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決戦2

「僕は支援型としてこの組織のリーダーをしてるアキミヤソウ、よろしく」

「あ、うん。あの、支援型って?」

「あれ、聞いてないの?この組織は攻撃型と支援型から1人ずつリーダーを選出してるんだ。同時に1人ずつ副リーダー的な感じで補佐役も選んで、4人のブレインで組織の活動方針を決めてるんだ。支援型っていうのは、それこそ回復役だったり、ワープとか、要は攻撃する為のものじゃない力だけを持ってる能力者の事。といってもこの組織で作った名前だから、世界共通じゃないよ」

戦う為に能力者になった訳じゃないって言う人だっている。じゃあ、そもそも能力者って、何の為に存在するんだろう。

「へぇー。君の能力は?」

究がそう聞くと、アキミヤソウはふとホールの方へと顔を向けた。

「僕の力は『索敵』だよ。今は意識を集中すれば、10キロ先までの物体を感知出来るんだ。動きとか、形とか。まぁ主な使い道は人捜しだけどね。それから鉱石を使って、10キロ先までの地形も把握出来るようにしたんだ。そして3つ目の力で、頭の中で指定した人を『スキャン』するんだ。だから言わなくても、名前と能力は僕には筒抜けだよ」

何か、下手な戦闘用の人よりよっぽど戦えそう。

「す、すごいな・・・。何か逆に戦場で役立ちそうだけど」

「うん。だから僕も、たまにノブさん達と一緒に空母戦争の現場に行ったりしてるよ。でも戦える力は無いから、海上自衛隊の人から拳銃の使い方だけ習った」

「へ、へぇ・・・」

珍しく究が引き気味なリアクションを見せる中、右側の扉が開くとそこからミントが姿を現す。

ありゃ・・・。

ふとミントと目が合った時、その驚きと優しさでパッと咲いたような笑顔に、思わず一瞬ドキッとしてしまう。

「ちょうど良かった、今聖達を呼びに行こうと思ってたの」

「もしかして、コクエンの情報掴んだんですか?」

「うん」

お、やった。

ただでさえ狭い空間なのに扉を大きく開けるミントを仕方なく少し避け、そして壁まで全開に開けられたその扉の向こうを覗いてみると、真っ先に目に飛び込んできたのは正面の壁に設置された、正に指令室的なものを連想させるバカでかい液晶モニターだった。

何だありゃ。確かにいかにもコントロールルーム的な感じだけど。

両側の壁沿いに置かれたよく分からない機械たちを抜けた先で、巨大なモニターの前に座り何かを操作している人の隣に立ちながら、僕に軽く手を挙げてみせたノブに会釈する。

「コクエンの目撃情報があったぞ?」

「どこですか?」

そう聞くと究もオーナーの部屋に入って来て、期待を露にするような表情を浮かべる。

「芝浦南ふ頭公園の近く。さっき行ったとこだよな?」

「そうなんですけど、縄張りでもないし、何でだろう」

「普通に移動してきたんだろ。それにもしかしたら、芝公園が縄張りと見せ掛けて、あそこが隠れ家なのかも。聖、とっとと行ってやっちゃおう。どっか行かない内に」

「そうだね。ノブさんも来てくれるんですか?」

「シンジだけでいいだろう。オレはまだ別の案件で調べたい事もあるしな」

「そうですか」

まぁテロリストはコクエンだけじゃないし、そりゃ忙しいか。

「聖、頑張ってね」

「あ、はい」

ミントの笑顔が何となく脳裏に残りながらホールに戻るが、そこにはシンジの姿が見当たらなく、途端に焦りが募り始める。そんな中、凉蘭がそそくさと歩き出し、シンジと仲の良さそうな女性と話しているヒカルコの下へ向かった。

「シンジは?」

「そっちの闘技場だよ」

まるで友達かのように話しかける凉蘭に何故か別の変な焦りが沸き立つような気がする中、凉蘭が僕を見てきたので、とりあえず究と共に闘技場へと向かっていく。

鳥井さん達、もう仲良くなったのかな。早いな。

「すごいよな、こんなにすぐ情報が掴めるなんて」

「うん。出来ればオッシーの力に慣れてから行きたかったけど」

「オッシーだけでやれば、動けるのか?」

「多分。石みたいにまったく動けなくなる事はないはず、シロロンよりかは時間はかかるだろうけど」

「なら最初は俺が前に出るから」

「うん」

足早に闘技場に入ったその瞬間、目に入ったのはシンジではなく、正にサムライといった甲冑を身に纏った10メートル級の巨人だった。

うおぉ・・・。んっ!あれっ。

サムライな巨人に向かっていくシンジに目が留まったその瞬間、突如霧のように立ち込める“朱いオーラ”がシンジの右腕を包むと、その右腕は一瞬にして巨大化し、朱く染まった外殻というべきもので覆われた。そして拳を振りかぶったその瞬間に巨大な朱い右腕は瞬時に振り出され、肩から指先まででシンジ2人分もありそうなほど巨大な朱い右腕とサムライな巨人は凄まじい衝撃音を掻き鳴らした。

