショウはふらふらとしていて、それでもショウはパンチを繰り出したがそれは容易く弾かれ、それからショウは立て続けに殴られ、蹴られていくのですぐにグラスウルフを向かわせるがそこにセンゴクが割り込み、放たれた金色の風のダメージによってグラスウルフはガルジャンカードに戻ってしまう。

こうなったら・・・でも。

プロメテウスのガルジャンカードを見ると、プロメテウスは溜め息を吐き、気怠さを眼差しで訴えてくる。

「頼むよ」

するとガルジャンカードはゆっくりと指から離れていき、そしてプロメテウスは原寸大となった。

やった。

「お前は?」

「あたし、ガルジャンよ。そういえば、あなたはガルジャン出さないのかしら」

「雑魚相手に出すかよ」

「あらそう。それじゃ坊や、帰るわよ?」

「・・・・・え?戦ってよ」

「え?あたし、戦わないわよ?」

「じゃあ何で出てきたの?」

「帰ろうとしないからよ。分からないの?坊や達、この戦いには勝てないわ?実力に差があるもの」

「それは・・・でもプロメテウスが居れば、勝てるから」

「えぇ?嫌よめんどくさい」

「ええっ!?ガルジャンなのに」

そんな時にショウが飛ばされて倒れてきて、土埃も舞うその悲惨さに思わず体が硬直してしまうと、直後にショウはガルジャンカードに戻ったグラスウルフのように人間に戻った。

「ほら、やられちゃったじゃない。考えなさい、今は逃げるべきよ」

そんな、こんなんじゃ、大守幸与に、辿り着けない。もっと、強くならなきゃ・・・。

「黙って帰すかよ。ギャラリーの前で無様に病院送りにでもなってろ」

素早く放たれた金色の風だが、モロに直撃してもプロメテウスは全くびくともせず、まるで体を擦ったそよ風に振り返るようにセンゴクに顔を向けた。

「あ?」

冷ややかに優しく微笑むだけのプロメテウスに一瞬だけ空気が止まるが、濃く圧縮された金色の塊が放たれて、そしてそれが直撃しても、金色はただ流れる川が岩で裂かれるように、1歩も動かないプロメテウスの体を激しく擦って崩れて消えていった。

「何、だって」

や、やっぱり、プロメテウス、最強だ。言うことを聞いてくれないのは、単純に俺のせい・・・。

「あなたも考えた方がいいわね。あなたは、あたしにとっては雑魚よ」

「・・・チッ」



ふと目を開け、起き上がると、そこは組織のホールだった。痛みとか疲労とか何も無い、まるで小一時間だけ昼寝でもしていたかのよう。しかし直後に脳裏に飛び込んできたのは、ウシクだった。

「聖、大丈夫?」

目の前には凉蘭が居て、周りを見ると究とアマカゼ、プロメテウス、そしてカーバンクルが居た。

「うん、どうしてここに?」

「聖、ウシクと銀色の奴にやられたんだよ。んで気絶してさ。俺もセンゴクにスランバーとベーグがやられて、プロメさんに助けて貰ってる時に凉蘭が来て、逃げてきたんだ」

「そっか」

つまり、完敗、だな。ウシク、あんなに強かったなんて。でも、何だったんだろう、黒炎の怪鳥にオッシーを重ねた時から、何か、変な違和感があったな。

「あ、そういえば、あの銀色の奴って、誰なの?すごく強かったけど」

「さあな、南原さんにでも聞いてみるかな。ん?あれ南原さん」

究の目線の先に振り向くと、まるで他人事だと思ってるかのような落ち着いた表情の春隆に、何となくムッとした。

「やられたみたいだな」

「何で一緒に戦ってくれないの?」

「いやぁ、まさかウシクがあんなだなんて思ってもなかった。いや、俺が知らない間に特訓でもしたのか。まぁ相手も人間だしな。敵だってレベルアップくらいするって事だ。お前達も、また特訓しないとな」

「南原さんは?」

「俺は、しばらく様子見するさ。お前達がユキトをあぶり出すのを傍観するのもアリかな」

「ええ、何で一緒に戦ってくれないの?」

するとその一瞬、ふと春隆の眼差しに冷ややかさを感じた。

「俺には、俺の仲間が居るんだよ。そもそも、ユキトを倒せたら俺は仲間のところに戻るつもりなんだ。ていうか、俺は新しい仲間を募集するなんて言ってないぜ?ユキトを倒す手伝いをして欲しいって言っただけだ。それに、お前達はもう十分1つのチームじゃないか」

