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だいななわ!

できれば読んで!褒めて!そしたら感謝感激!

青い空!白い海!少し進むと無人街!

日の光は燦々と煌めいていて影を知らないかのようだ。

胸元につけた4と刻印されたバッヂが反射するその先には誰一人見えやしなかった。

すぐさま汗でベタついた体を水着に着替えて疲れと一緒に洗い流したいわけだが今から訓練なのでやめておく。


「さて、デチャフとやらをシメにいこう」


昨日からなんも食ってないのでイライラしてくる。

軍部学校とここがどう言った距離をしているのかは知らない。

転送魔法をもった先生の導きに従ってこの地域に飛んできたわけだ。

ちゃんと送られる側の許可が必要らしいが随分便利な魔法だ。

ただし妙なことに魔力のある対象しか送れないらしい。

なぜ俺を送れたのかは知らないが今はこれからの戦いに集中するべきだろうと結論づけさせてもらう。

数字の刻印されたバッヂは1から4まであり数字が小避ければ小さいほど強いらしく今回の訓練では低ランクらは格上をぶっ倒してそのバッヂを奪い下剋上していいらしい。

逆は防衛戦ということになるが、訓練終了時にバッヂを失ったら退学らしいので低ランクは低ランクでリスクがあるのだろう。

他人事のようだが俺はその低ランク側だ。

とりあえずデチャフを探しつつぶらついてみようと歩いていると海岸を抜けて街に出る。

そこそこにデカい建物もあるようだが昔の文明の遺産のようなので迷わないかどうかがひたすらに心配だ。

細々とあちらこちらによっていると影から男が一人出てくる。


「そこの黒髪」


「大体は黒髪だろ」


そう言う俺も白のメッシュは入っているのだが。


「ならお前のことだ」


「なんの用ですかい」


見た感じ戦闘の意思はなさそうだが万が一に備えてポッケに手を入れたままにしておく。


「いや勘違いするな……俺は上のランクに上がりたいだけだ……お前は狙いじゃない」


「ならはよ要件を言えや」


「取引だ……お前の欲しいものをやるから」


「高ランクのバッヂを取ってこいって?」


そもそもの話高ランクの奴らと戦うなんてリスクしかないし今バッヂ以上のものを望んでいるわけがない。

もし承諾する奴がいたら阿保よりの阿保、キングオブ阿保くらいだろう。

すると目の前に見えるギザギザを纏った……パン!?


「お前の試験の戦いを見ていた……飯でどうだ?」


「交渉成立だ」


匂いでわかる。

カレー入り、いわゆるカレーパンとかいうやつだ。

バッヂの100000倍は魅力的なんだからしょうがない。釣られない方が阿保だ。


「1か2のバッヂをもってこい……帰ってきたら渡そう」


そいつが条件を言い終わる頃には既にハンティングに出かけていた。


「化け物だろうが神だろうがなんでもかかってこいやおらぁぁぁ!」


-----------


入学直後の訓練に挑んでいた俺たちルンラン兄弟は街を建物の影から影まで隠密行動を心がける。


「ルン兄さん……2人がかりなら2ランク程度なら勝てるんじゃないっスかね」


「漁夫の利を狙え……」


「俺らは4ランクでもチームワークは完璧なはずですぜ」


とつけ加えられるがランは甘い。

正面から行くようでは相手の血統魔法によっては危険だ。

せっかく二人とも気配を消す血統魔法を持っているんだ。


「しかし……1ランクには見つかりたくないねえ」


「退学さえしなけりゃいいからな」


俺たちはそこそこのレベルで平穏に暮らしたい。

10分くらい索敵を続けこいつは……4ランク……こいつは3ランクと観察を続けていると目の前でオイシイ戦いを見つけた。

ランク2と……もう一人のバッヂは見えないが。

しかも今丁度決着がついたところのようだ。


「行くぞ愛弟!」


そうだ、俺たちの絆は絶対だ。


そうして両側からバッヂを奪おうとする男に近づく。

もらった!

隠密しながらランク2のバッヂを奪い去る。

今思い返すと慢心がいけなかったのだろうか。

バッヂが入っているはずの手だけが遥か遠くに吹き飛んでいた。

「兄貴ィィィ!?」


-----------


「うおなんか気配がしたからつい振ったら感触はあったけど……誰もいねえ?」


なんだなんだと思っていると


「兄貴ィィィ!?」


「なんだ!?」


振り向くとそこには目の丸くいかにもチンピラの見た目をした男が絶叫していた。

意味がわからない状況だ。整理しよう。

俺が奪おうとバッヂに手をかけて……というかバッヂはどこいった??


