『ガーゴイルの蛇』壊滅作戦!!
その後僕らは馬車を乗り継いでなんとか帰り、酒場にバルグの洞窟であったことのすべてを話した。すると深夜にも関わらずすぐさま召集がかかり、酒場内で4×3の大規模なパーティが組まれ、『ガーゴイルの蛇』のアジトを壊滅させる緊急クエストが発生。当然僕らも参加する運びとなり、合計十六人の大部隊でバルグの洞窟へと向かうことになった、
「仮拠点だって話だったな? 奴隷も全員解放済みなら、奴らはもう逃げてるかもしれない。だがそれでも、手がかりくらいは残るはずだ。急ごう」
「はい!」
スキンヘッドに巨大なトンカチのような武器をかついだ大男、ペデスが言う。馬車をおりた僕らは、林の中、バルグの洞窟へと急いでいた。
「あれだ!」
入り口のかがり火は二つとも消えていたが、まだかすかに煙があがっていた。
「まだ中にいるかもしれない。気をつけろ!」
大きく分厚い鎧をまとったタンクの男、ラングが先陣を切って突入した。亀のように丸い胴で道をふさぎながら階段を駆け下りて行く。攻撃を一手に引き受けられるだけの度量が背中から伝わって来た。
階段を下り切ると、僕らが捕まっていた牢屋のある広間に出る。人一人おらず、もぬけのからだった。
「くそっ、逃げられたか」
しかし、よほど焦っていたのか、地図やコンパス、酒といった残骸が散乱していた。
「まだ奥に部屋があるんだったな? ここを調べるのは後だ! 先へ急ぐぞ!!」
ペデスの言葉にラングがうなずき、奥の通路からさらにその先の部屋に突入した。
「ここから先は僕らも見てないので、気をつけてください」
「わかった!」
ラングの野太い声が返ってくる。とはいえ、ペデスとラングだけでも僕ら四人のパーティより段違いに強い。それだけの人物たちがあと十人もそろっているのだ。杞憂かもしれなかった。
通路の先はさっきの広場よりも奥行きのある大きな空間につながっていた。いくつもの牢屋が開け放たれたまま放置されており、やはり一切の人気がなかった。
こちらはものが一つも落ちておらず、閑散としていた、
「奥に扉があるな。裏口があるのかもしれない、行ってみよう」
「任せろ」
ここでもラングがためらわず先頭となり、そのあとにペデス、僕らが続く。
木の扉を突進して突き破り、戦車のように進んで行くラング。ペデスの言う通り、扉の先の階段を駆け上がって行くと、外の裏口へとつながっていた。
「止まれ」
不意に、ラングが手を横に出してペデスを止める。合わせて僕らも立ち止まる。
ラングは脇に生えていた木の枝を折ると、ぶっと息を吹きかけた。するとどこからともなく火がつき、あっというまに松明のようになった。
「すごい……」
驚く僕に、ペデスが教えてくれる。
「風と火の小魔法を息に込めるんだ。今度教えてやるよ」
「見ろ、馬車のあとが残ってる」
ラングが松明で地面を照らすと、言う通り車輪でできた無数の溝がくっきりと残っていた。
「これを追っていけば奴らの足取りもつかめるはずだ。ハルス!」
「はい!」
ラングの言葉に答えたのは白髪の弓使いの青年だった。ハルスは地面にしゃがみ込むと、車輪でできたみぞに手をあて、目を閉じて何事か念じ始めた。
「おぉーお……」
すると、車輪でできた溝に沿って光の線が浮かび上がった。それは南東の方角に向かって時折カーブを描きながらのびて行く。
「索敵なら任せてください」
得意げに鼻をかくハルス。
「よし、さっきの馬車で追うぞ!」
「はい!」
僕らは四人一組で四つに別れ、それぞれの馬車に乗り込んだ。
「馬車の行き先は俺が指示する。寝てないだろ? お前らは休んでろ」
ペデスの言葉に甘え、僕らは馬車の中で仮眠をとることにした。最初は揺れる床や景色に酔いそうになったが、そのうちに慣れてくると、ゆりかごのような感覚にむしろ眠気を誘われた。そうして、僕らは馬車の中で眠りに落ちたのだった。




