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クラビル伯爵に戦況を聞いたところ現在、ティルミお嬢様を中心した軍勢が王都に向かって南下しているとのことだ。
そして、恐らくティルミお嬢様の軍がこの道を通ると予想されるため、ここで待ち構えているとのことだった。
今は斥候部隊の情報待ちですることがないため、比較的に自由に時間を過ごしてよいとのことだった。
「エネ、なにをしていたんですか?」
「軍の様子をうかがっていた」
ふと、エネの姿が見えたので、そう問いかける。エネも僕と同じ、クラビル軍に兵士として加入した。
「なにかわかったんですか?」
「軍の構成人数とかを確認していた。総勢3000人といったところ」
ちなみにその内訳は、貴族が100人ほどで、治癒を担当する神官が数十名ほどいて、残りは一般市民で構成されているとのこだった。
「あと、エネが気になった点は、軍隊の士気があまり高くないってこと」
詳しく聞いてみると、軍人たちの間では、現国王陛下が聖剣を持って姿を現さないのは、聖剣に認められなかった、つまり陛下が不貞によって生まれた子供で王族の血を引いてないためであり、逆にティルミお嬢様こそが真の王族で聖剣に認められる素質を持っているという噂が広がっているようだ。
そのおかげで、ティルミお嬢様に敵対心を持てない軍人が多いらしい。
恐らく、噂そのものはティルミお嬢様の陣営が意図的に広めたものだろう。
「なら、ティルミお嬢様の軍が有利ってことでいいのですかね?」
「さぁ、どうだろう? ティルミ・リグルット嬢の軍を見てないから、まだなんとも言えない」
まぁ、確かに、有利不利を判断するのは早計だったか。
「それで、どうするの?」
この「どうするの?」というのは『クラビル伯爵暗殺計画』のことだろう。
「やるとしたら戦時中の混乱しているときにやるしかないでょう」
暗殺そのものはいつでもできるかもしれない。けど、今暗殺をしてしまうと、他の軍人を全員敵に回すことになる。
流石に、三千人の軍人を敵を回すのは得策ではない。
ということを考えたら、戦時中のゴタゴタに紛れて殺すのが無難だ。
「一応、最初は僕が挑戦しますけど、もし失敗したら、頼んでもいいですか?」
「ええ、もちろん構わない。そういう契約だから」
僕には契約魔術の枷があるため、正直成功する望みは低い。
それを考えたとき、エネの協力は非常に心強い。
と、そんな時、馬に乗った兵士が遠方より現れた。
「前方より敵兵が見えました! 」
兵士の叫び声が聞こえた。
それからは慌ただしかった。クラビル伯爵の号令により兵士たちは急いで隊列をなす。
そうこうしてるうちに前方より集団が現れた。
ティルミお嬢様が率いる軍隊だ。
あの集団の中にティルミお嬢様がいると思うと、戦時中にもかからわずそわそわしてくる。
会いたいという気持ちを抑えつつ僕はクラビル伯爵の命令を仰いだ
「アメツ、お前は自由に動いていい。その魔術を使って、敵軍を可能な限り殺し尽くせ」
「はい、かしこまりました」
そう頷きつつ考える。
どうやって、クラビル伯爵を殺しやすい場所に誘導しようか。
クラビル伯爵は作戦指揮を務めるようで後衛で陣取るつもりらしい。
この場所だと味方が多いため、暗殺が難しいな。
「おい開戦したぞ!」
誰かがそう言った。
見ると両軍がそれぞれぶつかろうとしていた。
それを尻目に僕はクラビル伯爵に話しかける。
「クラヴィル伯爵、一つお願いがあるんですが」
「なんだこの忙しい時に」
クラビル伯爵は鬱陶しそうな顔で僕の顔を見る。
「実は内密にご報告したいことがありまして、人に聞かれない場所までご同行いただけると幸いなんですが」
「今の状況が分からないのか、アメツ。ここから動くことができるわけがないだろう」
クラビル伯爵はそっけなく言う。やはり殺しやすい場所に移動するのは難しいか。
だったら今やってしまうか。
僕は契約魔術によって主人に反抗しようとしたとき、激痛が全身を襲うという制約が課せられている。
そんな僕がどうやって主人を殺すつもりなのか?
別に難しいことをするつもりはない。
だって、制約が発動する前に殺してしまえばいいだけだから。
「〈光の刃〉」
そう口にして腕から光でできた刃を生成した。
あとはこれをクラビル伯爵の胴体に突き刺すだけだ。




