第47話:城下町と城門と夢の中
第47話
「いやあ、グレス王国には初めて来たけど城下町もおおきいねぇ」
立花は観光に来たような口振りだった。
「もう、先生あまりキョロキョロすると恥ずかしいですわ」
ニーナは立花を咎める。
「レオンさんはグレス王国に来たことあるのですか?」
あたしはレオンに話しかけた。
「ん?ああ、サンポルトとグレスは一応隣国だからな、ちょっと前まではそれなりに交流はあったんだ。まあ、今は過激派の連中が力を持ち始めていて冷戦状態だが…」
レオンはこの辺りの情勢について説明した。
「じゃあ、ヒースさんの件って…」
あたしはその話を聞いて不安になった。
「そうだな、王族親衛隊ほどの大物があれだけ隣国の領土で暴れたからな、戦争の火種になる可能性はあるな」
レオンは当然のような顔をした。
「そんな…。一大事じゃないですか」
あたしは顔が青くなる。
「君が気にすることではない。それにお互いやり合うと、ただじゃ済まないことくらい理解している。すぐに何かあることはないさ。それに僕はそうならないように騎士団長から、調査を頼まれててるからな」
レオンはあたしを安心させようとしてくれた。
「レオンさんってもっと怖い人だと思ってました。意外といい人なんですね」
あたしは本心からそう言った。
「君は僕をなんだと思っていたんだ。僕だって正義と平和のために一応戦っているんだぞ」
レオンはムッとした表情であたしに言い返した。
「だってニーナさんに酷いこと言ったじゃないですか」
あたしは反論した。
「ぐっ、あれは僕なりにあいつのことを考えてだな。まあ、ちょっと乱暴だったのは認めよう。もうニーナには謝ったんだ。それでいいだろ」
レオンは焦った顔をした。
「わかりました。もう言いませんってば」
あたしは少しレオンの反応が面白かった。
「もうちょっと行ったところに涼子くんの写真の城があるよ」
立花は地図を片手にあたし達に話しかけた。
「なんだか綺麗な場所ですわね」
ニーナは辺りの感想を漏らした。
確かに、城に近づくにつれて装飾が豪華になっていった。
「おっ、こっちが城門だねぇ」
立花は地図を見ながら曲がり角を曲がる。
そこに見えたのは写真と全く同じ城だった。
「流石に壮観だねぇ。立派なものだ」
立花は感想を漏らした
写真とは全く迫力が違っていたのであたしも思わず感嘆してため息をついた。
そして、あたしはため息と共に意識が遠くに行ってしまって、その場で倒れてしまった。
あたしは、夢の中にいた。
夢なのはすぐに気がついた。
だって母と父が二人とも居たからだ。
「ほらっ見てくれ、もう立ち上がれるようになったみたいだ」
父の声が聞こえる。
「まあ、あなたに似て逞しい子になりそうだわ」
これは母の声だろうか?
「そうか?ははっ、俺はお前に似た可愛らしい子になって欲しいけどなあ。ははっ」
父の笑い声をあげている。
「あなたったら。フフフ」
母も笑っているみたいだ。
「でも、この子もいずれ○○の力に目覚めてしまうと、あたしのように…」
母は悲しそうな表情になる。
「心配するな、そうならないように俺に考えがあるんだよ。お前もこの子も必ず守ってみせるさ」
父は写真と同じような真剣な表情になった。
「それじゃあ、行ってくる…」
そういい残して、父はどこかに歩いて行く。
あたしは追いかけようとするが、体が動かなかった。
「お父さん、どうして行ってしまうの?」
あたしは何度も父を呼んだが見えなくなってしまった。
「…子くん、涼子くん、しっかりしたまえ」
あたしを呼ぶ声が聞こえた。
なぜか凄く安心する声に感じた。
「お父さん?」
あたしは目を覚ました。
目の前には立花さんが立っていた。
「いやあ、びっくりしたよ。まあ慣れない長旅で疲れが出たのだろう。念のために、後で医者に見てもらおう」
立花は、あたしを介抱してくれたみたいだ。
「ありがとうございます。もうすっかり大丈夫です」
あたしは立花さんの顔を見て微笑んだ。
「そうかい?それならいいけど」
立花は不思議そうな顔をした。
(なんであたしが立花さんと居ると安心できるかわかった)
あたしは最近の疑問に答えが出た。
(立花さんはお父さんに似ているんだ)
気づいたら少し照れ臭い感じがした。
あたしは呑気なことばかり考えていたが、これから自分の身に起こる異変にまだ気が付いていなかった。
第48話に続く




