仕事
『取り合えず、明日から編入だからね。』
また、急な話だ。と、伸は思った。
「分かった。それで、今日の仕事はなんなんだ?準さん。」
仕事の時は、親父の事は準さんと呼んでいる。
『今日はね、とあるアーティストのライブの護衛だよ。』
準は、伸の質問に答えていながらも
その淡々とした仕事要求に、不安を覚えた。
いつか・・・足元すくわれるんではないかと。
実際準は、過去に死にかけたことが何回もある。
それほど護衛と暗殺は大変なのだ。
少しでも慣れてしまえば、すぐにやられてしまう。
慣れ=油断と、準は思っている。
準の仕事は主に護衛だが、普通の護衛とは訳が違う。
各国の要人が殆どだ。
なのであまり日本に滞在することは無い。
なので、伸がどのような仕事しているか、残念ながらあまり把握しきれていない。
確かに伸は暗殺ではなく護衛において、天才と呼ばれている。
――――昔の準のように。
『伸君?仕事に、慣れたらだめだよ。』
伸には、きっとまだ理解できない。
本当に守りたいと思った時に理解できるだろう。
と、準は思った。
実は、伸は暗殺をまだ殆ど経験したことが無い。
出来ればさせたくは無いと思う。
準はそっとポケットに手に入れて、ペンダントを握った。
いつもより冷たく感じた。
「準さん、どーいう意味で?」
『それは自分で考えなくちゃ。取り合えず10時30分に本部集合ね?
あと、ミーティング終っても、部屋に入らないで。』
そういって部屋から出て行った。
今は10時。
ライブはきっと夜からだから、それまでは、自由時間だろう。
しかし、部屋に入るなってどういう意味だ?
伸は、心なしか荷物が減っているような気がした。