あれが、シンジ君の、主戦力・・・。しかも両足にも朱い殻みたいなブーツを纏ってる。なるほど、あれで走るスピードが上がってるのか。巨人の方が強そうだけど、スピードはシンジ君が上だな。

まるで映画でも見てるような気分の中、ふと巨人が僕達の方に顔を向けるとシンジも僕達の存在に気が付き、両者が醸す闘志は申し訳ないくらい瞬時に蒸発した。

「シンジ君、コクエン見つかったから、付き添い頼むよ」

「あぁ、分かった」

すると空中に立っているシンジはまた瞬時に右腕を元に戻した。

シンジ君、変身系だったのか。

「じゃまた後で」

「あぁ」

サムライな巨人が小さくなっていくと同時に、シンジは見えない自分がおかしいのかと思ってしまうほど自然な足取りで空中から空中へと飛び降りていく。

「場所は?」

「さっき行った芝浦南ふ頭公園の近くだって。近くだから公園かは分からないけど、とりあえず行き先は公園で」

「あぁ」

軽快に地面に降り立つとそのまま壁まで小走りしていき、シンジは闘技場の壁にシールキーを貼り付けたので、とりあえずその扉を抜けて芝浦南ふ頭公園に足を踏み入れる。その途端にまとわりついて来た外気と潮風っぽい臭いにやっぱり異空間に居た事を改めて感じさせられる中、パトカーのサイレンとかは特に聞こえない普通の公園を何となく見渡していく。

「死ねオラァ!!」

え?・・・。

ふと顔を向ける間もなく轟いた爆発音と熱気に思わず身構えてしまいながらも、とっさにグラウンドを見てみるとそこでは正に黒い炎がその牙を見せつけていて、矛先が何に向いているかは見えないまま急ぎ足でグラウンドに入っていくと、僕達に背中を向けているコクエンの向こうには倒れている1人の男性と、動物的な何かの姿があった。

「おい!コクエン!」

うお、究。

勇ましく声を掛けた究に素早く振り返った瞬間、コクエンは戸惑いを垣間見せる。しかし舌打ちが鳴らされるとその表情は怒りと敵意に染まり、その手には黒炎が灯された。

「指定自警団なんか連れやがって、腰抜けかよ」

「シンジ君、あの人助けてよ」

「あぁ」

「コクエン、シンジ君はただの見届け人だ。お前が覚醒して強くなった俺達にやられるところのな」

「へぇ、上等だ。ったくどいつもこいつも。そいつ共々、お前らも返り討ちにしてやる」

あの時と同じように、コクエンは手を真っ直ぐ天に向かって伸ばしたので同時にオッシーを発動させると、究は戦闘魔晶たちをすべて装着し、頭上に4本の吹雪を作り出し、右手から炎の剣を灯し、全身から電気を迸らせた。しかし直後、コクエンはその敵意の笑みに余裕という綻びを重ねた。

「ちょっと覚醒したからって勝てると思うなよ?ガルジャン!」

ん・・・。

手の上の大きな黒炎の球が爆発した瞬間、爆発はまるで時間が巻き戻るようにその一点に向かって消滅したが同時に、コクエンの頭上のその一点からは燃え上がるような赤と黒の毛並みの4本足の怪鳥が出現した。

な、まさか、南原さんが言ってた、持ってるかも知れない別の力って、1つじゃないのか。

「単に別の力だと思うなよ?ハハッもう、時代は単なる能力者戦争じゃないんだ。ま、お前らは信じないだろうが、この世界はもう、来訪者だらけだ」

「来訪者?」

一体、何の話を・・・。

「もう、能力者の力は3つまでの時代じゃない。後は死んでから自分達で考えろ」

直後にまるでコクエンのような黒炎を球状にして吐き出してきた怪鳥を見る余裕もなく、地面に落とされた黒炎の球の爆発に思わず体を硬直させてしまう。

「聖、俺コクエンやるから、聖は鳥」

爆風の向こうから聞こえてきた矢先、怪鳥はけたたましい鳴き声を響かせたが直後、2メートル級のその怪鳥は僕の目の前へと転がってきた。

え?・・・。

足をばたつかせて慌てるように立ち上がった怪鳥とふと目を合わせた時、怪鳥は一言クエッと鳴く。怪鳥が振り返ったので怪鳥の向こうに目をやると、そこでは黒炎を操るコクエンと究が戦っていて、僕に目線を戻してきた怪鳥はまた一言鳴き声を上げると、まるで闘志の表れかのように翼から黒炎を吹き上がらせた。