チーム・・・。

「そんな、でも、オオモリユキトを倒すまででも仲間で良くない?」

「おいおい、もっと自信持てよ。ネットでのお前達への評判、割りと良い感じだぞ?お前達に足りないのは俺じゃない、レベルだ」

まぁ、仕方ないか。究の戦闘魔晶たちも、アマカゼのガルジャンたちも入れたら、頭数は十分だと言えるし。

「南原さん、銀色の奴の情報何か無いの?」

背中を向けた矢先に究がそう問いかけると春隆はくるりと振り返ったが、その瞬間の表情の堅さに、何となく初めて春隆と会った時の事を思い出した。

「少なくとも俺は知らないな」

「そっか」

「予想以上にお前達がチームとして様になってるから、俺は俺で動くって事だ。じゃ、良い情報が手に入ったら連絡するって事で」

「うん・・・」

強くなれてるのはいいけど、南原さん、端っから仲間だとは思ってなかったのかな。ヒーローキラーにやられたって言ってたしな・・・。

「聖」

振り返るとミントと、ライムと思われる女性がやって来て、その微笑みにようやくホールに居るという安堵感、そして助っ人が来た安心感を自覚出来た気がした。

「どうかした?今日はこれからテロリストの調査でしょ?」

「それが、偶然さっきまでセンゴク達と戦ってたんですけど、普通に負けちゃって。なので今は、また特訓が必要なんです」

「そっか。あそうだ、なら、この組織で抱えてるテロ鎮圧案件、手伝ってみない?きっといい特訓になるよ」

ああ・・・実戦でか。

ふと究達を見ると、パッと笑顔を咲かせるミントと同じように、究は閃きに笑みを溢すように表情を明るくした。

「いいんじゃないか?特訓も出来てヒーローとしても有名になれる。じゃあ、とりあえず、2人ずつに分かれるか。良いよな?2人共」

半ば強引でも、だからこそ話をまとめられる雰囲気を醸す究のそんな明るさに、凉蘭とアマカゼは大人しく顔を見合わせ、頷く。



「紹介するね、妹のライムだよ」

「よろしくね」

双子なのにミントよりかはおっとりしてるような笑顔のライムと挨拶を交わし、そしてテロ鎮圧案件とやらが書き留めてられてるというホワイトボードがある舞台上の部屋へと向かうと、箇条書きの案件だったり、捕捉のメモだったりと、8割くらい黒くなっているそのホワイトボードには正にテロ鎮圧の拠点としての軌跡のようなものが伺い知れた。

・・・おや、結構全国的に渡ってるんだな。さすが指定自警団だ。俺の世界の日本の指定自警団もこういう感じなのかな。

「北海道のはシンジ達が行ってるから気にしないでね?」

「じゃあ、この猿島の海賊は?」

「横浜の組織からの情報で、案件になったばっかりでまだこの組織からは応援には行ってないから、ちょうどいいかも。あ、そういえばこの、明治百年記念展望塔ってとこの案件ね、ここもテロリストの人達に占拠されて間もなくて、懲らしめるなら今の内だから、ここを手伝って貰っていいかな?」

そしてライムとキュウと共に、猿島を目の前にしているうみかぜ公園を歩いていると、ちょっと焦るくらいの強風の中、呼び掛けてきたプロメテウスに振り返る。

うわ・・・。髪すごい、しかもちょっと焦るくらい無駄にエロい格好が激しく煽られてる。

「笑わないでよ」

「カードに戻れば?」

「嫌よ。風に負けたみたいじゃない」

「でも」

「そんな事より、ホルダー、寄越しなさい」

「え?何でやねん」

「分かってるの?坊やが必要なのは強いガルジャンじゃない。自分自身の強さよ」

自分自身の、強さ?

「あそこの島でテロ鎮圧の実戦で特訓するのよね?その時、カーバンクル以外はあたしが預かるわ。坊やは自分の力で戦いなさい」

「そ、そんな・・・」

「何よ。坊やが強くならなきゃ、能力もレベルアップしないわよ?ガルジャンは、単なる壁じゃないのよ?」

「そう、やけど」

「坊や、ちゃんと、強くなりたい理由を持ちなさい」

・・・強くなりたい理由。そんな事、考えた事なかった。

ガルジャンの語源はガーディアンです。よくある訛っていったというやつですね。意外とひねってません。


ありがとうございました

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