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だいはちわ!

うっすうっす気だるい高校生ダヨ

できれば1話から!もちのろんここからでも読んでくれると嬉しいよ!

暗闇の先、背から落ちてくるその先に段々と大きくなっていく光が見えてくる。

40mほどの落下の後地面がハッキリとその輪郭を表した。びゅうびゅうと服が風に靡いている。


「このままじゃ落下死しちまう……!」


思考回路を超速回転させて打開策を講じる。

考えついた案の中で一番まだ可能性があるものを選んだ俺は、即座に上着を丸めて下に投げ、


「命名:パークッション!」


形を変え膨らみ、面積と体積を増したパーカーは自らをボシュンと五体を包み込み威力を殺した。


「三途の河が見えたぜ……」


イメージによっては命名によりこんなこともできるらしい。

もう少し命名の可能性を探るべきである気もしたがまずは目の前の襲撃者に集中するべきだろう。

そいつもこの高さならどうなっていてもおかしくないはずだ。

急に自暴自棄になって自爆特攻したという説もあり得るが流石におかしい。

周りを見渡してみると頭上で溶け出した穴が開き切って底を照らす。

駐車場のような太い柱が入った庭にするには少し広い程度の広さの土地が顔を出した。


「まだ生きてるんです?」


さっさとおっ死んで下さっても良いのに、と言う想像通りに無傷の少女は唇を噛みながらこちらを恨めしい目で睨んでいる。

別に喧嘩も売っていないし失礼をはたらいた覚えもないのだが最近この頃、親の仇を見るような目で見られる機会が多い気も。

というかこいつ1ランクなのか。

光を反射するバッヂが教えてくれる。


「売られた喧嘩と恩は返すタイプなんでね」


今日は戦闘訓練といえど戦いばっかでそろそろ飽きてくるなと調子をこきつつ体の状態を確認する代わりに屈伸をしておく。

余裕ぶったくせには中々にピンチである。

辺りを見渡しても手頃な武器になりそうな物体は見つかりそうになかった。

となれば……


「あばよ!」


駐車場に降りていくための横幅のある下り坂を登ろうと疾走するが当然好感度マイナス女の許諾を得ることは容易ではなかったようで。


溶解(メルト)


