『ガーゴイルの蛇』壊滅作戦・その後
「ーーーー乾杯!!」
カンッと小気味のいい音が酒場中に広がる。
酒場が楽しげな話し声でいっぱいのなか、僕はどうにも馴染めずにいた。
「アキヒト、どうしたの? はしっこでしょんぼりして」
一人でちびちびメロンソーダに似たジュースを飲んでいたところをペティに話しかけられた。
「いや、別に、しょんぼりは、してないけど……」
「けど?」
「こんなことしてて、いいのかなって」
テーブルに影が差したかと思うと、ペティの後ろからラングが現れた。顔が赤くないところ見ると、ラングもほとんど飲んでいないようだ。
「まぁそういうな。みんな、ずっと気を張ってたんだ。そろそろはっちゃけとかないと、持たないんだろ」
「でも、まだマサユキたちが戦ってるんじゃ……」
「まぁな。でも、俺たちは奴らのアジトを壊滅させた。それも事実だろ?」
「それは、そうですけど」
それでも、僕は馴染めなかった。どうしてなのかはわからない。ラングの言っていることが間違っているとは思わない。けれど。
どうしてか、そわそわした。こんなことしてる場合じゃない。そうに決まってるのに、どうしたらいいのかわからない。モヤモヤした。
「ちょっと、外の空気でも吸いに行かないか?」
ラングの誘いに僕は乗ることにした。でないと、息がつまりそうだった。
外は、まだ昼間だった。けど、夜風のような涼しい風が吹いていて心地がいい。少なくとも、あのまま酒場にとどまっているよりはずっとましだった。
「落ち着いた?」
「うん。ありがとう」
ペティの言葉に、さっきの自分が想像以上にイライラしていたことに気づいた。
「まぁ、確かに、仲間が戦ってる最中に打ち上げってのも、考えものかもな」
「……違うんだ。そういうことじゃなくて。ただ……」
脳裏に、あのときのシスターさんの顔が蘇る。巨大な十字架につぶされたはずの僕ら。どうしてか、僕だけが転生した。あるいはあのシスターさんもまた、この異世界のどこかで、僕を探しているのか。
「僕、僕さ、その……」
言いだして、いいものなのだろうか。
二人が、こちらを振り返る。
信じてもらえるだろうか。それ以上に、言っていいものなのだろうか。




