だいろくわ!
なんとか更新。もっと続きますので見てってね。
戦いの前日の真昼間。無人街でのデチャフとの争いに備えて俺は有用な武器を探していた。
学校の隅々、行けるエリアを探索していると……一応軍部学校なのだ。
魔法に偏っているとはいえ大刀やナタ、短刀から槍まで俺にとっちゃ大判小判がザックザクな訳で。
当然これらの武器を持って行って名付けをし、メインウェポンとしてやり合ってもいいわけだ。槍だけに。
しかし今回の俺は負けられなかった。
もしも相手が金属類を無効化できる血統魔法をもった相手だとするならゲームオーバーである。
デチャフの能力がわかっていない以上こちらの手札は多い方がいい。
なんかねえかなあと手持ち無沙汰になった俺が図書館でテキトーな本を読んでいると興味深い内容が記されていた。
「初代国王の時代に存在したとされる伝説の武器6選!」
……気になりすぎる。
多分御伽話というか後々で名前がついた普通の武器、いやそれか存在したかもわからない。
が、伝説の武器なんて強そうなワードは俺の心を鷲掴みにしていた。
食い入るように目をゼロ距離で本に近づけて読んでいると名前が数重の意味で気になった。
「双剣:二双皇帝」
「斧:叛逆破者」
「覇槍:グングニル」
「長剣:狂月終焉」
残り2つは名前は残っていないが、当時の王に近かった貴族が持っていたことは伝承されているらしい。
……こう言うのもアレだが、名付け親は患っていたのだろうか。
絶対俺の方がいい名前をつけられるだろう。
しかしだ、名前は置いておいて今の所在が気になるところである。
近場の倉庫に仕舞われてなんかないかな、なんて希望的観測をしていると横から黒くてサラッとした髪が視界を遮る。
「興味があるのですか?」
......どう聞いても昨日のロッカーの中で聞こえてきた声でしかない。あの可哀想な部下だ。
「お前は……」
とそこまで言葉を紡いだはいいものの気づく。
あそこにいたことがバレたら殺されるんじゃないか?あり得まくる。
昨日のくだりについて、そもそもが秘密のお話な様子に見えた。
というか、図書館で始めて出会ったときなんで逃げられたんだろうか。
とりあえずは今リスクを犯すことは得策ではないだろうし、もしかしたら面白い話が聞けるかもしれない。
数秒の沈黙の後、不思議そうな顔を浮かべるオッドアイのそいつの話に合わせることとしよう。
「ああ……探し物をしていてな」
これは本当である。伝説の武器、そこいらにポトっと落ちてないものかな。
「探し物……ああみんな一度は憧れますよね、ただ魔法の価値に気づくまでは」
「お前も羨望していた側か……?」
「そうですね……羨ましいと言うよりは愛に近いかもしれませんが」
「武器マニアなのか?それともそういう趣味をお持ちで?」
この学校には変人が多いわけで十分にも可能性はあるわけだが。
「であるわけがないでしょう……どちらも違います、まあどうでもいい話です」
まあなんか話が長くなりそうだから話を逸らそう。
特に他人の趣味に興味はないし今俺が抱きたいのは武器であってこいつへの関心ではない。
「知らないか……この武器」
双剣の文字を指して尋ねる。
まあ知っているわけがないのだが。
そもそも存在が周知されているようならこんなあやふやな描かれ方がされるわけもいわれもないのだ。
これで過去話は終わるだろうと予想しているとそいつが言う。
「この学校にありますよ?」
「マ?」
驚きすぎて、じ、も、で、も出ない。
「ど、どこにあるんだ!?」
そりゃ勢いよくそいつの顔を窺いに行く。
「近いですよ」
むいむいっと顔を両手で押しのけられる。
思いもしなかった収穫だ。
「学校のエントランスですよ……見てない人のほうがいないと思うのですけどね」
そうとなれば話は早い。その姿を拝見することにしよう。
「ありがとな!」
「まだ話すことが……」
と確かに聞こえたが時間がないのである。
名前すら聞いてない気もするけど。
走り出した俺は後ろを振り返らず手と足を前に後ろに揺らす。
できれば借りパク……ヴヴン、是非とも手に取って見たいものだ。
「せめて本を片付けて下さい!?」
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エントランスへの道は意外と近くすぐにでも辺りを見渡す。
ここ自体は何度も見たが吹き抜け構造になっており2階がはっきりと見える。
念のために言っておくが決して不審者じゃない。
しがない模範一般学生だ。
そこそこの明るさを保つエントランスには学校の受付にそこそこな数の学生がいた。
「なあそこのお前……なんのために受付に並んでんの?」
最後尾にいる生徒に尋ねてみる。
俺なんかこの受付に寄った覚えが、寮の登録くらいしか覚えがない。果たしてどんな理由があるだろうか。
「明日の戦闘訓練の準備だ、それぞれに決められたランクに応じたバッチがあるだろ?よく俺様に話しかけようと思ったな」
勢いで話しかけてしまったが俺様野郎とはなかなかに癖が……っていや、うん?
