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【ガチ内政・科学無双】水の聖女と転生王女の異世界改革録~科学知識と政治力で、滅亡する王国の未来を変えてみせます~  作者: GOM


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第42話 破壊力は想定外!

「本当にティアちゃんが囮にならなきゃダメなの!?」


「ごめんね、リッカお姉ちゃん。今回の事件は、全部わたしの一言が原因。責任を取らなくちゃいけないの。それに魔術が使えず接近戦しかできないセリーヌさんでは、ゴーレムに殴られたらお終い。エッタは炎系魔術を使えるけど、他の魔術はそんなに得意じゃない。それに、エッタが最大級の火力を水中にぶち込むのが作戦のキーだもの。王女殿下に無理はさせられないわ」


「た、確かにワタクシでは、一太刀入れるのがやっと……」


「はぁ。分かったから、ちゃんと生きて帰ってくること。これは絶対の王命よ、フォンティーア!」


 作戦会議の時、わたしがゴーレムを「罠」におびき寄せる囮になるとき、皆に反対された。

 しかし、わたしでなくてはならない理由を説明して、納得はしてもらった。


「御意、アリエッタ・ド・アルヴェリア王女殿下。大丈夫。わたし、死なない工夫、沢山思いついたから。風系魔術で空を飛べば、距離を稼げるでしょ。うふふ、前(前世)に『パラシュート降下』もやったことあるし」


  ◆ ◇ ◆ ◇


 しかし、現実は甘くなかった。

 確かに<暴風>は、突風を自由に生み出せる風系魔術。

 初級ながら敵との距離を取ったり、砂嵐を起こして眼潰しをしたり、相手の体勢を崩したりと、便利な魔術。


 とはいえ、術者自身を飛ばすのは流石に呪文運用の想定外。

 まだ体重が軽い子どものうちでしかできないし、安定して飛べるものでもない。


 ……頭を打たないように両腕でカバーしながら着地したけど、勢いを殺せずに転がってしまったわ。宇宙飛行士の訓練でパラシュート降下もしたけど、もっと大変なの。


「ひーん、全身、擦り傷だらけだよぉ」


「早く立ち上がりなさい、ティア! また、ゴーレムが後ろから迫ってきてますわよ」


 エッタの声で背後を見ると、銀色の巨人がどすんどすんとわたしに迫ってくる。

 ゴーレムから視線を外さず、額から血が一筋流れてくるのを袖で拭い、痛む身体が動くことを確認する。


「きゃぁぁ!」


 ゴーレムがその辺の瓦礫を掴んで投げてくるから急いで飛び起き、エッタの方へ走る。


「ティア、お疲れ様。穴の準備は出来ているわ。でも、大量の水はどうするの? まだ、少し染み出ているくらいだけど?」


 目の前には、工事途中で中断された穴がある。

 概ね、迫りくるゴーレムの背丈の半分くらいの深さ。

 地下水位の高いスラム内にあるため、湧水は少しずつ湧いていて、底の方は泥沼となっているが、水蒸気爆発させるには水量が足らない。


「周囲の避難状況は?」


「ワタクシたち以外は全員避難済みです」

「セリーヌさんとワタシで、住民の避難のお手伝いしました」


 わたしが避難状況を尋ねると、セリーヌとリッカが完了済みと答えてくれた。

 いくらスラム内とはいえ、人的被害は出したくない。


 ……物的損害は、後で保証するからゴメンねぇ。


「じゃあ、作戦継続ね。皆、穴の向こう側まで逃げます! ほい、<水球>」


 ヘイトを稼いてターゲットとなるため、ゴーレムへ<水球>の追撃。

 アイアンゴーレムにとっては、水をぶっかけられた程度だろうが、魔法攻撃には違いない。


 ……水系初級魔術<水球>。鎧も着ていない人間相手だと、一撃でノックアウトするくらいの威力なの。


 ドスンドスンと土嚢舗装の道に亀裂を起こしながら、わたしたちへ向かって急ぎ足で迫るゴーレム。

 想像通り、魔法攻撃をする敵を優先的に攻撃対象とするよう設定されているらしい。


「もう少し後ろに逃げますね。皆さん」


「了解よ、ティア。わたくしの方はいつでもいけますわよ」


 小走りでゴーレムとの距離を測りながら位置取りをする。

 うまく罠の場所に追い込めないと、作戦は成功しない。

 背後でエッタが炎系魔術を準備しているのが、背中に感じる熱量から感じる。


「鬼さんこちら! 位置取りできました。皆さん、行きますよ」


「ええ、ティア。いつでもブッパ、出来るわ」

「ティアちゃん、がんばれ!」

「フォンティーアさま、お願いします!」


 上手く逃げ回った事で、ゴーレムとわたしたちの位置が最適になったので、最終作戦を開始した。


「ふぅ……はぁぁぁ! いきます、<津波(ツナミ)>!」


 わたしが行使したのは、水系特級魔術<津波>。

 その名前の通り、圧倒的な水量の『壁』で敵を押し倒し、臼を轢くかのようにすり潰す大技。

 その圧倒的な質量攻撃に、さしものゴーレムも足をすくわれ、流されていく。


「はぁぁ! よし、穴に落ちこんだ。エッタ、後はお願い!」


「分かったわ、ティア! 行きます、<電離極熱(プラズマ・)球(ボール)>、乱れ撃ち!」


 ……紫色になるまで色温度を上げたプラズマ火球を放つ上級炎系魔術、<電離極熱球>。それの乱れ撃ちなんて、エッタやるわね!


 リッカの治療時に、お湯を沸かすつもりが水蒸気爆発を起こさせたエッタ。

 その際、自分が使える最大火力の魔術を使ってしまったというのは「うっかり」ではあるが、それが役に立ってよかったと、この瞬間まで思ってはいた。


「嘘! みんな伏せて耳をふさいで口をあけて、目を閉じてぇぇ!」


 ゴーレムが水流に流されて落ち込んだ工事現場の穴。

 そこへ大量に溜まった<津波>の水へ、エッタの魔術が撃ち込まれる。

 一瞬、激しい蒸気が上がったかと思った次の瞬間。

 想定外の大爆発による衝撃波と轟音がわたしたちを襲った。

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