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スキルマイスターの苦悩  作者: 水田万里
18/22

スキルマイスターの覚悟

朝からギルドは賑やかだ。

大体、依頼書を受け取り、依頼に取りかかり始める昼過ぎ位までは、この喧騒は収まらない


そんな騒がしい一階と比べ、この建物の2階にあるギルドマスターの執務室は重苦しい沈黙が漂っていた。


そんな空気を嫌がるかのようにギルドマスターである、マルバが口を開くのだった……。


「約160年ほど前になる。

魔物とは違う魔族という種族がいた。

その魔族は人やエルフ、さらにはドワーフよりも身体能力が優れている種族だった。

まぁそれぞれ種族の悪いところ、いいところたくさんあるだろうが、魔族は特に好戦的でね。

そして、人間は排他的だった。」



「そして、人間からは自身と違う血が流れているという理由で、そして魔族からは自分達の血が流れていながら身体能力を宿していないからという理由で半魔は迫害にあった。」



「そのうち半魔は魔族からは殺戮の対象に、人間はその、魔法技術をもって封印されていった。

そして半魔はその数を減らしていきそして居なくなった。共通の敵を失った人間と魔族は互いを潰し始めたのだよ。」


「身体能力を駆使し戦う魔族に対抗したのは人間の持つ力、魔術。

実際この力は凄まじい。

なんでもできた。

事実魔族の持つ身体能力を凌駕することさえ可能だった。

そんなこともあり、魔族は淘汰されていった。」



そんなことが……

ちらっとミュートの方を見ると顔が青くなっていた。


それはそうだ。この世にはもう自分と同じ血が流れている生き物が一人もいないということになる。


ミュートの片手を握る、もう一方をティアが握っていた。俺はこの子をどうしてやりたいのか、

今後考えていかなければいけない。


「もう……魔族は……この世には存在しないのですか?」


誰かが聞かなければいけないことだった。

ただミュートにこの質問をさせるのは余りにも酷だ。

なら、俺が聞こう。

俺がその重責に耐えよう。


「……その事なんだが……これから話すことは絶対に内密にしてくれ。」


「?はい。」


「魔族はこの世にはいない。……と人間は思っている。が実際はそうではない。」


「そ、そうなの?!いるの?!どこ?!」


ミュートが身をのりだし聞く。それを諫めながら、俺も疑問を口にする。


「それはどういう意味でしょう?」


「実はいまだに匿っているエルフの里を知っている。それにその魔族の話では人間に対していい感情は持っていないが、大きくなりすぎた人間の国を潰す事などできはしないと、隠れて住んでいるものが殆どだそうだ。」


ミュートの顔に活力が戻る。


「お父さんに、お父さんに会いたい!!」


「ただ…お父さんが生きている保証はないぞ?

それに、君の封印の話は聞いたが、この世の歴史を逆算していっても、君が封印されたのは少なくとも100年以上前だ。

確かに魔族はエルフ同様長命だが生きているかの判断は私の口からはできかねる。」


「それでも、それでも可能性が少しでもあるなら……捜して…みたいよぉ」


必死。一縷の望みに賭けてみたい気持ちは痛いほどわかる。なら俺は…

「どうにか場所を教えて戴くことはできませんか?連れていってやりたいんです。」


そしてその思いが儚く散ったときは側に居てやりたい、居て何が出来るかはわからない…がそんなとき人は人を欲する。


口では一人にしてと言っても心はそうじゃない寂しいものだ。

辛いなら分かち合えばいい。それが、俺がこの子にしてあげられる事じゃないのか…



「…確かに君は半魔の血だ。君にならと私は思っている。……だが近い訳じゃない。

険しい道も通るだろう。それでも行くのか?」


「それなら心配ありません。」


そうだ。俺には転移がある。スキルマイスターもある。


いや……俺が…スキルマイスターだ


これからはもっと積極的にスキルをコピーし強くなってやる。技を磨いた研鑽の日々を一瞬でコピーしてやる。






「俺が連れていきます。

この『スキルマイスター』が」


「スキルマイスター?」


「はい俺の職業です。

今決めました。

この世で最強になると。『長生きするためにいきている』?そんなのくそくらえだ。

もうそんな保守的な考え方はやめだ。

俺の近くじゃ人は涙を流さない!それほどの強さになってやる!だから……だから教えてほしい。ミュートの家族が居るかもしれない場所を。」



俺の勢いに押されたマルバさんが口を開く。


「わかったよ。そこまで言うのなら地図をやる。だが無理はするな。それは約束してくれ。

あとその里に入れるかどうかはその場所に行かなくてはわからない。保証された旅ではないぞ?」


「はい。その程度のリスク大した問題ではありません。可能性があるのならどこまでだってやってやるさ。なミュート?」


「うん、うん、うん、ありがとぉナナシ」


涙を流しながら抱きついてくる。

抱き止め、頭を撫でてやる。

ちょっと恥ずかしいけど、今はいいか…


気付けば下の階の先程までの喧騒はなくなっていた。覚悟を決めた俺の心と同じように。。。

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