ちょっとそれはヤバいんじゃないの?
「私を倒す……? フフフフ、何を言っているのかしら」
ルヴィの母親は依然として余裕の表情を浮かべている。
「――このエレナ=ロッドを斃すと、言っているのかしら?」
あたしの目の前で、ルヴィのお母さんであるエレナは魔原石を取り出し、口の間に挟み込む。
石はあたしが今まで見てきたなかで一番透明度が高く、一番純度も高いみたいだった。
「……お母様が……」
「大丈夫だよルヴィ、あたしが守るから」
あたしがルヴィを後ろへとやる中、既にエレナは最初の魔導方程式を解き始めている。
「――【暗黒】=【引力】!!」
「にゃっ――」
第十三階層の魔導方程式ですとぉー!?
相手はあたしに魔導方程式を解く暇も与える事無く、右手に発生させた急激な引力でもってあたしの体を引き寄せてきた。
「そして更に……【鋼鉄】=【錬金】=【刺】!!」
更に相手は空いた左手に鉄の棘を発生させ、あたしを捕まえた後に串刺しにしようとしている。
「緊急回避!」
【光速】=【消失】!!
光になった事でなんとか対象の引力から回避することに成功し、あたしは改めて場所を把握するために周りを見渡す。
周りは地下の研究施設といったところみたいで、丁度今あたしがエレナの方を向くと、エレナの後ろには巨大なタンクがそびえたっている。
「……多分あれが魔原石の精製につかわれているんだろうかね」
「ウフフ、何を言っているのかしらね」
エレナはそのまま更に魔原石をもう一つ口に入れ、次の魔導方程式を解き始める。
だけど今度はあたしも負ける訳にはいかない。あたしもまた魔導方程式の展開をすぐに開始した。
「なら、これはどうかしら――【激流】=【直撃】!!」
「【電磁】=【直行】!!」
同じ十二階層同士、日曜と水曜の魔導方程式がぶつかり合って爆発が起きる。
「くっ……ここで爆発事故は起きてほしくはないわねぇ」
「あたしとしては、ここを木端微塵に潰せるから一石二鳥なんだけどね!」
右手に炎を纏い、あたしはクロウン先輩が使っていた技を繰り出す。
「【爆炎】=【分散】!!」
拡散する爆発をばら撒いて、あたしは後ろの研究施設もろ共爆破を狙った。
しかし――
「【深淵】=【孔】!!」
さっきの【暗黒】=【孔】とは比べ物にならない出力のブラックホールが発生、爆発の全てを飲み込み始める。
「フフフフ…………ゴホッ!」
しかし魔導方程式を発動し終えた後に、エレナは突然吐血を始める。
「ちょ、あたしのせいじゃないよ!?」
「お母様!?」
「フフフ……まだまだ、負けるわけにはいかないわよねぇ」
エレナは負けじと更に魔原石を口元へと向かわせる。それを見ていたジャックは大声で自分の主人を止めようとする。
「おやめください奥方様!! それ以上はご自身の魔導器官に支障が生じます!!」
「魔導器官にって、どういうこと?」
「ウフフ、貴方には関係の無い事よ……」
エレナは身体が拒んでいる魔原石を無理やり呑みこむと、あたしの方へと更に戦闘態勢を取り続けている。
「さあ、続きをしましょうか……?」