「お前は……メル!」
振り返ったそいつの顔をじっくり見てみるとあのときの王子が歯を食いしばっていた。
やつの目が俺の顔中を食い入るように見つめる。
いやがんを飛ばされてると言った方が正しい。
「バッチ……なそれ」
これでなんとかならないだろうか。
「様々言いたいことはあるが、まあいい、優しい王子の俺が教えてやろう、ここに受かったときにランク発表も同時にあったろ?そんときに受付に来るように言われたはずだろ」
「そ、そうだったよな、ははは」
ロッカー事件のせいでよかった、いやよかねえけどとうとう俺にもボケが回ってきたかと心配した。
「いや……ありがとうな」
王子になんだこいつ……というように変なやつみたいな目で見られる。
いやさっきからもそうだったが。
「ま、まあなんでもねえよ」
と違和感しかない振る舞いと言動でそっぽを向くと、舌打ちしながら元の体制に戻る俺様くん。
一応に一応、王子なのだ。
できれば印象は明るく持たせておきたいところ。
できる限りだが。手遅れな気もするが。
となれば俺も並ぶしかない。待つことは苦手なんだが。なんだか違和感を持たれることもあるかもしれないので、気配を消して抜き足差し足忍び足で背後に回り込む。
いやあ危ない危ない。もう少しで面倒な目に遭うところだった。
ふと部屋の隅の空いたスペースを見ると四角い立方体のガラスが光を反射している。
目を凝らしてみると文字が見えてくる。
なんとなんと!ようやく見つけた。
「双剣:二双皇帝!……のレプリカ」
俺が探し求めていた双剣......双剣のレプリカだ。模造品だ。
「....................レプリカぁぁぁぁ!?」
「なんなんだお前?」
ロノファに並んでいることに気づかれたことはもうどうでもいい。
あの図書室女、騙しやがったな???
この後文句を言いに行くしかねえ。
「あの双剣のことか……?そりゃ伝説の剣がこんなところにポッと置いてあるわけがないだろ(笑)」
「うるせぇ!」
「お前なにして……」
「命名:スポン!」
そいつの足に触れてズボンを操作する。
「おい、何が起こって……やめろ!」
まるで岩の間をぬう滝のように滑らかにズボンを引っぺがして……2階にぶん投げた。
手で下着を隠そうとするも隠せていない。
「なんということを!」
とパニックになるロノファだったがある一点に目がいく。下の下着に王族のトレードマークが真ん中に刺繍されているのが見える。
なんでそんなとこにつけた。もっと他にあるだろう靴下とか。
逆に誇りを傷つけそうなポジショニングに戸惑ってついつい
「ださっ」
なんて口走る。
「うわぁぁ不敬だぞぉぉぉ!」
周りの人もその様子を伺うが見てないフリ。
誰だってこんなシュールな状況に巻き込まれたくないのだろう。俺も例外じゃない。
ようやく自分のすべきことがわかったのか、慌てん坊王子は涙を空中に残し続けて瞬間移動で2階に上がっていく。
ズボンとの追いかけっこを楽しんでほしい。
アンガーマネジメントなんて蚊帳の外、満足した俺はなぜか空いた一人分を詰めてバッチを受け取るのを静かに待つ。洗浄されたような心持ちだ。
スッキリとしていて澄み切っている。
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「最低ランクだぁ!?」
番が回ってきた俺は受付のおっさんの声と渡された4の数字に耳を疑った。
「裏工作だろ〜」
1が最高で4が最低らしいが俺が疑うのもしょうがない。
それもそのはず、筆記はカスだったかもしれないが、一応タイマンで王族から勝利をもぎ取ったはずなのだ。
実力を見せつけた俺が最低ランクな訳もない。
別に自らを過信しているわけでもないが、正当な評価でないのは確かなはず。
「おいごらハゲチャビン!デマカセ言うな!」
自分でも引くほどの大声で叫ぶも特に響く気配はない。
「なんなら短くはあるが評価でもみるか?」
「あんなら見せろや!」
果たしてどんな工作がされているのか、出鱈目が書かれているのかみものだ。
場合によっちゃクーデターでも起こしてやる。
と上から目線に査定する気持ちでみると......
