第46話:騎士団長と手紙とグレス王国
第46話
「さあて、サンポルトの国境まではもう近いんだけど、出国手続きがまだだからねぇ。一度役所に行かないと」
立花は思い出したように言った。
「ええー結構距離ありますよね‥」
あたしはげっそりしていた。
「まあ、これはルールだから仕方がないねぇ」
立花は呟いた。
「その必要はないぞ。この手紙を持って行きなさい」
老人がいきなりあたし達の前に現れる。
「騎士団長いきなりびっくりさせないでください」
レオンは驚いた顔をした。
「おおレオン、大義だったな。あと立花くん達も我々が不甲斐ない為にすまなかった。フィリップ=デロンをよく討伐してくれた」
騎士団長の老人は頭を下げた。
「聞けば、君たちはグレス王国に行く予定とのこと、国境でこの儂、クラストからの手紙を渡せば面倒なく通過できるだろう」
クラスト老人は立花に手紙を渡す。
「いやあ、すみませんなあ。ありがたく頂戴しますよ」
立花はクラスト老人に礼を言った。
「ただ、グレス王国は現在治安が悪い。そこでだレオン、君しばらく彼らの護衛ね」
クラスト老人はレオンに命令した。
「僕が、彼らの護衛ですか?待ってください、師団長の業務はどうするのですか?」
「しばらくは、第二師団は怪我人も多いし、第一師団と合流してもらう。あと、最近グレス王国の過激派が不穏な動きをしておるらしくてな。君に探って来てもらいたい」
クラスト老人はレオンを諭す。
「騎士団長命令とあらば従います」
レオンは納得して引き下がった。
「まあ、君の戦闘力だけは期待できるからねぇ。よろしく頼むよ」
立花は、レオンに頭を下げた。
「戦闘力だけは余計だ。全く、仕事じゃなかったら付き合いたくないね」
レオンはムッとした表情をした。
「あのお、レオンさんっていつから仲間みたいな顔をしていたんですか?初対面のとき凄く悪態を突いてた意地悪な印象なんですけど」
あたしは、ずっと疑問だったことを質問した。
「……」
「まあ、色々あってねぇ。根は悪い人じゃないんだ。涼子くんも大変かもしれないが、仲良くしてやってくれ」
立花は申し訳なさそうに言った。
「はーい、立花さんがそう言うなら仲良くします。よろしくね、レオンさん」
あたしはレオンに手を差し出して挨拶した。
「ふん、別に無理に仲良くしなくていい」
そう言いながらレオンはきちんと握手はしてくれた。
「それじゃあ、人数も増えたけどグレス王国に行くとしますか」
立花はみんなに声をかけて、国境へと歩きだした。
国境までは2時間ほど山道を歩く必要があった。
道中で度々モンスターに襲われたが、レオンとニーナの兄妹の敵ではなかった。
そしてあたし達はサンポルトの国境に着いた。
「出国許可証を見せてください」
受付で立花はクラストの手紙を見せる。
「これは、クラスト騎士団長の…。失礼しました。お通りください」
受付の役人は頭を下げた。
そして、あたし達はやっと目的地のグレス王国にたどり着いた。
しかし、城下町までは少し距離がある。
遠くに見える町並みに近づくにつれて、あたしはなぜか懐かしい気持ちが抑えられなかった。
第47話に続く