「どわぁ!」


目の前の壁が溶け出して爆速で間の隙間を塞ぎ逃げ道を失うこととなる。

もう少しでトンズラ作戦は成功していたのだが。


「正々堂々屠られていただきたいですわ!」


だまし討ちしてきたやつの言う言葉として超不適切なセリフだ。

キレながら地面に触れていた手をこちらに向けてぶんぶんと振り出す。

力の発動条件は今までの使用タイミングからするに触ることだろう。

伝播するようにしてぐにゃぐにゃになる地面から容易に想像できる。

デチャフの様子からもデロデロに溶かす対象はものに限らないらしい。

人がものであるかどうかはその道の哲学者に任せることにして俺の緊張までもを溶かすわけにはいかない。


「俺お前になにかしたか?」


じりじりと近づいてくる狩人のようなそいつに顔だけを向けながらスタコラサッサと距離を取る。

こっち見んな、こっちくんなと言いたい。


「大罪を犯した自覚はありませんの?」


顔のしかめ具合をあげた少女はまるで般若のようだ。

おお怖い怖い。


「ストーカーができるなんて俺も成長したもんだ」


「戯言も大概にしてくれませんと喋れないようにしますよ、私はレ......」


もごもごと口を噤んだ様子は明らかに変だ。

まあもとから急に溶かそうとてくる変な奴だったわけだが。

この訓練は殺しをする必要などないはず。

誰かさんの腕をぶった切った覚えもあるが死んではいないのだ、多分。

イカれ野郎は二人もいらないんだがとシュールな鬼ごっこを続けていると車が視界をよぎる。

本くらいでしかみたことがない魔法車。

それらは昔とあるからくり好きの人間によって発明された、魔力を注入さえすれば荷物も載せて馬車よりもはやい速度で自由自在に動かせる乗り物と記されていたはずだ。

しかし燃費が悪かったのと壊れた時直すのに高度な技術を要したらしく気づけば廃れていたようで。


「なんでこんなところに?」


無人街であることからおおよその年代が分かってくるわけだが一応今は生きるか死ぬかの瀬戸際であって歴史と風土史のお勉強をしている場合じゃないことは自明なのである。

さあ打開策を探ろうと後ろを確認するも想像していた真蛇になっていそうな襲撃者は忽然と姿を消していた。


「まさか……」


いつの間にか回り込まれたのかと360度回るタイプのショーケースのように回ってみる。

回るタイプのショーケースが回るのは当然なのだが。

可能性に反して周辺には瓦礫と車と柱がピクリとも動かないでこっちを見つめるのみ。


「おいおい瞬間移動魔法までもってたのかよ」


これじゃどこぞの王子泣かせすぎる。

複合能力なんざ聞いたことがないし、溶解の力じゃなかったのか?と警戒を続けていると


「辞世の句をそらんじなさい!」


答え合わせが始まった。

ぶおーんと魔力が入ったであろうその車輪はギュルギュルと回りだす。

先程の俺の回転の比じゃないほどに。


「クレイジーにもほどってもんがあるだろ!」


運転席に腰を下ろしたそいつは地面とこすれる音とともに速度を上げながら俺との距離をぐんぐん縮めていった。こんな他人行儀な言い方だがその間既に0.5m。


「唸れ!俺の肢体!」


あらん限りの力を込めて空(地面)へはばたく。


「ぐぇ」


本によるところのボンネットにはじかれて横に吹き飛ばされる我が身を案じる暇もなく。

このままだと臓器がはじけてしまう。

グロい光景を見たいわけもなく、なにより心が、体が生存本能を文字通り体現した。


「着地ィィィィ!」


着地時になんとか手をしならせ受け身を取る。

何度かのローリングののち壁に衝突するがその勢いはそこそこ死んでいた。


「轢き逃げしてくれてもいいんだがなぁ」


思いを否定するがごとく足音が近づいてくる。


「なかなかタフな不届きものですね」


「不審者がいうことかよ」


「そうですね......これからいうことを守ってくださるのなら見逃しましょう」


話が通じていないのは当然として、唐突に冷静さを取り戻しさながら淑女といった顔を浮かべるそいつの言い分は予想外なものだった。


「レノン様......レノン・ドグロフ様に今後一生近付くことなく故郷にお帰りください」


「はぁ!?」


いやなんでだよ。

レノンと俺と、こいつとにどんな因果関係があるんだか。

片膝をついた状態で立ち止まったそいつを見上げ、純粋な疑問をぶつけてみることにする。


「なんでだ?」


「あなたのような害虫が、崇高で!清らかで!超超超美しくあられるレノン様と同じ空気を吸っていていいわけがないでしょう!?」


「誰が害虫じゃ!むしろ益虫だろ!」


自分でもそうは思わないがレノンに害を及ぼした覚えはない。ないよね?


「レノン様の手料理を頂戴し、あまつさえ戦闘中に応援までいただいて、貴方ごときが受けていいものではありません!羨ま死ねですわ!」


だんだんと地団太を踏む姿もより解像度があがってきたぞ、成程。

どうも俺のストーカーではなかったらしい。

というかいつも見られていたことに恐怖を感じざるを得ない。今度から周囲を確認しよう。

今度があればいいのだが。


「悲しいかなその答えはノーだ」


そりゃ無理がある。


「俺は学校を退学したいわけでもないし条件よりもスープを飲みたい質なんだ。」


「自慢ですね?自慢と受け取ります......私のほうが......ここに来るより前からお慕いしていた私のほうがレノン様の料理を食べる資格がありますよね!交渉決裂ということなら貴方を殺して私がその枠に収まります!」


「......あ?」


こいつ、今なんつった。

俺を殺して手料理を俺から奪うって?

