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【ガチ内政・科学無双】水の聖女と転生王女の異世界改革録~科学知識と政治力で、滅亡する王国の未来を変えてみせます~  作者: GOM


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第14話 会談は想定外

「本日は神殿に足をお運び頂き、感謝致しますわ、王女殿下」


「いえ。わたくしも協賛いたします神殿主催の慈善事業工事。わたくし自ら会議に顔を出し、お集まりの皆さまに気持ちよくお仕事をしていただけるようにする。それが王族としての務めですもの」


 神殿の貴賓室。

 そこに王女殿下(エッタ)がセリーヌを伴えてやってきたのは、慈善事業の公表直前。

 わたしの事業内容説明を手伝ってくれるためだ。


「いつもフォンティーアがお世話になっていますし、今回も王女殿下のお手間を取らせて申し訳ありません。この子ったら、思いついたら暴走する癖があって、殿下のような立派でお賢い方が一緒ですと助かりますの」


「わたくしが友人の清き願いを叶えるのに協力しますのは当然のこと。こと、今回は王都内のスラムを放置していた王族の怠慢が原因。わたくしが陛下の名代になって、スラムの環境改善をするのも当然のことですわ」


 キツネと狸の化かし合い。

 お互いに本心を隠し合っての会話が延々と続くが、わたしとしては笑いをこらえるのに必死だ。


 ……セリーヌさんは真顔だし、リッカはとっても緊張しているの。


「あら、フォンティーア。何か変な事がございましたか?」


「い、いえ。司祭長さま。な、何でもありませんです」


「ティアは、可愛く賢い子ですわ。わたくし、お話をしていて、とっても楽しいですのよ」


 わたしをフォローして会話の矛先を変えてくれるエッタ。

 実にありがたい。


「それは良かったですわね。では、ここからは少し真面目にお話しましょうね」


 そう司祭長が呟くと、応接セットに座るわたし達の周囲に魔術結界がいきなり張られる。


「これは! 姫さま」

「セリーヌ! 抜剣をしてはなりません。司祭長さま。いきなりの魔術発動は、心臓に悪いですよ。これ、防音用の風結界ですね」


 腰の剣に手を伸ばしたセリーヌを制するエッタ。

 それまでの他所行き微笑を止め、いたずらっ子の表情で司祭長に問いかけた。


「義母さま! 何かする時は一声かけろと言われた貴女が、急にこんな事をしないでくださいませ。どうせ、こうすれば驚くだろうとか、盗聴している人が居たら反応があって発見しやすいとか、思っていらっしゃったんでしょうけど」


「うふふ。ご名答よ、ティアちゃん。王女殿下、急に驚かせて申し訳ありませんです。神殿も絶対安全というわけではないので、こんな形にさせて頂きました」


 これまた、意味深の笑みを浮かべながら答え合わせをしてくれる司祭長。

 淡く光る結界からは敵意を感じないので、セリーヌも剣から手を離した。


「この風結界がある限り、外に声が漏れることはありません。なので、もう隠し事は無しでお話し致しますわ、殿下。貴女さまとティアが組んでやろうとしている事。神殿としては完全に賛成と言う訳ではないです。お二人が急に社会を変えていけば、既得権益を持つ者や古い社会でしか生きていけない者が反発します。神殿でも長老たちは、聖女と王族の接触をかなり危険視していますの」


 まだ、面白がる口調かつ表情だが、司祭長は茶を優雅に飲みながら、わたし達の「敵」について語りだす。


「今回のスラム改善事業。神殿も救貧院を作る計画があったのだけれども、スラムに既得権益を持つ者たちによって潰されました。ですが、今回は王族も参加した公共事業。表向きは大変美しい慈善活動ですから、露骨に反対はされないとは思います。なれど、簡単に実現出来るとは思わない様に」


 一旦言葉を切り、わたしとエッタの反応を確認する司祭長。

 問題無いと判断したのか、話を続けた。


「スラム内にもいくつもの派閥があり、それぞれが絡み合って存在しています。大方の住民は、住む場所を追い出された可哀そうな人たち。リッカなど獣人族や戦争難民、犯罪に巻き込まれた人たち。そして悪意から彼らを利用したり、隠れ蓑にする組織があります。なので彼らが、今回の事業に対しなんらかの妨害を行う可能性があるのを、お心に留めておいてくださいませ」


「はい、義母さま。わたし、今回の事で仕事をする事の難しさを学びました。思い付きだけで行動したら、どれだけ大変な事になるか。怖くなったほどです」


「ですが、ティアは立派ですわ。わたくしの思いを汲んで下さり、今回の行動に繋がりました。司祭長さま、これまでもご支援ありがとうございます。スラム訪問時でも護衛を隠して配置してくださっていましたんですよね?」


「え!? そうなの? じゃあ、あの目つきが鋭い人たちは……」


 わたし達に対し、優しく諭してくれる司祭長さま。

 エッタが言うには、スラムでも極秘に護衛を潜ましていた様だ。


「殿下、実に良き目をお持ちなんですね。ええ、ティアちゃんと殿下を守るために人員を配置していましたわ。ただ、別の勢力の『草』も居て、結構危なかったですわ。スラムに潜む犯罪組織も、今回は表立って動きませんでしたが……」


「別の勢力? それに犯罪組織とは何ですか、義母さま?」


 スラム訪問時、スラム住人以外にも神殿、別勢力、犯罪組織などが入れ混じっていたらしい。

 呑気に視察をしていたのが、後から怖くなってしまった。


「それは、おいおい分かる事ですので、今はお教えしません。知らぬ方がいい事もありますのよ。ということで、ここまではおぜん立てをしてあげましたが、事業が成功するかどうかは、貴女たち次第。頑張りなさいませ」


「はい、義母さま」

「司祭長さま。ご協力、ありがとうございます」


 この後も、はっきり答えを言わないものの、司祭長は色々と情報開示をしてくれた。


「ティア、貴女のお義母さま。一体何者なの? わたくしが異世界転生者ってのは、まだ話してはいないよね」


「何も話していないけど、エッタがわたしと『境遇』が同じと察している気がしますわ」


 エッタは、こそっと日本語でナイショ話をしてくる。

 司祭長にあまりにもバレバレなので、わたしに問いかけてくるのもしょうがない。

 というか、わたしも司祭長については謎の部分が正直多すぎる。


「あら、何をヒソヒソとお話していますのかしら? 流石に貴女がたの言葉は分からないけど、ナイショ話は隠れてしてね」


「ひゃい!」

「し、失礼しましたぁぁあ!」


 結局、わたしたちは司祭長には勝てないままだった。

お読み頂き、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
司祭長も転生者とか、転生者に近い関係者なのでは? その上で、貴族出の“草”とか。
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