新しい街
ガラガラ、ガラガラ
気味の良くない音が耳を払う
可愛いげのない振動が臀部を襲う。
徒歩でないだけありがたいと思わねばバチが当たるのだろうが、そんな余裕はない。
ミュートは、と思い顔を向けると涼しい顔をしながら馬車旅を楽しんでいる。
異世界の人間は尻が固くできているのか?そう疑いたくなるほどに余裕の表情である。
今、鏡を持っていれば、自分の顔を見て励ましてやることくらいできそうだ。
「ミュートは平気なの?この極悪な振動は」
「そりゃあんまり気持ちいいものではないけど別にナナシほどではないかな?」
「いやいや、俺も別にそこまでじゃないんだけどね?」
「その表情はまずいよ、言葉にしなくも『オシリがリーチ』状態だよ?」
ぐぐぐっ我慢だ
わざわざマルバさんが隣街まで馬車を用意してくれたのだ小言はいかん。
「ナナシさんは馬車に乗りなれてないんだね。」
ここで思い切り問い詰めたい。
なぜ可愛い愛娘を旅に同行させたのか。
「んで、なんでティアまで一緒なんだ?」
「お父さんがね、もう見聞を広めて来るのもいいだろうって送り出してくれたんだよ?」
うそつけ!!
送り出すとき半べそだったぞ!!
なんか裏取引の臭いがプンプンするんだが……
「それにぃ…転移があるからだいじょぶだし」
ん…まぁそれはそうだけど……
まぁいいか…
「あっ!!見て!見えてきたよ!!」
ミュートがはしゃぎながら馬車の窓から身を乗り出す。
「危ないから、ほら座りなさい!」
はぁ、まるで園長先生だな。
まぁ扱うのが子供じゃなくて色んな所が育っている成人女性というところが嬉しいやら悲しいやら
「はい、そこの馬車止まって!」
街門で止められる。
御者にここまででいい旨を伝え、門へと向かう。
「この街に来るのは初めてか?」
「はい。」
「私は来たことあります。レヴィのギルマスの娘のミュートです。」
そういいながら嘘発見機(仮)にさわる
するとなにも起きない。
「はい。ですが健全性のテストのために質問をさせてください。」
「あーじゃあ俺やりますよ。」
さっさと中に入りたいんだが…
「じゃあまずはあなたは人間ですか?」
「いいえ。」
玉に変化は起きず
「すみませんが人間しか入れませんじゃぁ次の方」
おいおいおい!なにそれ!嘘でしょ?
「ちょっと!ちょっとちょっと!」
「冗談ですよ。新しいの出してきますね。」
いやいや、そんなユーモアいらないから!
なにその極悪な冗談!いろいろ怖いわ!
「お待たせしましたよと。」
無事?門を通れたので良かったが、なんか釈然としない。
いちいち気にしてたらきりがない、道中長いんだ
そう言い聞かせ、宿をとるために歩き出す。




