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【ガチ内政・科学無双】水の聖女と転生王女の異世界改革録~科学知識と政治力で、滅亡する王国の未来を変えてみせます~  作者: GOM


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第46話 想定外な爵位授与

「今日はわざわざ神殿にお越し頂き、感謝いたしますわ、殿下」


「いえいえ。今回は、司祭長アウレリアさま。そしてフォンティーアに対し父からの親書をお持ち致しました。大事な内容ですので、わたくし自らお持ちしました。後、別件になりますが先日の事件の顛末について、詳しく教えて頂けると助かりますの。父に聞いてもあまり話してくれないので、困ってます。ティアは事件の事を何処まで知っていますか?」


 ゴーレム事件から数日後、エッタが神殿に公式訪問。

 司祭長のところに書簡を持ってきた。


「いえ、エッタ。犯人を取り逃がしたということ以外は知りませんです」


 わたし宛に書簡もあるということで、エッタの横にちょこんと座るわたし。


 ……司祭長(かあ)さまの横に座ろうとしたんだけど、上座のエッタに引きずられちゃったの。


「じゃあ、封書の中は後回しにして、事件の事について説明しましょうか。多分、封書の中はアノことについての書面でしょうし」


 ……義母さまがイタズラっぽい表情なのは意味深。エッタも何処かドヤ顔っぽいのが気になるわ。でも、今は事件の事を聞くのが優先ね。


 リッカから給仕されたハーブ茶を優雅に口に含む司祭長。

 部屋の中にはエッタの護衛であるセリーヌを含めて、顔見知りのみ。

 なので司祭長は外向けの顔ではなく、茶目っ気のある雰囲気で話を続ける。


「では、まずはゴーレムについて。ごめんなさい。わたくしが全力でトドメさしてしまったおかげで、破片の一部しか残らなかったですの」


 ……義母さまの最後のアレ。エッタじゃないけど、まるで格闘ゲームのフィニッシュ技みたいだったわね。そりゃ、アイアンゴーレムでも破片しか残らないの。


「わたくし、そこまでゴーレムには詳しくないのですが、魔術師ギルドや貴族魔法学院で研究されている機体とは大きく違いますよね、司祭長さま? アンベルからも話を聞きましたの」


「ええ、あのような光線術式まで仕込んでいるのは、王国式には見られない特徴です。おそらく、北の『あの国』のものでしょうね。デザインからして、禍々しい印象でしたし」


 エッタと司祭長の話から、ゴーレムは王国外から持ち込まれたらしい事が分かる。


 ……エッタ、ここぞとばかりにお菓子を食べながら義母さまに質問をするの。可愛いけど、お行儀良くないわ。


 わたしはエッタの微笑ましい様子に笑みを浮かべながら、分かった事実から推理をする。

 王国から北にある国と言えば、魔族帝国。

 これまでも多くの戦いを王国と繰り広げたアノ国なら王国に対し、諜報員や破壊工作員を仕込んでいても不思議ではない。


「でしたら、あれは『敵国』の破壊工作だったのでしょうか、義母さま?」


「下手人(げしゅにん)の片割れ、女が攻撃魔術を使う人物との事。おそらく、彼女が魔族帝国の『草(スパイ)』として王国内での情報収集などを行っていて、彼女の切り札。破壊工作用に準備されていたものが使われた、というのが大方の予想ね、ティアちゃん」


 わたしの疑問に答えてくれる司祭長。

 彼女の口からはっきりと「魔族帝国」の名前が出るのは驚きだ。


「とはいえ完全に魔族帝国がやった、という証拠もないから、国家間での抗議も難しいわ。女性は只人族では無かったという報告もあるけれど、捕まえて確認した訳でもないですし」


 だいぶ元気になったリュカの証言でも、女性は美人だがあまり見ない風貌で、肌の色が濃かったとある。

 下町やスラム内の酒場での聞き込みでも、それらしい女性の報告は上がっているが、フードを深くかぶっていて顔以外の様子は分からなかった、と司祭長はわたしたちに教えてくれた。