来るか。

そして飛び上がると同時に羽ばたかせた翼から黒炎を振り放ってきたが、オッシーの力に慣れていないせいか体は重く、仕方がないので身を屈めてやり過ごしていく。するとそんな時、突如怪鳥は空から落ちてきた一閃の稲光に大きくよろめく。

あれは・・・。

「フォローするから」

「うん、ありがとう」

ふう、ダウンロード、まだかな。ていうかこの鳥、本当の生き物なのか、それとも召喚された魔法系の物体なのか。

直後に怪鳥は自身の頭上に、コクエンと同じくあの時と同じような大きな黒炎の球を作り出し、何をする間もなく瞬時に爆発させた。

くっ・・・・・。

爆散してくる小さな黒炎がまた小さく爆発してくる中、ふと振り返ると、透明な壁を作って全くの無傷の凉蘭は満足げに微笑みながら頷いてみせた。

いける、もう、あの技じゃやられない。

手応えが無い事を理解したのか、怪鳥は黒炎を纏いながら突撃してきて、辛うじて受け止めて殴り返したその時、ふとその体に妙にリアルな温かさを感じた。

もし召喚した霊体とかじゃないなら、ラーニング出来るかな。

少し吹き飛んだものの、妙にリアルにバタバタして体勢を立て直すと怪鳥は再び突撃してきたので、引っ掻いてきた足を掴み、勢いよく投げ飛ばす。

もし出来たらその体と魔法攻撃が手に入る。でもその前に今ストックいっぱいだし、空けないと。カメレオン消去するか、いや無理に消す事ないか、とりあえずシロロンと一緒にしておくか。

再び突撃してきたと思いきや怪鳥は目の前で急上昇すると、4本の足にそれぞれ黒炎の球を作り、そして4つの黒炎の球を同時に撃ち落としてきた。1つは弾き返したが3つの爆風は衝撃と共に砂埃を巻き上げ、その一瞬怪鳥を見失ってしまう。

マズイ、あ・・・。

「クエェッ」

微かに稲光が見えた直後、突然体に何かがのしかかってきて、思わず倒れ込んでしまいながらも、僕にぶつかって一緒に地面に倒れ込んだそれを見てみるとそれは、怪鳥だった。

まったくもう、ドジかよ、怪鳥。

すぐにワシゴリラを発動させ、怪鳥を掴み、飛び上がって究と戦っているコクエンを目に留める。

・・・うおりゃっ。

直後にコクエンは僕の方に顔を向けるが1歩遅く、コクエンは投げつけられた怪鳥と共に盛大に転がった。

「お、聖。オッシーのダウンロード終わったのか」

「うん」

その隙に怪鳥に手を伸ばす。それから確かに伝わってくる振動を噛み締めながら着地して、一旦変身を解く。立ち上がり、今にも攻撃して来ようと睨み付けてくるコクエンと、変身を解いた事に驚きの表情を浮かべる究を見ながら、そして“黒炎の怪鳥”を発動させると、コクエンの敵意は一瞬にして驚きと疑惑へと染まった。

「お前、それ、何だ」

「僕の力はDNAラーニング。例え召喚獣でも、生き物ならその力をラーニング出来る、みたい」

南原さんの予想じゃコクエンって合計レベルは3なんだよな。召喚も入れるとそれ以上か。さすがにオッシーより体が重い。でも──。

見せつけるように、手から黒炎を燃え上がらせる。

怪鳥だけだからなのか、動けない訳じゃない、これならいける!

「ラーニングだ?チッめんどくせぇ」

「究、またダウンロードまで頼む」

「オッケー。・・・おらぁ!」

手を振り上げ、究は直線上に地面を氷結させるほどの吹雪を起こしたものの、コクエンは黒炎でそれを振り払う。敵意が究に向いているその瞬間、黒炎の球を作り出してコクエンに向けて撃ち放つと、直後にコクエンは僕の方に顔を向けるが1歩遅く、コクエンは黒炎とその爆風に吹き飛んだ。しかし黒炎の爆風は黒炎によって吹き飛ばされ、コクエンが宙に浮き留まると同時に怪鳥が僕に向かって飛んでくるものの、そこに究が飛び掛かり、コクエンは横殴りの吹雪に吹き飛んだ。

「クエッ」

一閃の稲光により、目と鼻の先でよろめいた怪鳥を難無く投げ返し、ふとコクエンを見ると、真っ直ぐ立っている究と疲弊したように片膝を地に着けているコクエンというその構図は、まるで決着がついているかのようだった。

・・・やった。

ようやくヌルッと回想が終わりました。


ありがとうございました

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