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4 セーディナの推理を聞きなさい

「犯人は、ロズヴァリー様じゃないですか?」


 ロズヴァリー様の目が見開かれ、逆にトゥローム殿下の目が楽しそうに細められた。


「どういうことだい、セーディナ嬢?」


「はい、殿下。

 殿下とロズヴァリー様が打ち合わせをなさった時、殿下がお茶に砂糖を入れても、何ともなかったんですよね?

 なら、その後から昼食の始まる前の間に入れ替えが行われていたとしか考えられません。

 つまり、打ち合わせが終わって殿下が席を立った後、1人残ったロズヴァリー様が砂糖と塩を入れ替えたんです!」


 長い睫毛の下で、瞳が碧に翠にときらめく。

 人間の瞳って、こんなにキラキラ光るものなのね……!

 それに、あのぷるんとしたピンクの唇。あんなに清楚と官能を両取りした唇が言葉を紡げば、誰もが注目せずにはいられないわ。

 要するに、身振り手振りを交えて熱心に語るセーディナ様は、とんでもなく美しかった。


「いや、ちょっと待ってください!

 その時、僕も入れ替えの道具なんか持っていませんでした。タイメリア嬢と同じ、手ぶらです」

 

 トゥローム殿下もうなずく。


「そうだね。

 あの時は、俺がイベントのレジュメなんかを持っていただけだ。それも俺が回収していったから、彼が手ぶらだったのは間違いない」


「でも、茶器が2人分残されています。そこがタイメリア様と違います。

 それにロズヴァリー様も、ハンカチくらいは持ってますよね?」


 ロズヴァリー様が、警戒する眼差しながらも同意した。

 

「まあ、持っていますが」


「ロズヴァリー様は、ハンカチで2人分のティーカップの水気を拭き取ったんです。そうすれば、それぞれに塩と砂糖を入れられます。

 まず、塩を全部一つ目のカップに入れます。

 それから砂糖入れを傾けて、二つ目のカップにざざーっと入れます。スプーンを使って一つ目のカップと同じくらいの量になるようにすれば、塩の瓶いっぱいになるよう調節できます。

 そして、ティーカップから直接砂糖を塩の瓶に、塩を砂糖入れに注いだんです!

 これなら道具はハンカチとティーカップだけで済みますし、入れ替えに時間もかかりません。

 どうかしら!」


 誇らしげに宣言した。

 もう美貌どころか全身がキラキラ輝いていた。恐るべし美少女。

 その美しさに、遠巻きにしているギャラリーから、どよめきが起きる。

 結構離れているから、私たちの話は聞こえていないと思うけれど。


「確かに。入れ替えができたのは、ロズヴァリーしかいないよな。

 さすがはセーディナだ!」


 ファセリ様が感心したようにうなずく。

 セーディナ様を馴れ馴れしく呼び捨てにしていることに、気づいていない。


「素晴らしいわ、セーディナ様!」

 

 私も、拍手しながら称賛してしまった。

 セーディナ様が、控えめながらも優越感を抑えきれない笑顔で、私に顔を向ける。


「いえ、大したことはないのよタイメリア様。

 ただわたし、色んなことが気になっただけで──」


「推理を披露している貴女は、本当に美しいわ! 一幅(いっぷく)の絵みたい。

 でも、その推理は美しくなくてよ」

 入れ替えのあったテーブル席への人の出入り


・4人全員で朝食を摂る

 全員塩と砂糖を使うが、異状はなかった

・タイメリアとセーディナは席を立つ

・ファセリとロズヴァリーはそのまま残って勉強

・ファセリが先に席を立つ


午前の休憩時間

・トゥロームとロズヴァリーが同時に席につき、お茶を飲みながら打ち合わせ

・トゥロームが砂糖を使う。異状なし

・トゥロームが先に席を立つ

【セーディナ、この後ロズヴァリーが入れ替えを行ったと推理】


昼食

・タイメリアが最初に席に着き、1人で10分ほど待つ

 残り3人がやって来る

 セーディナが塩を飲んで騒ぎになる

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