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異世界転生がリアルすぎる!?  作者: 全州明
一章 異世界転生編
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南の洞窟攻略4

「やるじゃない、アキヒト!」

「へへっ」

「この洞窟で上位種が出て来るのは珍しいはずなので、そろそろダンジョンの終わりが近い証拠なんだと思います。みなさん、HPの減りに注意してください」

「そういえば、ダンジョンのボスってなんなんだ?」

「確か、ボスゴブリンっていう、ゴブリンの上位種、だったはずです」

 イアンがおどおどしながら答える。

「ボスゴブリンか、手強そうだな」

「はい、近接を得意とするモンスターみたいですが、大岩を投げ飛ばしたりもしてくるみたいで、パーティバランスが重要になってくる相手らしいです」

「なるほど。相手が近接だからって、遠距離攻撃だけじゃダメってことか」

「どのみち遠距離攻撃系の職業は火力の代わりにHPや防御力が低く設定されがちだから、遠距離攻撃系の職業だけでパーティを組むのはあまりよくないらしいわよ。まぁダンジョンボス次第だけどね」

「へぇー」

 駄弁りながら奥へと進んでいく。だんだん、不思議とモンスターの数が減ってきて、戦闘よりも雑談がメインになってきたころだった。

「ストップ。曲がり角の向こうに何かいるみたいだ」

 松明の火に照らされてうごめく巨大な影が見えた。一体だけのようだが、相当に手強そうだ。マードラが両手に地図を広げて言う。

「間違いないです、この先は行き止まりなので、あれがダンジョンボス、ボスゴブリンです!」

 パーティに緊張が走る。その影のあまりの迫力に、思わず、息をのんだ。

「あれが、ボスゴブリン……」

 影だけだが、それでも、想像していたものの何倍も大きい。

「みんな、用意はいい?」

 ペティの言葉に、僕らは静かにうなずく。

「行くわよ!」

 先陣を切って飛び出すペティ。僕、イアン、マードラの順で後に続く。

 そこにいたのはーーーー

「え?」

 いや、あったのは、血を流した巨大なボスゴブリンの死体だった。

「なんだ、これ……」

「ボスゴブリン、よね?」

 そのあまりの無残な姿に、目をそらすマードラとイアン。

「死体って、転送されるんじゃないのか?」

「ううん。絶対そうってわけじゃないの。例えば、モンスター同士で殺しあったり、……あんまり考えたくはないけど、冒険者カードに登録されてないパーティが討伐した場合は、報酬も出ないし、転送されないの」

「報酬がでない? じゃあ、何のために?」

「素材が欲しくてダンジョンボスを狩る商人もいるって聞くけど、あの首かざり見て。あれがボスゴブリンのレアドロップアイテムなの。でも、それが残ってるってことは……」

「ことは? なんなんだよ」

「……帰りましょう」

 マードラが、うつむいたままきびすを返し、一人で歩き出してしまう。

「お、おい。どうしたんだよ、イアンまで」

 肩を揺さぶっても、イアンは何も言わず、マードラのあとについて行こうとする。混乱する僕の肩に、ペティの手が置かれた。

「いい? アキヒト。この世にはね、ただ純粋にモンスターの殺戮が目的でこういうことをする人がいるの。そういう人たちは大抵殺人衝動を抑えられない、レッドよ。捕まるのが嫌だから、人型モンスターを殺して発散するの。そういう人たちはいつか誰かを殺しても足がつかないように、冒険者カードに登録しない。だから死体が残るのよ」

「そんな……」

「帰りましょ。まだ近くに、これをやったやつがいるかもしれないわ」

 よくよく見れば、影がうごめいて見えたのは、松明が風にあおられて揺れているせいだった。ペティの言う通りこのボスゴブリンは俺たちの前に来た何者かの手によって、殺戮されたらしい。

「わかったよ」

 ペティのあとに続き、帰ろうとしたそのとき、

「ん?」

 ボスゴブリンの死体の奥で、確かに、物音が聞こえた気がした。


 それがなんなのか、何者なのか、今の僕には知る由もなかった。


      #


「……いったか」

 アキヒトたちが立ち去った後、ボスゴブリンの死体の裏で、ローブを被った細身の男が、裂けるような口でニヤリと笑った。

一章『異世界転生編』いかがだったでしょうか?

次章『勇者マサユキ編』では、ついに物語が動き出します!!

勇者マサユキとは誰なのか、ローブを被った細身の男の正体とは!?

お楽しみに。

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