表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/51

―43―



 ひとまず、ナルハさんの安静をはかる必要があるからと、彼女をベッドに寝かせる。


「一体、なにがあったの?」


 と、エネがナルハさんに問う。


「全ては順調だったんです。ですが、第一王子が魔族と手を組んだせいで全てが狂った。そう、今は王都は魔族によって占拠されたのです」


 魔族という言葉に驚愕する。

 一体、どういうことだろうか?


「それで、ティルミお嬢様はどうなったんですか?」

「恐らく、王宮の地下に監禁されていると思うのですが。それ以上のことはわかりません」


 そう言葉を残すと、ナルハさんはすでに限界だったようで、気を失った。


「今から急いで王都に向かいます」

「気をつけください。あと、これを」


 そう言って、エネが僕に紙を手渡す。


「これは……?」

「王宮の地図。恐らく、この地図を参考すれば、ティルミ陛下を見つけやすいだろうから」


 なぜ、エネが王宮の地図を持っているか不思議だが、まぁ、スパイだし、そんなこともあるのかもしれない。


「ナルハさんとは知り合いだったんですか?」


 ふと、そう呟く。

 なんとなくエネのナルハさんに対する接し方が知り合いのそれに見えたのだ。


「それは、全てが終わってからお話したほうがいいと思う」

「わかりました」


 そう頷いた僕は外に出て〈加速〉を用いて、急いで王都に向かう。


「ティルミお嬢様、生きていてください」


 そう願いながら。





「やっと、着いた……!」


〈加速〉を使って、全力で走った。

 一秒でも速く着くことを考えて懸命に走ったが、それでも二日はかかる。


「誰もいない……」


 王都を囲う城壁に近づくが、いるはずの見張りの兵士が見当たらない。

 本来なら城壁を抜けるのに身分証を求められるはずだが、兵士がいないなら、勝手に出入りすることができるな。

 一刻も争う現状では、ありがたいことなのかもしれないけど。

 そう思いながら、僕は城壁を抜けて王都に入った。


「……は?」


 目の前の光景に絶句していた。

 まず、瓦礫の山が目に入った。

 あらゆる建物が壊されては崩れ落ちいてた。

 そして、瓦礫と一緒に死体が大量に街に転がっていた。


「なんだ、これ……?」 


 死体、死体、死体……。

 どこを歩いても死体がある。

 やけに静かだ。

 生きている人が全く見当たらない。

 嫌な予感がする。

 ティルミお嬢様が死んでいてもおかしくないじゃないのか、この状況は。

 そう思った僕は、急いで王宮が向かう。


「誰もいない」


 てっきり魔族が王宮が占拠しているのかと思っていたが、その魔族すら見当たらなかった。

 衛兵の死体は時々見つかるが、それだけだ。

 ティルミお嬢様はすでに死んでいるのではないだろうか。

 そんな予感が徐々にこみ上げてくる。

 これだけの人間が殺されていて、ティルミお嬢様だけが生き残っている状況が想像つかない。

 だから、徐々に全身から汗が流れ始めた。


「ここが地下へ続く階段か……」


 エネからもらった地図を頼りに地下へと向かう。

 そして、扉を開けた。

 部屋の中央に寝転がっている人影があった。


「ティルミお嬢様……!」


 一目見て、ティルミお嬢様だとわかる。

 そして、駆け寄る。

 立てないように手足は縛られ、口には喋ることができないように猿ぐつわをつけられている。

 傍から見るだけでは生きているか死んでいるかわからない。

 だから、心臓を鳴らしながら彼女の肌を触った。


「生きている」


 ティルミお嬢様の肌は脈打って温かかった。

 ただ、気絶しているようで意識はない。

 よかった……。

 ティルミお嬢様が生きていることに安堵する。

 涙が出そうだ。

 彼女が生きていて、本当によかった……!

 

 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