世界が間違っているのなら、あたしが変えてやるんだから!!
思った通り、あたしの思い描いていたよくないことが的中してしまった。
「後ろにいるその眼鏡をかけた子はお友達かしら? 噂は聞いているわよ」
ルヴィのお母さんはあたしを見るなり目を細めて笑みを浮かべると共に、邪悪な言葉を口にする。
「常人は一回解けば魔素が枯渇すると言われている第十二階層の魔導方程式。それを何度も発動できる魔導器官を持っている、と」
それは娘の友達ではなく、あくまであたしのことを良質な魔原石にしか見ていないということ。
「――喉から手が出るほど欲しいわねぇ」
「…………」
ちょっと怖いっていうか蛇に睨まれた蛙のように、あたしの身体は凍りついた。
目の前の存在はあたしが思っていた以上に邪悪で、あたしが思っていた以上に凶悪な存在だった。
「お母様が、そんな……」
ルヴィはその場にへたり込んだ。自分を追っていた組織を統治している者の正体が、実の母親だったという現実を直視できずにいる。
「ウソよ……こんなの……」
大きな涙が頬を伝う。ルヴィは母の姿を前にして、どういう感情を抱いているのだろうか。
「……こんなこと……信じ、られない」
「世の中全てが清いとは限らないのよ、ルヴィ。これで少しは学習してくれるといいのだけれど」
余裕しゃくしゃくと言ったルヴィのお母さんの様子に、あたしはふつふつとした怒りがわき上がってくる。
「……どうして、そんなに笑っているのさ」
「? どうしてって、娘が帰ってくるのを喜ばぬ親などいまい」
「そういう意味じゃないでしょ……」
あたしは声に出して式を解くまでもなく、右手に強烈な電気をチャージしていた。静電気で服がふわりと浮かび上がり、三つ編みも雷に伴う強風になびいている。
「自分が悪いことをしているのに、どうしてそんなに笑っているのさ!」
へたり込んで動けなくなったルヴィよりもさらに一歩前へと進み、あたしはルヴィと母親の間に立つ。
「でも魔原石の生成依頼は各国から来ているし、この商売が無かったら、貴方が今解いている第十二階層の魔導方程式の解明も至らなかったのだから――」
「そんなこと、あたしの知ったこっちゃない!」
あたしの言葉に合わせて、右手の電気も光を増す。
神様も言っていたけど、この世界の摂理とか条理だとか、そんな事はどうでもいい!!
「あたしが! 今から! あんたの腐った根性を! 叩きなおしてやる!!」
この世界がこうだっていうのなら、あたしが変えてやるんだから!!




