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決闘の間に立つ

座り込み始めてから数分が経った。

地下室の様な湿っぽい場所に体育座りしている拓斗の姿は暗いオーラを放っていた。

(これ俺が悪いのか?確かに期待を裏切ったことは申し訳ないとは思っているけど勘違いしたあっちも悪いし、そもそも才能がないのは俺のせいじゃなくて親のせいであって俺は悪くない。)

何としても自分が悪くないということにしようとするが、どうも上手くいかない拓斗は体育座りのまま蹲り始めるのであった。

その姿はより一層暗いオーラが出ているように見えるのであった。

(でも、女の子を泣かせた時点で俺が悪いよなぁ・・・。)

平均以下であっても女の子を泣かせたことに対して罪悪感は感じるものらしい。

そんな拓斗はどう謝罪するか、それ以前ここを普通に出ても大丈夫なのか、こんなところで蹲っている俺は一体何なのかと他にも思うことが沢山あることに頭を抱えるのであった。

葛藤を続ける中決心のついた拓斗はとりあえずその場から立ち上がる。美少女が出て行ったドアの方へと向かっているとふと気になる物が目についた。

(分厚い本だな。)

拓斗はドアを開ける前に気になる本の前に移動する。

ただの分厚く、ハードカバーの本よりやや大きいぐらいの埃の被った何の変哲もない本。しかし拓斗は異世界に来て初めてその本に惹かれるのであった。

そっと手を乗せ被っている埃を払う。持ち上げてみるとずっしりと来る重みから、その本のページ数を感じ取る。

(結構重さあるな。)

ページを開き読んでみようとするが、当然この世界の文字は分かるわけもなく読むことは直ぐに断念することになった。

でも、どうしてもこの本が気になってしょうがない。初めてこんな感覚に陥った拓斗は悪いことだとわかっていてもその本を持ち出すことにした。

(あんだけ埃被ってたんだからきっといらない物だろ。あの女の子に会って謝ったら貰えるか聞いてみよう。)

古い木のドアを開けて視界に移ったのは上に上がる階段であった。

(やっぱり地下室だったか。)

階段の高さ的に地下室であるその部屋はこの階段のみでしか行けないようであった。

拓斗が階段を上り切るとそこはただの小屋であった。物置小屋のようでとても人は住むような場所には思えない場所であった。

物置小屋にある扉を開けると、林ような場所に出る。何処を見渡しても木々しかないが、拓斗の前方には建物の様な物が見える。

とりあえず建物を目指そうと木々が並ぶ中少しづつ前進していると林を抜ける。

(ッ!!なんてデカさだ!)

林を抜け拓斗の視界に移ったのは現実世界よりも何倍も大きい建物であった。そしてその作りには見覚えがある拓斗はすぐさま建物に行こうと走り出した。

拓斗は建物の敷地に入ろうとするが、校門のようなもの前で立ち止まるのであった。

(学校なのかここ?)

校門と言ったら学校という考えに至った拓斗は嫌な思い出を思い出すのであった。

(そう言えばこの世界に来た時も校門が原因だったな。)

嫌なことを思い出しつつも校門をくぐり校舎に向かうのであった。

校舎までの道のりは美しく、庭が丁寧に手入れされていた。その光景は現実世界の学校ではありえない様子である。

(あの子の制服多分ここのだよな?)

周りを見渡すと美少女と同じような制服とポンチョを着た生徒がチラホラと居た。

「そう言えばサリア・ルシュレとバルター・ガッカスの決闘が今日あるらしいぜ。多分そろそろ始まってるかな。」

「はぁ!?何でそれ早く言わねぇんだよ!!」

「いや、興味ないかと思って。」

「馬鹿野郎!興味大アリだ!17位と9位の戦いだぞ!」

「あ、ちょっと待てよ!」

横を通り過ぎて行った拓斗と同年代ぐらいの男子生徒二人は校舎の校舎の右隣にあるコロッセオのような建物の方へと走って行った。

(決闘?この世界にはそんなもんがあんのか?)

興味のそそられた拓斗の進む方角は校舎からコロッセオのような建物に変わっていた。

コロッセオのような建物の観客席に着くと試合は既に終盤であった。少女は壁に追い詰められそこに男と別の少女が迫っている。そして少女が追い詰められている壁の上部の観客席に丁度いる拓斗は追い詰められている少女見て目を見開く。

(何であの子がここにいるんだ!?)