 ……プロポーションは、とても良かったって印象が多いみたい。まあ、酒場の男たちが女性を下心いっぱいの眼で見るのは、何処も同じだけど。


「その女性はひとまず置いといて、男の素性は分かっていたのでしょう、司祭長さま? 確かつぶれたスラム娼館、『春を売る』店の元店長だったそうですけれど……」


「あら、王女殿下のお口から娼館やら『春』などという如何わしいお言葉が出るなんて……」


 恥ずかしげもなく、性的な事についても話すエッタ。

 確かに司祭長が言うように、まだまだ十歳ほどの少女、それも王女の口から出る台詞としては不適切だろう。

 事実、リッカもセリーヌもエッタの言葉を受け、赤面している。


 ……聖女扱いのわたしの口からでも、『春を売る』なんて言葉が出ちゃ良くないよね。そりゃ、わたしもエッタも前世で『経験』の有無は別にして、どんなことをするかは良く知ってることだけど。リッカお姉ちゃんもスラム出身だから、『意味』は知っているよね。


「ティアだって十分知っている事ですし、為政者として事業管理者として、清濁併せ呑むくらいの度量はありますの。望まずして女性が身を売るのは、好みませんが……」


「なるほど、さすがは王女殿下でございます。で、その男も前述の女性も見事に逃げられてしまいました。申し訳ありません」


 ドヤ顔で帝王学的なことを宣うエッタ。

 その実、耳年増っぽいのは、パジャマパーティ時に知ったのだが、今は後回し。

 今回の主犯が逃げてしまったことで、司祭長はわたしたちに頭を下げた。


「逃げられたことは、もうしょうがありません。おそらく既に王都内には居ないでしょうし、王国から逃げた可能性もありますね。司祭長さま、国境の警備、こと北方はどうなっていますか?」


「あそこは魔族帝国からの侵略を防ぐのが主目的。王国から逃げる人を捕まえるのは無理でしょうね。一応、警備命令は送られたが逮捕までには至っていないと、『ある筋』からは聞いていますが」


 司祭長は、自分の情報網が王国内に広がっていることを、さりげなく語る。

 外見のほんわかムード、そして戦闘時の脳筋・猪突猛進スタイルと違い、諜報もこなすのが、味方としてはありがたい。


 ……わたし、義母さまを敵に回す気はないし、敵対を考えた時点で負けてると思うの。


「分かりました。色々情報ありがとう存じました。では、ここからはわたくしが神殿に参った理由を説明します。まあ、司祭長さまの『お耳』には既に入っているご様子ですが……」


 ハーブ茶を飲み干したエッタ。

 真面目な顔をして、セリーヌから渡してもらった二通の封書を応接机の上に置く。


 ……あら、お菓子がいつの間にかなくなっているの。エッタ、太っちゃうぞ。


「一通は司祭長さま宛。で、もう一通はあなた、ティアに向けてよ」


 横に座るエッタから封書を貰う。

 そこには、一番最初。

 エッタからの招待状を受けた時と同じ、紋章の封かんが成されている。


「早速開けてみてね、ティア」


「う、うん」


 何処か嬉しそうな顔のエッタに促され、リッカから貰ったペーパーナイフで封を開く。

 高級そうな植物紙が中に入っており、それを開き読んでみる。


「え、えっとぉ、『ゴーレムから王国を救ったのみならず、数多くの功績により聖女フォンティーアさまが女準男爵(バロネテス)の栄誉に浴することと合いなりました。なお、これは未成年女子である本人一代のみの特例とし、領地も授与されません。以下の期日にて、爵位授与式を行いますので、城に来れたし……』 え! えぇぇぇぇ!」


 封書に書かれた文章、そこにはわたしに準男爵の爵位を与えるとある。

 確かに洪水やら工事やらゴーレムとの戦いやら、勢いとノリでやらかした実績はある。

 そこで救われただろう人も多いのは理解しているが、まさか一代とはいえ爵位なんて貰えるとは想像の範疇にも無かった。


「うふふ、これでティアも春から、わたくしと同じく貴族魔法学院に入学できますわね」


「え? じゃあ、もしかしてこれってエッタも関係しているの?」


 パニック状態のわたしの肩をポンと叩き、一緒に学校に通えると話すエッタ。

 驚きが終わらないままのわたし、エッタの肩を両手で抑え込み、ゆすりながら問い詰める。


「当然じゃないの。わたくしはティアを対等な友人だと思っているの。そのティアが学院に来られるように、相応の身分を整えるのは当然よ!」


「陛下から内々にお話がありましたが、やっぱりなのね。さて、うちの長老どもを黙らせるような説明を考えておかなきゃ」


「義母さままで、グルなのぉぉぉ! 想定外だよぉぉぉ!」


 乙女の叫び声が神殿内に大きく響いた。

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― 新着の感想 ―
まぁ、お約束というか(笑) 教会の者(特に聖女候補)を貴族にするって、引き抜き工作としか思われないよねえ。
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