『ガーゴイルの蛇』壊滅作戦!!2
ーーーー目がさめると。馬車はまだ走り続けていた。外の景色をうかがうと、行く先に街が見える。地面を走る光の線は、まっすぐその街へ向かっていた。
「起きた? ユーレン街に向かってるみたいね」
向かいに座るペティが言う。
「そこに『ガーゴイルの蛇』がいるのか?」
「えぇ。あの街は大きいから、もしかしたら今度こそ本拠地かもね。準備は良い?」
思わず、つばをのみ込む。準備も何も、装備は南の洞窟を攻略したときのままだ。
「大丈夫よ、多分、攻め込む前にショップに寄るだろうから」
「それもそうか」
ペティの言う通り、ぺデスの提案で一旦ショップで装備を整えることになった。
僕は南の洞窟での戦いで手に入れたギルグをふんだんに使い、ハンド・ボマーなるあらたな武器を買って両手に装備した。
改めてステータスを確認する。
『ハンド・ボマー 武器 アビリティ:爆破属性、打撃属性、防御力UP、爆破耐性、打撃耐性、斬撃耐性 説明:敵に触れた際に強く握りしめることで表面が爆発を起こす危険なコテ』
店主によると、これまでとは段違いに強力な吹っ飛ばし能力に加え、火の小魔法が備わっているらしかった。
それと、防具としてレッグアーマーを購入。こちらは膝下を守る軽装の鎧だ。足を狙われやすい対人戦において、足を守る装備や急所を守る防具が重要なのだという。
「みんな、用意はいいか」
武器屋の前の通りで、総勢十六人の大部隊が集結する様は圧巻だった。
『はい!』『おう!』『任せろ!』
「情報屋によると、『ガーゴイルのヘビ』のアジトはサーカス小屋の地下にあるらしい。ここを、勘づかれる前に正面から一気に強襲する。行くぞ!!」
『おおぉぉーーーー!!!!』
ぺデスの言葉に、バラバラだったかけ声は一つになった。
陣形は、ラングたちタンク部隊五人を先頭に、ぺデスや僕ら奇襲部隊が後に続き、マードラたち回復支援部隊が中心、最後尾からイアンやハルスたち遠距離攻撃部隊が援護する形となった。
まずわざと大声をあげながらラングたちタンク部隊が突入。目を引いている隙に僕らが奇襲をかけ、乱戦に持ち込むという作戦だ。乱戦と言っても、遠距離攻撃部隊と回復支援部隊の陣形を保ったままの戦いになるので、事前に入念な作戦会議が行われた。
「ここだ」
サーカス小屋の裏手に回ると、情報通り地下へと続く階段があった。一見サーカス小屋の設備にしか見えないので、カモフラージュとしては完璧だ。おそらく、サーカス小屋もグルなのだろう。
「用意はいいな?」
先頭のラングがタンク部隊に小声で何事か指示すると、タンク部隊は一斉に階段に殺到した。
「行くぞぉぉーーーっっ!!!!」
「裏口は傭兵たちが押さえてる。俺たちもタンク部隊に続くぞ!!」
タンク部隊に続き駆け下りていく僕ら。中は松明で照らされていたがやや薄暗く、円形に階段が広がった地下闘技場のような作りになっていた。
実際前までは闘技場だったのかもしれない。
「なんだ!?」
動揺する黒ずくめのローブをまとった集団。間違いない、『ガーゴイルの蛇』だ。
その中にタンク集団が突入し、戦いの火ぶたは切って落とされた。
そこからは文字通り乱戦だった。敵と味方が入り乱れ、回復支援もままならない状況となり、負傷した何人かの仲間は一旦引き下がって回復に徹することとなった。僕は目の前の敵を殴り飛ばすのに必死で、それを知ったのは戦いを終えた後のことだ。
殺傷力よりも吹っ飛ばしたり気絶させたりする能力の高いハンド・ボマーは、対人戦において大活躍だった。入り乱れた乱戦の中でも誤射はまったくなく、小回りと爆発を活かした立ち回りで敵を圧倒した。
このまま押し切れると誰もが確信したそのとき、
「くそっ、お前ら、あれを使え!!」
その声は、あのときのリーダー格、金髪の男のものだった。
それを合図に『ガーゴイルの蛇』たちは戦いの手を止めると、懐から爆弾のようなものを取り出し、地面に向かって投げつけた。
小さな爆発と共に、大量の煙が広がる。
「煙幕か!?」
「いや、違う。……これは、催眠ガスだ!!」
入り混じる怒号の中で、誰かがそう叫ぶのが聞こえた。僕は口を布で押さえる『ガーゴイルの蛇』の一味を前に強烈な眠気に襲われ、倒れ込んでしまった。




