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スキルマイスターの苦悩  作者: 水田万里
10/22

自分の力とE級ライセンス

練習場の中心でゲルスという冒険者と対峙していた。


「ルールは?」


受けたは良いが決闘なるもののルールがわからん。


「ハハハッ!ルール?死んだら敗けだよクソガキっ!」


そうなのか?負けるつもりはないが。


「そうか。わかったよ。」


実はさっきから身体強化を発動しているがこれといって変化がわからない。


もっと注ぎ込まないといけないのか?

そう思い身体を巡っている魔力をもっと身体強化skillに注ぎ込むイメージを作っていた。


低圧力じゃなく高圧力で。

そう、電気のように……さしずめ高圧ケーブルだ、ならば一切魔力を外に漏らさぬような

絶縁体に俺がならないと……。


そう思い魔力を練り上げていく。


ジジッジッ


身体からコロナ音が鳴り響き、納刀したままの刀から重さが消える。


成功だ。


「いつでもいいからかかって来いよ。」


ぶちっ!


ゲルスの我慢がキレる音が聞こえたような気がした。

「死ねぇクソガキがぁ!」


銀色の剣を振り上げる。


その時俺は困惑していた。


時間が引き伸ばされていく感覚、

相手と自分との間に生まれる時間差。


今あいつと俺では同じ時間を共有していないのではないかと錯覚するほどに。


遅い……もう100回は殺せてる。


もう……いいか…



紫電一閃


この言葉がちょうどいい。

通った後には青とも紫とも云えぬ、淡い残像と、

捨て去られたヒトをコロスという事への抵抗心だけが残っていた。


殺人という行為をなんのためらいもなくやってのける自分に、この世界では普通の事だと言い聞かせ、良心の呵責から体よく目を背け続ける。



ただ……大した感慨もなく、あっさりとその言い訳を受け入れてる自分にも驚いていた。



水を打ったように静まり返った練習場を納刀の時の『キンッ』という音だけが響き渡っていた。




「ナナシさん!」


「あぁ、受付嬢さん。」


「今、ギルマスが帰ってきたので止めて貰おうと……」

「あぁ、もう大丈夫ですよ。決闘は終わりましたんで。」

「そうなんですね!やっぱり!やらないで正解です!ナナシさんみたいなイイ人が怪我するなんて

私耐えられません!それに…さっきの御礼も…したいですし…。」


「いえ、決闘はしましたよ?

ゲルスなら向こうで0.5ずつに分身してますけど。あと、御礼なんてとんでもないです。

俺のせいでほんとスンマセン怖かったですよね。」


「0.5?あ、あのゲルスに勝ったんですか?!

嘘でしょ?!」


「君がナナシ君だね?」


「?はい、そうですが」


「私はここでギルドマスターをしているマルバというものだ。」


そこには銀髪、長髪、とんがり耳という三拍子揃っている人物が立っていた。


キレイな顔の男だな。

「そのギルマス?が俺に何か用でしょうか。」


「いや、そう警戒しないでくれ。

事の顛末は一通り聞かせてもらった。

うちの受付を守ってくれたらしいな。礼を言う」


「いえ、俺が蒔いた種ですから。」


「それでもだ。実はこの子、ティアは私の娘なんだ。娘を守ってくれたんだ、礼を言わぬわけにはいかないよ。」


娘かよっ!っつか若すぎだろお父さん?!


「あの~俺って捕まっちゃいます?」


「なぜ?」


「ゲルス真っ二つにしてしまいましたし。」


「ハハハッそんなわけはない。

今回は証人がごまんといる。決闘と認められているよ。決闘の生き死には全て不問さ。」


そうなのか。

ただ、あんなに怒ったことなど、ましてや人を殺すなんて地球にいた頃はあり得ない。


短気になったのかな?



「それよりも、今日は登録に来たんでしょ。

ちゃちゃっと済ましちゃいましょ!

あっあと、お父さんは早く仕事に戻る!

また書類の山倒れても直すの手伝わないからねっ!」


「うっ……わかったよ。ではまた、ギルドの発展のために頑張ってくれ、ナナシ君。」


「はい。失礼します。」




「はぁ、ごめんなさい。

お父さんああいう人だから。」


「いや、いいお父さんじゃないか。」


「それにしても、ナナシさんて凄い強いんだね

凄く優しいし。女の子がほっとかないでしょ?」


「勘弁してくださいよ、そんなんからっきしですよぉ。」


「ふーん。不思議ねぇ。

まぁいいわ。手続きよね。これでよし

宿泊先は……どこ?」


「あの~二つ目の十字路を右に曲がった三軒目です。」


「あー、銀の鈴ね。わかったわ。

ヨシッ!はいっ!ギルドカード。」


「えっ?俺なんにも書いてないですけど……」


「この紙は個別管理カードって書いてあるけど……ただこれを見ながらギルドカードに魔力で書き込んでるだけなの。」


「だから本当の必要事項は名前と武器、あとは魔力認証だけなの。

じゃあこのカードに魔力を流してみて?」


言われるがままカードに魔力を流す。

すると鉄の色が青一色に染まっていく。


「これはE級ライセンス。

D級に上がるとまた色が変わるんだよ?」


「そうかぁ、依頼って何処にあるんですか?」


「依頼ならあそこに張り出されてるよ!2階にもあるから欲しい依頼書があったら持ってきてね?」


「わかりました。

今日は有り難うございました。

また明日来ますね。そのときはよろしくおねがいます。」


「こちらこそ、助けてくれてありがとう。

凄く…うれしかったよ?」


一礼してギルドを出ると、急いで宿へ向かう。


確認したい、いや確認せねばならない事があったのだ。


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