地面に倒れている少女は、自分が泣かせた美少女であり。既にボロボロである。

一方相手は無傷で今まさに美少女に止めを刺すところである。

(行ったらマズいよな・・・。)

謝ろうと思った相手は今まさに止めを刺されそうである。助けに行けるものであれば助けに行きたい拓斗であるが、今拓斗が助けに行ったら今後異世界での生活がどうなるか分からない。

決断をできないでいる拓斗に美少女の相手側の男があることを言う。

その言葉にニヤッと笑う拓斗は決断する。

(へぇ。なら俺はこの戦いに参加していいってことだよな!)

フェンスを乗り越えて美少女の前に立つのであった。


時間は遡ること数十分前。地下室から涙を溜めて出て行った少女サリア・ルシュレはコロッセオのような建物に向かっていた。

眼に溜まった涙は制服の袖でふき取った為もう残っていない。

(使い魔なんていなくても私ならバルターぐらい倒して見せるわ!)

コロッセオのような建物に入ると受付を済ませ入場口へと向かっていく。もう後戻りはできない。

そして時間になるとサリアは入場口を抜けるのであった。

サリアの視界に広がるのは一面の観客。応援する者もいれば真剣に見ている者もいる。

サリアは視界を自分の前へと戻す。自分の前で表情を変えずに立っている眼鏡をかけたイケメンこそがバルターである。そしてその横にはドラゴンのような尻尾に所々鱗のある肉体を持ち、鋭い爪と翼を持つ少女が居た。バルターの使い魔である。

「おいルシュレ。お前使い魔はどうした?今日召喚すると聞いたのだが。」

「ふん!アンタなんかには使い魔なんて必要ないわよ。」

「ほう・・・。なめられたものだな。後から後悔するなよ?」

バルターはサリアを睨みつける。そして手を振るとドラゴンのような少女がサリアに襲い掛かる。

「フラムッ!!」

サリアから放たれる火球の魔法。火球はサリアに接近するドラゴンのような少女に直撃する。

爆発音と共に使い魔を倒したと確信するサリアであったが使い魔を倒すことはそんなに簡単ではない。ドラゴンのような少女は無傷である

「フラムごときで竜人族(ドラゴンニュート)が倒せるとでも思ったか?竜人族は最優に次ぐ実力の種族だぞ?」

バルターは眼鏡を上げて冷静に戦況を見ている。

竜人族は名の通り竜であるドラゴンの血が流れている種族である。

フラムを喰らいその場に止まっていた竜人族の少女であったが、もう一度サリアに接近する。

その速さは先程より数段上であった。

「デルフッ!」

サリアは自分の前に薄いガラスの様な物を張る。そのガラス様な物は防御魔法であり、ある程度の攻撃なら防げるものである。

「そんなもの効かないよッ!!」

竜人族の少女は簡単に防御魔法を突き破る。サリアは吹き飛ばされ、防御魔法は音を立てて砕けていく。

吹き飛ばされたもののサリアはすぐに体制を立て直す。

「竜人族に効くかは知らないけどこれならどうッ!ヴァテンッ!!」

水球が竜人族の少女へと放たれるが呆気なく避けられる。吹き飛んだ分の距離をあっという間に詰めて鋭い爪がサリアを襲う。

「くッ!」

身を僅かに引いて直撃を避けるが肩を切り裂かれる。痛みに顔を歪めるが、サリアは次の魔法を唱えようとする。

しかしそうはさせまいと竜人族の少女の回し蹴りがサリアの腹に直撃する。

「ッ!!」

言葉にならない痛みが体中を駆け抜ける。そしてその痛みを感じ終える前にサリアは蹴られた方向へと吹き飛び背中から倒れる。

サリアにもう立ち上がれる気力など残っていなかった。

そんなサリアの元へバルターはやって来て見下ろしながら言う。

「使い魔すら抑えられないようじゃどうにもならないな。僕に勝つんじゃなかったのか?」

何も言い返せないサリアはただバルターを睨みつけることしかできなかった。

「10位以降のみが呼び出せるのが使い魔。そんな使い魔を倒せるのは使い魔だけだ。いくら今10位が空席だからって17位の君が僕に挑んでくるのは段階を飛ばしすぎている。11位を圧倒してから使い魔を呼び、そして10位になってから僕に挑んでくるのが普通だ。」

強者が弱者を見るときこんな目をするのだろうとバルターの眼を見てサリアは感じるが、敗北を認めたくないサリアは歯を食いしばる。

「段階を飛ばしすぎた愚か者だな。どうしても勝ちたいなら使い魔でも召喚するんだな。」

バルターは片手を振り下ろし竜人の少女へと止めの支持を出す。

しかし止めを刺す前に上から本を持った少年が現れる。

「女の子相手に二体一でボコボコにするのは流石にマズくないか?」

拓斗はサリアを背にバルターと竜人族の少女の前に立つ。

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