「てめえ!何しやがる!」


「今すぐ答えろ……バッヂはどこにやった」


カレーパンがかかっているのである。

即血のついてナイフを首元に近づける。


「ヒィィィ!何もしてねえっスよ!」


ガタガタ震えながら青ざめて手を横にブンブン振るそいつにさっきまでは気づけなかった。

おそらくそういう血統なのだろう。


「ごふ……」


「兄貴ィ!!!」


またもや声のする方向を見ると腕が見せられないよ!な状態になった男が一人。

冷静に分析すると子分らしき奴の発言からこいつもそういう魔法なのだろうがそんなことより惨い。


「大丈夫か……誰にやられた!?」


「お前だよ!」


「んなわけ……俺じゃん!?」


多分あのナイフの感触はそういうことだ。

元々ノーラヒのせいで血に染まっていたせいで分からなかった。

もう全部ノーラヒのせいにしようかなと現実から目を背けたいところだ。

でもこいつ俺の手に入れたバッヂ横取りしようとしたし……自業自得じゃね?


「お願いしますから兄貴を……兄貴をぉぉぉ!」


「わーったわーった、止血しよう」


このままじゃ失血死だ。まだ人を殺めたくはない。


「よし……炙れ!」


「あんた鬼なの!?」


「うるせえ!失血死するよかマシだろ!」


さあ勇気出せよと声をかけて励ましていると今自分が訓練の最中であることを忘れてしまいそうである。


「横になってください!ルンの兄貴ィィィ!」


死んだ顔をしたそいつ(まだ死んでいない)はなんとか横たわるが向きを変えた直後地面に力無く倒れる。

ベキッ……ん?嫌な音がしたぞ。


「その調子です兄貴!」


「どけぇぇぇ!」


3連続の蹴りを胴体に押し込むとそいつは吹き飛んでいく。


「兄貴ィィィ!!!」


「兄貴兄貴うるせえ!」


「アベォ!」


ついでに子分も同じ方向に蹴り飛ばす。放物線を描いたそいつらが着地する前にその前にそいつが横たわったところを見ると……2ランクのバッヂがバッキバキに折れて粉々になっていた。