......俺のものを奪い取る......だと?


「今お前は逆鱗に触れた」


「なにを......」


「妄想するにしても冥土でやるといい」


自分の爪で自分の親指を切る。


「自傷行為に走るとは......脳みそまでそこらで飛んでいるハエとおなじになりましたか」


ぼたぼたと垂れる俺の"武器"は思うがままの形を作り出す。

こいつがロノファ戦を見ていたの俺をなら危なかったがどうやらレノンしかみていなかったらしい。

ああ本当にこいつが真のストーカーでよかった。


「敵を討て、血刃よ」


空を這う赤黒く光る無数の鮮血は対象の正面を捉える。


「こんなので止められるとお考えで?」


私は一応1ランクの一員なのですよという侮蔑の目を焦りはすぐさま焦りへと変貌した。


「命名:凝血」


魔法使いを見習って技術、技そのものに名を与えよう。俺の飯を狙う大罪人を完封せよ。

威力も勢いも失った血の刃は受け止め溶解せんとする手の自由を奪うようにして固まる。


「......溶かせない!?」


「操作を奪われるたびに奪い返すのみ......」


右腕の無力化を確認するとともにストーカーの横を駆けていく。


「逃がしません!」


今度は左腕を出してくるわけがだが怒りは我を忘れさせるもので、それを咎める師などこの場に影も形もあらず。応じるように腕を振り上げ血を浴びせる。


「頭に血が昇って貧血なんだろ、貸してやるよ」


「しまっ......」


俺の身体の欠片は左腕と両足の動きも制限させた。

もがき膝をつくそいつを尻目に狙いの場所まで足を運ぶ。

さあ状況、そして力関係も逆転したらしい。

今度は俺が鬼になろう。

そういって俺のもうひとつの武器に名を冠する。


「命名:不凍鋼(アンチフリーザ)


真面目ないつもと違い言葉を遊ばせていく。

さあ飛び込もう。

これなら魔力がなくても操作が利くのだ。

ギュルギュルと音をたたせた塊の上に乗って愉悦を肌で感じ、進行方向に目を向ける。


「突撃ィィ!」


出せる限りのスピードで血にまみれたそいつに突っ込む。


「なんです!?」


そこに慈悲などない。


「足さえも......動きません......」


震わせた手足を無理矢理持ち上げようとするも無駄な足掻き。

衝突の間際このまま直撃かと思われた。


「う......嫌ですがこれもすべてレノン様の隣にいるため!」


ペロッと指を舐めると俺の血も剥がれ落ちることとなり赤みの混じった白い皮膚が姿を現す。

インパクトの瞬間俺は後ろに飛び出し宙を舞い衝撃が発生した地点を見つめてみることにする。

さあどうだろう。

一部分は違えどまったく予想通りの展開。


「なんの......これしき......!」


「だと思ったぜ」


いかにキモかろうと1ランクなのだ。

これごときで死ぬタマだとは思っちゃいなかった。

しかしだ。


「お前を......そしてお前の力を信じた俺の勝ち」


触れた瞬間溶かされたデロデロの我が武器の主導権はわたっちゃいない。


「このときを......待ってたぜ」


「なにをいいますか......ぁ!?」


「じっとしてろよ?」


粘土をこねこねする感覚で地面と柱と......満身創痍の敵さんの手首足首とを繋ぐとそいつは無様に宙ぶらりんになる。


「ハエになった気分はいかがだ?」


「もがもが!」


まあ口もついでにふさいだわけで喋れるわけもないのだが。

よくよく周りを見渡すと最初の溶かされた壁のところに戻っていた。

溶かされて動かないデチャフもいる。

さてここからどうしようかと考えていると無い天井から声がする。


「そこにいるのは......誰ですか?」


「俺だ!(クソデカボイス)」


「メルさん!?」


なんでここに......と続けるがとっても、このうえなく好都合である。ついニヤついてしまう。

丁度どうやってここから出ようか考えていたところだ。

となればこっちに落ちてきてもらって......

