襤褸切れのハンカチ
「あの~、よければなんですけど…そのバスターソード握らせて貰いたいなぁなんて……」
「これか?いいぞ?」
ごとっ
重そうな音と共に目の前に置かれるバスターソード。
その柄を握り持ち上げ……られない?!
おもっっ!!!
驚いた表情をしていると
「ガハハッ魔力無しでなんかお前みたいな細いのにまともに扱えるわけないわ。
魔力を流して身体強化の効果を受けんと、とてもじゃないが持ち上がらんよ。」
元より持ち上げるのが目的じゃないやい!
魔力を流して…と
魔力を…
魔力…
「あの~すいませんどうやって流すんですか?
この田舎者に一つご教授頂けないでしょうか。」
「今までどうやって生活してきたんじゃお前は。まぁいい、体内にある、そうさなぁ、血、巡っている血を想像してみろ。」
血…ね
「そこに同じように巡っていると考えろ。
そして流したい場所に穴を開ける感覚でその穴めがけて流し出す感覚だ。」
全身を流れている血……足の先から頭の先まで
血管に巡っている血…
突如としてその感覚がリアルなものとして感じられる。
そして魔力を流し出すっ!!
この感覚っ!スゴッ!表現が難しいな。
音が物理的に触れるようになるような、地球にいたときには感じることが出来なかった物が、急に感じられる。
感覚器官が一つ増えたような感じだな。
身体強化を取得しますか?
ビンゴ!やっぱり付与された効果が現象として知覚できれば取得することが出来る!
skill魔導 開花
魔導オプションskill
魔力循環を取得。
魔力放出を取得
skill魔導 開花によりskill鑑定の効果上昇
魔法の詳細を鑑定できるようになりました。
頭が割れそうになりながら急に襲いくる情報を身体と脳が無理矢理受け止めている。
「おいっ!?大丈夫か?」
「えっ、あはいすいません。有り難うございました。」
そそくさと刀を受け取り武器屋を後にしようと扉を出るときに。
「おいっ!冒険者は危険な商売だ。
死ぬんじゃねーぞ!ワシはハンス!
また来い!一流になったら剣を打ってやる。」
有り難うございましたと頭を下げて今度こそ武器屋を後にした。
ギルドへの道中ふらつきながら思っていた。
びっくりしたぁ、なんだったんだあれは!?
魔導開花ってやつからヤバい勢いだったぞ?!
skillがきっかけで他のskillが成長することもあるのか。
慎重にとっていかないとあんなの魔物と対峙してるときだったら間違いなくスプラッターだわ。
あれこれ考えているうちにギルドに到着した。
キキィー
木のドアを開けると昨日の夜とはうってかわり、
冒険者がごった返していた。
ざわざわというよりもガヤガヤ?
とにかく静かな所ではない。
「あの~すいません。」
……無視?いや聞こえてないのか?
「あのっ!すいません!」
少し大きい声で受付に話しかけた。
「はいっ!依頼の完了報告ですか?」
「いえっ冒険者登録したいんですけど!」
「じゃあこの紙書いて持ってきて下さい!」
うわぁ雑だなぁ、忙しいのは分かるけど書き方もわからないんだから教えてくれてもよくないか?
ふと見回すとテーブルは全部埋まってるし、なんか柄悪そうだから退いてくれって言えないし……
どうしようかと辺りの様子を伺ってると、1つだけ誰も並んでないカウンターがあった。
あそこで教えてもらおう。
あの~すいませんと声を掛けようとしたら向こうから、「あっ昨日のバッツさんの!」
とカウンターを見れば昨日の受付のお姉さん。
「どうもです。昨日は遅くにすみません。
今日は冒険者登録に来たんですが……。」
と言った所で気付く。
バッツの名前が出た途端に静まり返った冒険者たちに。
ここでもバッツの名の威力をおもい知った。
「この書類の書き方を教えてもらえませんか?」
「今日はB級以上は出払ってるから最強に暇だからいいですよん。」
「ありがとうござい「おいっ!!」
えっえっえっ?!なになになに?!俺?!
キョロキョロしていると1人の図体がよく非常に柄の悪い輩が此方に向かってきている。
「お前だよお前!」
「そこは高ランク専用窓口なんだよ。
っつーかてめぇみてぇなクソガキくるところじゃねぇんだよここはよ。」
「私が許可をしました。なのでゲルスさんは関係ありません。」
「そう言うこといってんじゃねぇんだよ?」
「あのくそバッツの名前だしゃいいと思ってるやつにも腹が立つんだよっ!」
「バッツさんは関係あ「うるせぇんだよただの受付嬢がよぉ!少し黙ってろ!バラバラにすんぞくそ女がっ!」
先程まで毅然とした態度で接していた昨日の受付嬢さんは目に涙をためてうつ向いてしまった。
「泣きゃいいと思って「ウルセェなぁ」
この時もうすでに鑑定は終わっていた。
ゲルス
level 25
HP 200/200
MP 79/79
skill
剣術2
解体1
格闘2
棒術1
魔法
雷1
ライトニングアロー
雑魚かよ、よくこの程度で粋がれるな。
「聞き間違いか?俺にウルセェっつったか今?」
「聞こえなかったのか?顔の両脇についてるのは飾りか?」
「ただの自殺志願なら言ってくれりゃあ格安で殺してやるよ。」
「可哀想に、女性を威圧して汚い言葉を浴びせるのが冒険者の仕事なのか?」
俺は受付嬢に向き直り、声を掛けた。
「申し訳ありません、俺のせいで。
ハンカチ、よければ使ってください。」
刀の手入れのためにくれたハンカチが役に立ったな。
「おいっ!!無視してんじゃねぇ。
決闘だ。練習場をあけろぉ!!
逃げることは許さねえぞガキがっ!」
「受けてはダメですよぅ!
受けたら殺されても合法となります。
絶対に受けては「うるっっせぇぇぞクソアマぁ」
「ひぃん。」
「受けよう。受けるから受付嬢さん対する暴言はもうやめろ。」
「おい、あいつ正気か?!」
「可哀想にゲルスが相手じゃぁお仕舞いだ。」
冒険者達が広めの練習場に集まっていった。
俺とこの男を中心に。