そりゃあもう一部に至っては砂のほうがまだ大きいほどには。


「カレーパンがぁぁぁ!」


というか自分からかかってきたのだから大抵の奴らは自己責任である。

カレーパンの罪は重い。許さん。

よし、ほっとこう。

最悪リタイアもできるだろうと次の標的を探しに走り出す。

非情だって?漁夫ろうとしてくる奴の方が外道だろ。


「この人でなしぃぃァァァ!」


叫ぶ子分をそのままにして高ランクの発見に尽力する。


-----------


視界は少し開けてまたもや晴々とした蒼が姿を見せる。

血ばっか見てきた目にとっての途轍もない保養だ。

色々も忘却の彼方に吟遊詩人の気分で一句読めそうな風景である。

すると幸か不幸か。

建物が少なくなってきたあたりで前かわいソードをブッ刺した男が姿を見せる。


「メルくん……調子どうだい?」


「バッチくれ!」


ノーラヒは当然の如く1ランクのバッヂを持っていた。

馬鹿正直に頼んでみて無理ならなんとかするしかない。

果たしてそこの見えないこいつに勝てるだろうかと考えていると……


「いいよ」


「え?」


思ったよりその答えはあっけなく呆然としてしまう。


「自分で言っておいて驚くとは面白いね……」


「でも……交換条件だ」


ニッと含んだ微笑が顔を覗かせる。

喜んだのも束の間、騙された気分だ。

変態かまちょが言う条件なんて変態かまちょ予備軍に決まっているのだ。蛙の子は蛙なのとおんなじ。

今の俺は苦虫を噛み潰したかのような顔をしていることだろう。


「……とりあえず聞こう」


「君のそれと交換ね」


そのそれと指す指は俺の……バッヂを指していた。


「こんなんでいいのか?」


低ランクバッヂと1番上のものを交換する意味なんてないはず。

そんなことある?と思いながらも近づいてバッヂを渡そうとするとそいつは首を横に振る。


「違う違う……欲しいのは君の“心”さ」


決まった……とでもいうかのようにウィンクを決めるそいつからバッヂをぶちぶちと奪って俺のものをノーラヒに雑に豆まきするかのように投げ渡す。

普通に無抵抗だった。

一応言っておくが俺のものはバッヂだ。

変態に使える精神的余裕などない。


「なるほど……追い剥ぎがイイんだね」


なんて顎に手を当てて言うそいつから逃げ出すが如く俺は発進していた。


「ありが……たくな……とう」


なんていう言葉を場に置いてけぼりにして。

喜びと怒りが同時に来ている。

丁度、道化師の気分を味わったところだ。


-----------


私、レノン・ドグロフは訓練に来ていた。

先日、メルさんに勝手に我が身を賭けられたりと激しい人生を送ってきたわけなのだけれど実のところ特に彼が負ける心配はしていなかった。

あれだけ強さをみてきたら誰もがそう言うだろう。

個人的に信用しているというのもありますけれど。

殴りと蹴りと治癒魔法によるゴリ押しのみで勝ってしまった私はメルさんと同じく4ランクだったので今回やることは決まっている。

バッヂを無くさないことだ。

上に上がりすぎても後で辛くなったり退学の危機に瀕す可能性がある。

さらにこの試験は号令の時に持っていたバッヂのクラスに行けるという仕様なので最初の方に高ランクのバッヂを持っていることは狙われやすくなることと同義。


「頑張って生き残って……家を立て直します!」


やる気十分に街を静かに歩いていると何故かうめき声が聞こえてきた。お化けだろうか。

お願いだからそれ以外であって……勝てる可能性が無くなっちゃうと思いながら音の出所を探していると……


「まだ死んじゃダメですよ兄貴ィィィ!俺と一緒に天下取るって約束したじゃないっスかぁぁ!」


なにやら大変そうな様子の彼ら?に近づいてみると大変!一人は背骨が変に湾曲していて一人は……片腕がキレイに裁断されて出血している。

酷い……誰がこんなことを……


「何があったのですか!?」


初めてみるような光景に戸惑いながらも声をかけにいく。


「敵!?じゃなくって……助けてくれるんっスか!?」


「そういう血統なの!」


化け物に喧嘩を売っちゃいましてと怯えた表情で倒れ込んだ人の側にいる男がモゴモゴと言う。

しかし腕を生やすのは流石に無理と思われたので、できれば元の手が欲しいところだ。


「近くにこの方の腕はないでしょうか?」


「探してみま……グゥァ……」


背中が痛むのか平衡感覚を失い横たわる。

背中の痛む彼にすぐさま簡単な治癒を施すも腕探しまでしないといけないらしい。


「どうしたら……」


と思考がぐるぐる駆け巡っていると


「探し物はこれかい?」


目の前に腕が一本ポトり。


「キャァァァ!?」


私は突然の生腕に驚き飛び跳ねる。


「100mくらい離れていたところに落ちていたよ」


この男……ノーラヒの言うことなすことはあまり信じたくはなかったのですが今は敵対している場合ではない。

いつ現れたの!?と聞いている暇もなく、ノーラヒの顔を伺いながら睨みつつ、腕をそのまま“その”準備を始める。

魔法それぞれにつけられた名前。

そして魔法の応用技につけられた名前。

これらは重要な意味を果たしており、魔力消費が激しくなる代わりに、魔法効果を底上げする。

私の治癒魔法も例外ではない。

手の先に魔力を集めるイメージで心を静かに落ち着ける。


集中治癒(ポイントヒール)!」


光と共に男の右腕が本来あったところに返される。


「くっ……」


レベルの高い治癒で魔力がゴッソリ持っていかれて倒れそうになるも持ち直す。


「これは……凄いね」


純粋に感心したよというノーラヒ……腕を持ってきてくださったことも鑑みてノーラヒさんは興味深そうに腕の結合面をまじまじと見つめる。

じゃ僕用事あるからと一瞬で遠くに去っていた彼の姿は自由奔放そのものだった。

子供らしさで言うとメルさんとあまり変わらないだろうけどその不気味さは群を抜いている。