40mはあったわ。

なんとかできても絶対にツッコまれる未来が見えたので溶解女に塞がれた入り口を反対側から開けてもらおう。


「事情は後で!下に通じる道を探してくれないか?(クソデカボイス)」


「......わかりました!」


のぞかせた顔を素直でいい奴である。

やべえストーカーがいるのが可哀想なくらいには。

なにやら激しくモゴモゴと抗議が聞こえてくる気もしないが無視する。

少しして自分を止血していると、壁から音が、いや壁の向こうからだ。


「どうしたらよいでしょうか」


「バーンとやってドカーンだ!」


「はい!」


えい!という可愛らしい声に反してドゴォォォンと大爆音で道を邪魔する壁は崩壊する。

土煙が落ち着いた後、近付いてきた元気そうなパワー系ヒーラーは聞いた。


「で、どうしてこんなところにいるのです?」


「そいつのせいだ」


俺の言うそいつに指をさすと驚きの声を上げるレノン。

そりゃこんな意味の分からない状況おどろくよなと思っているとどうやらそういう理由(ワケ)ではないらしい。


「イグレナ!?」


なぜいるんです......と続けるそいつにイグレナ?とやらはモゴォ!と瞳をかっぴらいて反応した。


「知り合いか?」


「ええ......隣の領地の......メルトルト家のご令嬢です......ある程度の交流はあったのですが、試験行きの馬車におられなかったのでてっきり軍部学校を目指していないのかと」


どうやら近所の貴族だったらしい。

品性は今となっては逆さま、見る影もないが。


「デチャフを見つけてな...俺との戦闘が始まる瞬間にそいつがデチャフも地面もデロデロに溶かしてなぜか俺も殺害予告をされたもんで」


急に襲われた旨を伝え、イグレナのキモい言葉集も伝えようかとするもモガモガモゴモゴが激しくなる。

それは隠してんのかよと呆然としているとレノンは言う。


「今のイグレナの状況は、メルさんの趣味......なわけがないですよね?」


少しばかりドスの効いた声の尋問には誓ってノーと首を横に高速で揺らしておこう。


「触られただけで死にそうだったからな......拘束させてもらった」


「よく勝てましたね......彼女は血統魔法自体も、そしてそのレベルも非情に高いことで有名だったのですよ」


危機は脱したらしい。やはり変態は3人もいらない。


滅茶苦茶に悔しそうで不満をこぼしたそうにする宙づりのイグレナ。

そりゃ触ったら勝ちはいくらなんでも強すぎる。

実際直接的な物理攻撃での撃破は不可能だった。

安全圏内でドヤ顔を居もしない人にすら、しっかりと全方位に向かってよくよく魅せておく。


「一旦......話を聞きましょうか」


もうメルさんに攻撃しませんねとの質問に目でぎこちなく頷く様子には身の危険を感じるがまあレノンがいるならなんとかなるだろう。


「やあ!」


まさにパワーいずパワー。

固まった鉄塊はボコボコに砕けイグレナは着地する。


「有難うございます!レノン様!」


感謝の意が示され落ち着いた空気が流れるように思えたがしかし。認識が甘かった。

怪力少女の手によって砕けた鉄塊の一片は想像を超える勢いで泡のように素早くはじけるがその存在を消すことはなく、レノンの胸元に......バッヂに直撃した。


「「「あああぁぁぁ!!!」」」


パキン...という無慈悲な金属音と地下にこだまする叫び声とともに、失ってはならないバッヂは砕かれるのだった。

戦闘描写って難しいね

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― 新着の感想 ―
スピード感あふれる戦闘描写、 ウィットの効いた 会話、、いいですね♪
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