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闇に消える

最近あまり投稿できなくて申し訳ございません。

年末は割と忙しいので正月明けまでは投稿ペースが遅くなるかもしれません。

デルベが怠そうに授業を終え、拓斗は昼食をとろうとサリアに話しかけようとしたら、一通の手紙を握っていた。

「なんだその手紙?知り合いか?」

サリアと今まで学園生活を過ごしてきた中で友人と呼べる者はイヴとリリアぐらいなので、あえて知り合いと言う。

「違うわよ。今朝私がいつも座っている席に置いてあったのよ。名前も無いし開けちゃマズイわよね?」

誰宛か書いていないその手紙を握りながら溜息をつく。

「でも誰宛か分んないんだろ?とりあえず開けてみて自分宛じゃなければ差出人に謝ればいいだろ。」

このままでは昼食どころではなさそうなので、適当な意見を出しサリアを納得させる。

「それもそうね。見ちゃっても後で謝ればいっか。」

そう言って手紙を開き読み始める。

しかしサリアの表情はだんだん強張っていく。その様子をおかしく思った拓斗は声を真剣に手紙を読んでいるサリアに声をかける。

「どうした?何が書いてあったんだ?」

サリアは拓斗の声で我に返る。

「別に大したことじゃないわ。ただ今日の夜に街に呼び出しをもらっただけよ。」

手紙を裏返し拓斗に見せる。

拓斗にこの世界の文字は読めないがその文面からは嫌な予感がした。

「日付が変わる時、街の広場で貴女を待っています。ですって、随分趣味の悪いことをしてくれるわね。」

手紙の差出人に悪態をつく。

「こんな手紙無視していいんじゃないか?」

こんな不気味な手紙に真面目に答える方が馬鹿馬鹿しいと感じた拓斗は呆れたように言う。

しかしその言葉にサリアが頷くことはなかった。

「そういうわけにもいかないのよ。この手紙、僅かだけど魔力が込められているわ。手紙に魔力を込めるのは戦線布告の証拠よ、これに行かなかったら相手がそう出るかわからない。」

椅子から立ち上がる。

「冗談にしては質が悪すぎる。だから私は今日の夜街に行く。」

サリアの右手は手紙を握り潰していた。


時は流れ深夜零時前。

街には誰一人歩いておらず静まり返っている。広場まで聞こえる音は二人の足音だけであった。

「誰もいない。」

広場に着くと、人影一つなく静寂に包まれていた。

「もうすぐ指定された時間よ。気を抜かないで。」

零時まであと数秒。緊張と不安が二人の中を駆け巡る。

そしてようやく時が来た。

零時を回った瞬間明かりのない広場の奥から闇に溶けそうなローブのフードを深々と被った者が現れた。

ゆっくりと二人に接近する。

「よく来たな、人間とその主。」

青年のような声が広場に響く。

「要件は何?」

サリアは警戒を十分にした状態で聞く。

「焦るなサリア・ルシュレ。焦らずとも直ぐに終わらせる。」

両腕を正面にゆっくりと伸ばす。

すると一瞬で両手に青白い槍が握られるのであった。

「俺の名はネルディハ。サリア・ルシュレ、お前は我々の計画の為付いてきてもらう。」

握られた槍を構える。

「その槍は脅しのつもり?どっちにしろ答えはノーよ!!」

サリアの返答を聞くと拓斗はサリアの前に立ち戦闘態勢に入る。

「なら力尽くで連れて行くだけだ。お前の使い魔が死んでも後悔するなよ。」

槍に大量の魔力を流し込む。

「墜ちろ人間。」

槍で放つ一閃、拓斗は反応が遅れるが体制をずらして致命傷を避ける。

しかし放たれた槍は拓斗の右肩を貫く。そして槍が当たっていないにも関わらず右腕と右脇腹に傷が入る。

「ぐああああッ!!」

体験したことのない凄まじい痛みに悲鳴を上げる。

「心臓を狙ったのだが運がいいな。」

槍から血を払い構えなおすと、すぐさま次の攻撃に移る。

「だがこれまでだ。」

次の攻撃は確実に拓斗の心臓を狙っていた。

しかしその槍は鎖の妨害を受け拓斗の心臓を貫くことはなかった。

「タクト!!今のうちにニヴルヘイムを!!」

大怪我により意識が朦朧とする中サリアの声だけは鮮明に聞こえた。

「原初の巨人ユミルが統べる解けることのない氷の世界。凍りついたものは時を忘れ、血肉すら凍結させるだろう。ここは誰もが忘れた氷の極地。永久凍土の世界(ニヴルヘイム)ッ!!」

氷の世界が街の広場全てを包み込む。

「ほう、それがお前の極致か。」

鎖を力任せに振りほどいたネルディハは辺りを見渡す。

「お前の極致は俺の槍を超えられるかな?」

距離をとった拓斗に風のように迫る。その速さでネルディハのフードが捲れる。

顔半分に痛々しい火傷痕が残り、肩まで伸びる白い髪、そして光の無い絶望を映した目。

「この世界がお前を排除する!!」

地面から生える無数の氷槍、四方八方から放たれる氷の散弾、対象を切り刻もうと放たれる氷の刃、全てがネルディハに襲い掛かる。

しかしネルディハはその全ての攻撃を槍一本で自分への被害を最小限に抑える。

「全ては捌き切れないか。」

身体中に少しづつ傷が入っていくが徐々に拓斗との距離を詰める。

距離を詰めてはいるがそれよりも先にネルディハが力尽きるであろう。

「だが・・・。」

チャンスと思い拓斗は攻撃の手を増やそうと氷の世界へと魔力を送る。

「侮ったな、人間ッッ!!!」

槍の刃が付いていない方を拓斗のいる方へと勢いよく振る。そこには当然何もないため空を切るかと思ったが、拓斗の左腕に鈍い痛みが走った。

「なッ!!」

拓斗の中で骨の折れた音が確かに響いた。そして拓斗は痛みで意識を失うと、氷の世界は自然に消えていった。

「タクトッ!!」

倒れた拓斗の許へ駆け寄ろうとするがそこをネルディハに抑えられる。

「あの人間の許へ行かせない。」

身体中から血を流すネルディハの姿に怖気づいくサリア。

「どきなさいよ!!」

震える体に喝をいれ、拳を握りしめネルディハを殴打するが、その抵抗は虚しいだけであった。

「足掻くなサリア・ルシュレ。もうお前が逃げる術はない。」

腕を掴みサリアを捕らえる。

「嫌ッ!!タクト!起きてよタクトッ!!」

必死に抵抗をして拓斗の名を呼ぶが拓斗が目覚めることはない。

「さらばだ人間、次に会うときはもっと戦闘経験を積むんだな。」

意識のない拓斗にそう言うと、サリアと共に闇に消えていくのであった。

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