それほどの強さを持って4ランクのバッヂを身につけてルンルンとしているのも謎だ。

気を引き締めていると軽い口調の男のルン兄さん……という発言と心配した表情が崩れたところでそれはこちらを向く。


「有難うございます!姉御!……感謝してもしきれません!」


「ようやく喋れるようになった……本当に有難う……」


「いえいえ……見ていられなかったので」


姉御という呼び方は引っかかるが置いておこう。


「なにかお返しを!」


「要りませんよ……そのために治癒したわけではありませんもの」


なら……と困った私に対して迷った様子の2人はハッと思いついたようにして2人でこしょこしょ話をしてからこちらに今話していたであろうことを言う。

さてどう断ろうかと悩んでいると方向性を違えたセリフが返ってきた。


「「俺たちルンランが子分になります!」」


「なんでそうなったんです!?」


姉御!と声を揃えて言う彼らをノックアウトさせようとして流石に手を止めた。


-----------


今ようやくノーラヒが簡単にバッヂを渡した理由がわかったかもしれん。

俺、メルはそこそこに後悔している。

何故なら帰り道の現在、既に合計8人ほどに絡まれているからである。

幸いなことに全員かわいソードで妙な動きをする前に気絶させてはいるがリスキーだ。

ノーラヒのように共通認識として強い化け物のはかかりにくいが名前を知らない俺には比較的取っ付きやすいのだろう。

低ランクバッヂの方が衝突を避けられるのは確かだがあの男にさえ渡せば俺の手元にはカレーパンしか残らない。

さあどこで吟味してやろうかとカレーパンとの逢瀬を想像していると元いたところにが見えてくる。


「約束の品だ」


「まさか……1ランクを持ってくるとはな」


驚いた様子の依頼人。

別にカレーパン2つくれてもイイんだぜと自慢げに思う。


「じゃあ約束の……」


そいつが取り出したパンに俺は釘付けだ。


「ああ約束の」


バクッ


……理解ができなかった。その惨劇を。

何が起こったのか判断がつかなかった。この絶望よ。

よくよく見てみるとそいつは俺の大事な大事なカレーパンを食っていて!?


「やっぱりうめえな……ん?なんで食ってるのかって?」


声が出ずわなわなと指を指して異議を申し立てると


「お前のナイフを見て合点がいった……それは俺の親友のものだ……試験期間中に泣きながら話してたよ、変なメッシュに絡まれて筆記試験に辿り着けず不合格になったって」


なんか事実と違いすぎる内容だが今はそんなことどうでもよかった。

目つきは変わりハッキリと睨む外道にナイフを向ける。


「おっと……お前は1ランクのバッヂを手に入れられるほど強いんだもんな……だから卑怯にいかせてもらうぜ」


そういうと同時にゾロゾロと後ろから10人ほど柄の悪そうなゴミ共が出てくる。


「こいつをシメたあとに1ランクバッヂは争奪戦な」


「まったく美味しい話だぜ」


「いくら強い奴も数の暴力には敵わないんだよな」


クックックとテンプレートな悪役笑いだ。


「さあ……復讐の始まりだ!行くぞ!」


「おうよ!」


そいつらと俺の距離はジリジリ狭まっていく。


-----------


ぱんぱんっ……汚れた手を叩いた俺はそいつの懐をゴソゴソと探る。まだあんじゃねえか。

むしゃむしゃと目的のブツを嗜んだ俺は後ろに積み上げられた廃棄物……もとい肉塊に唾を吐いて当初の目的を思い出す。

大丈夫だ、はんごろしくらいで済んでる。

自重はした。一人当たり÷11で。

腹を満たしたおかげで思考がクリアになったのもあって、その目的に従いデチャフを探しにひたすら蛇行しながらひたすらに進む。


-----------


ようやくその巨体を視界にとらえた。

街の中心部の交差点。

俺はスポーツマンシップに乗っ取り正面から向き合うようにして近づいていく。


「ようやく会えたな」


「始めるクチャよ」


いまだに口をモゴモゴ言わせるそいつとの距離5m。

今から(いのち)をかけた戦いが始まる。


「僕のクチャスキルは大喰らい……食べれば食べるだけクチャ体が硬くなるんだ」


舐められたものである。

こいつと同じくらいノーラヒも口が軽けりゃいいのだが。

ともなればなんだか俺も血統魔法を伝えなきゃいけない空気になったわけだが俺は持ってもいない。

君は教えてくれないの?という巨漢の問いにはノーと言うほかないのだ。


「僕にクチャ……どうやって勝つつもりかなクチャ」


と大胆にも地べたに座り込む自信満々のそいつに一撃入れてみようとしたそのとき。巨体が揺れる。

瞳さえも揺れ動きガタガタと震える姿には恐怖しか感じ得ない。

少しずつ伸縮する巨体はやがて力無く地面に倒れて皮膚が伸びていく。


「マジかよ……」


……意味がわからないしわかりたくもない状況だが犯人らしき人物がデチャフだったものの後ろから飛び込んできた。


「虫野郎が……死んでくださいまし」


とてつもなく冷えた目の少女の動きに呼応してかわいソードで腕が体に伸びてくるのに合わせる。

虫になった覚えもない。

やばそうな予感を本能が告げた通りにガードするが乾いた血のついた俺の武器は……

ぐにゃぐにゃと溶け出して!?


「どういうことだ!?」


「抵抗しないでください……虫ケラが」


チッと舌打ちしたそいつは後ろに後退して地面に両手を伏せる。

悲しいことにどうやら謝罪の土下座ではないらしく、直後俺含めた周辺の足場は不安定に揺れもの凄い勢いで減っていき巨大な穴を作り出す。


「どわぁぁ!」


少女と俺とは二人穴の深淵に身を堕としていくこととなった。


次回も戦闘訓練の続き!あと他人の血と錆がついたナイフは衛生面的にヤバそうよな

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