「魔法力計測不可のため」
…………正論だ。とてつもなく正しい。
これは別にふっ、俺の魔力が強大すぎてなんて言いたいわけでもない。
そもそも使うこともできんし使える魔力もない。
果てしなく正当だ。ぐぅともすんとも言えん。
「こんなやつ一人も見たことがねえわ!どうやってここに入ったんだ?」
ブアッハッハと口をあくびしたカバのように開けて大笑いする受付のおっさん。豪快に笑いやがって。
「頑張ったのによ……」
「みんなそう言うんだ、4ランクに属したやつはよ」
慣れた口調で呆れた顔をするおっさんは次のやつがまってんだとあしらうかのように手の甲をこっちに向けてくる。いくらシッシされても譲りたくはない。
しかし俺の抵抗も虚しく、警備員に引き剥がされてエントランスから退場することとなった。
まあランクが低くても飯さえ食えればいいわけだが、ランクが高い方がいい飯が食える可能性が上がったりしそうだろう。
もしそれが本当だったら魔法社会への恨みつらみがもっと募りそうである。
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図書館に帰ってきた俺はまだいたその静かに本を読むオッドアイ少女に話しかける。
というかケチつけに来たんだが。
「ワックワクで見に行ったのにレプリカじゃねえか!騙しよって!」
俺に気づいたそいつは不満ありげに言い訳を述べる。
「だからまだ話すことがあると言ったではないですか」
「聞こえるように言えや!」
「聞いていなかっただけでしょ!」
ギャーギャーと言い合っていると何故か落ち着きを感じる。心は落ち着いちゃいないが。
なんだか俺が悪いように思えてきたところ今生まれた興味を形にして聞く。
「そういや名前知らねえな」
「レーンと申します」
少し遠くを見つめたかのように言うそいつだったが、俺が言うのもなんだが今までのギャアギャアと違って急に冷静になられても困る。
調子が狂って俺もまた唐突に大人な対応をとることにしよう。
「まあその……俺が悪かった、俺の名前はメルだ」
そういえばこいつが軍部の裏と深く関わっていそうなことをすっかりぽっかり忘れていた。
わかれば良いのですよと自慢げに鼻息を押し出す姿は幼い子のように見える。
こいつはレノンより明らか子供っぽい。
まあ俺たち子供だけど。同レベルとは意地でも言うまい。
「自己紹介もいいのですが、明日の戦闘訓練、デチャフさんに勝てそうですか?」
「知ってるのか!?」
「ちょっぴりと話題になってましたよ……レノンさんを賭けて争ってるって」
とてつもなく誤解が広がっているらしい。
「語弊しかないな?俺はこれからの飯を賭けて争ってんだ」
変に伝わってもだるいったりゃありゃしない。
眉を下げて言うとレーンは何故か少し機嫌が戻ったようで表情に優しさが戻ってくる。
「そんなに面白い顔してるか?」
「いえそのようなわけでは……」
明らか口角を上昇させているご様子で。
そういやロッカーのとき、最後には敬語じゃなくなっていたことを思い出す。
「別に敬語使わなくていいぞ」
「いいの!?」
今、間髪もあいちゃいなかったぞ。なんでそんなにも食い気味なんだよ。
「じゃあ……よろしく……メル!」
凄い勢いで距離を近づけて握手してくるレーン。さっきの喧嘩はどこへやら。
とてつもない疾走感と押せ押せに引き気味にはなるものの実際なんでかこっちの方が安心感がある。
まあ一応こいつのおかげでロッカーの窮地を脱したんだ。疑いつつもいい関係が気づけそうだとぎこちなくほほえむ。すると後ろから聞こえてくる声。
「酷い……私とは遊びだったのね!」
いやは?
振り向くと図書室の入り口前にいたのは……レノン……ではなくノーラヒだった。
よくそんな声出せたな。
「いつも通りイかれた頭と声帯で平常運転だな」
「まったく君には僕と言うものがありながら……」
「そんな趣味もねえしそろそろ茶番を終わらせろや」
「……あれれ」
不思議そうにしているノーラヒの視線に合わせてもう一度振り向くとレーンがいない。
虚空と手を握手している不自然な状況の俺。
「確かに女の子と手を握り合っているのが見えたんだけどな……」
と首をわざとらしくかしげるそいつの言うことはあっていた。いや逃げ足早すぎるだろ。
こいつがきた瞬間反対側のドアから出ていったのだろう。ノーラヒはどうやら嫌われているらしいな。
「レーンって知ってるか」
「うーんと名前を聞いたことはあるよ」
余裕そうな笑みを取り戻したそいつのセリフから察するに知り合いでもないらしい。
だとすると……ノーラヒが嫌すぎて視認すらされたくなかったという説が俺の中で濃厚なキャラメルのように濃くなる。イカれかまちょ変態なのだ、致し方ない。
「元気出せよ」
と同情する気持ちで肩を2、3回ほど叩くと久々にかまちょの困惑顔を見ることになった。
武器的に言うなら今日の成果はあんまりない。
友達?らしきやつなら増えた。
俺は飯を探しにきたのであって人を求めちゃいないのだが。
厨二病すぎる武器名を入力してる最中の恥ずかしさといったら骨が折れそうだったわ




