南の洞窟攻略
「……これが南の洞窟か」
ゴウゴウと風が吹き抜ける大穴。周囲は高くそびえた崖で、上の方では木が生い茂っていた。
「モンスターの湧きは基本的にゴブリンだけみたい。巣ってわけじゃないし、この前討伐クエストがあったばかりだから、私たちでも大丈夫なはずよ! 行きましょう」
「陣形はどうしますか?」
マードラが僕に尋ねる。いつのまにかペティもイアンも僕を見ていた。
「そうだな。ペティが先頭、少し間を空けて僕、イアン、マードラの順でいいんじゃないかな?」
「なるほど。一番殺傷力の高い私が斥候ってわけね! OK」
意気揚々と進んでいくペティ。少し距離を空けてその後ろに続く。
ゴブリン達から一見ペティの独断先行に見えるはずなので、ペティに飛びかかってきたところをイアンの魔法で不意をついて安全に処理するのが無難そうだ。
初心者ルートということもあって洞窟の壁には等間隔で松明が設置されており、先を見通せるほど明るかった。
「いかにもって感じね」
先行するペティはそわそわしているようだった。
しかし今のところモンスターの気配はない。
しばらく進んでいくと、次第に道幅が狭くなり始めたところで不意に岩陰から何かが飛び出してきた。
『ヒィィィ!!』
「ゴブリンか?」
「任せて!」
緑の肌に三角の細長い耳が特徴的な小型のゴブリンだった。ペティは飛びかかってきたゴブリンの動きに合わせて逆手にもった短剣で切りつける。
『ビィーーーー!!』
ワインレッドの血を吹き出しながら断末魔をあげて倒れるゴブリン。その鳴き声が洞窟中に響き渡る。
「まずいわ。今ので仲間が駆けつけて来るかも」
「ここで囲まれたらまずい、急いで進もう!」
「そうね!」
陣形を僕、ペティ、マードラ、イアンの順に切り替え、狭い道のりを一列に駆け抜けていく。
『ヒィ!!』『ヒィィ!!』『ヒィ!!』
洞窟内が騒がしくなってきた。あちこちからゴブリンの鳴き声が聞こえる。
「なんだか、怒ってるみたい……」
イアンの言葉に、ペティが振り返る。
「当たり前でしょ! 仲間が殺されたんだから」
「ゴブリンはスライムよりも賢いですから、昨日みたいにいっぺんになだれ込んで来ることはないと思いますけど、皆さん注意してください!」
「ストップ、ゴブリンの群れだ!」
先頭を突き進んでいた僕が足を止め、ハンド・ニードルを構えると、それにならって三人もすぐに臨戦体制に入った。
『ヒィィィ!!』
ゴブリンの数は四体、棍棒をもった比較的強そうなゴブリンが先陣を切って襲いかかって来た。
「おりゃ!」
横なぎに拳を振って殴りつけると、身軽なゴブリンは左の壁まで吹っ飛んだ。
「えい!」
ひるんでいるすきにイアンが火の小魔法でとどめをさす。残り三体だ。
『ヒッ、ヒィィィ!!』『ヒィィィ!!』
おびえながらも二体同時に突っ込んできた。足の早かった右のゴブリンを右ストレートで殴りつけてふっとばす。脇を通り抜けた左のゴブリンはペティが処理してくれた。
「あと一体!」
『ヒッ、ヒィィィーーーーー!!』
「あ、くそっ」
壁際まで追い詰めようとすると、奥に逃げて行ってしまった。
「今のゴブリンが逃げた先は上級者ルートよ。どうする?」
「やめとこう」
深追いはしないことにした。




