5/6
なんか、違うと思った
ある日の放課後。
「結花」
名前を呼ばれて、振り向く。
「生徒会長に告られたんだって?」
「断ったって本当?」
声を潜める。
結花は、一瞬だけ目を瞬かせて――頷いた。
「……うん」
「なんでぇ!?」
「うちの生徒会長だよ? クールでイケメンで、人気あるのに」
重なる声。
結花は、少しだけ考えてから口を開く。
「いい人なんだけど……違うんだよね」
「贅沢〜」
肩をすくめる。
「一回付き合ってみればいいのに。好きになるかもしれないじゃん」
結花は、苦笑した。
「うーん……今はいいや」
一瞬の沈黙。
友人たちが顔を見合わせる。
「結花がいいならいいけど……」
「ほんと、もったいないよね」
窓の外。
夕陽が、教室の床を長く染めていた。




