ギルマスの娘と半魔の娘
絶世の小麦色美女ことミュートさんが俺の部屋にいる。先程まで俺の大きめなジャケット1枚でいたので、目のやり場に困るわ、いけない妄想トップギアだわでもう大変だったのだ。
今?いまは……
「はい、これ。体型が同じだから入ると思うけど……」
そうです。
困ったときの ティア様々です。
「助かったよティア、女の子の服なんて全然わからなくてさ。」
「ほんと驚きましたよぉ!ナナシさんを危うく軽蔑するところだったです。」
ええ!ええ!そうでしょうともよ!
頬っぺたが痛いですよ!いきなりひっぱたくことはないでしょうよ。
「いや、誤解がないならそれに越したことはないよ。頬っぺたは痛いけども。」
「うわぁん言わないでよぉ!ごめんなさいぃ
ほんとに色々思い違いが発生しちゃってぇ」
「気にしてないよ、俺の言葉が足りなかったせいもあるんだ、仕方ないよ。」
「ほんとにごめんなさい。反省します。
あっあと!半魔?でしたっけ、ごめんなさいちょっと分かりません。ギルドの図書室に通っているけどそんな言葉聞いたことないですね。」
「そう、か。まぁいいんだ。のんびり考えて見るさ、……そうだ!これから、ミュートと昼飯にでも行こうと思うんだが、ティアも一緒に行かないか?服も選んでもらったし、ご馳走させてくれ。」
「え!!いいんですか?!それはお言葉に甘えさせていただきますっ!」
酒場は流石に暫く使えないよな。
まぁ使えなくした原因を連れてきたのはこの俺なんですけど。
「ミュート、なんか食べたいものあるか?」
「僕、何でもいいよ?ナナシがエスコートして?」
そういいながら腕に絡み付いてくる。
するとなぜかもう一人が黙っていられない。
「ちょっと、ミュートさん、近づきすぎですよ!女の子なのにはしたないですよ?!」
「僕はナナシが大好きなんだ。少しも離れたくないの!」
お、お、おおぅ、どストレートなやつだな……
そんなこと言われたら色んな妄想がアンストッパブルでございますよ。
「そ…そんなこと…言ったら…私だって……」
だんだん声が小さくなってくる。
なんかモゴモゴ言ってるがどうしたんだ?
「えいっ!」そう言ってもう一方の手に絡み付いてきた。
あの~御二人とも、そんなに柔らかいゴッドマウンテンを押し付けられるとですね、普通に歩けなくなってしまいます。すると、困ります。
取り合うように腕に絡み付いてくる美女二人を従えて、腰が引けてる男は、一軒の少し古めの店に姿を消していった。
なんだこれ……
なんで両脇に座るんだこの子達
普通食事といったら対面だろうが!なぜ一列になってんだよ。
「二人とも、これじゃ食べにくくない?」
「もぅ、甘えんぼさんだなぁナナシは、大丈夫だよ僕が食べさせてあげるからね。」
「そんなこと一人に任せては置けません!私も食べさせてあげたいです。」
なぜそーなる
「私の方が先に来ましたね、はい、ナナシさんあーん!」
「あ、あーん」
ナニコレ、ナニコレ!幸せでございますよ!
「んー僕の方も!はい、あーん」
「あーん」
もはや味などどうだっていい!幸せすぎて爆発してしまいそうだ、いや、今俺は回りの客から、爆発の呪文を唱えられているだろうな。
そんな幸せな時間存分に過ごして二人にはショッピングに言ってもらった。
勿論二人にはお小遣いを渡してある。
ギキィ
壊れた自転車のブレーキみたいな音をさせ、
ギルドの扉が開く。
俺は迷わずにある部屋に行く。
ギルドマスター、そう書かれた扉の前で歩みを止める。
コンコン
「入ってくれ」
「どうも。ナナシです。」
「おー、よくきたね。そこにかけてくれ。
今、紅茶を入れよう。」
「いや、お気遣いなさらないでください。」
「丁度、一息入れようかと思っていたところなんだ、付き合ってくれ。」
「はい、ありがとうございます。」
「ふぅ、それで、今日は何かな?--ティアはやらんぞ?」
なぜそうなる
「いえ、ちょっとお伺いしたいことが……」
さっきの発言は無視だな。
「あの、マルバさんは『半魔』というのはご存知です……か」
『半魔』このワードを聞いたとたんマルバからとてつもない殺気と魔力の力であろう冷気が部屋全体を覆う。
「その言葉どこで聞いた?」
先程までとは比べ物にならないほど低く静かに聞いてきた。
俺もゆっくりと紫電を纒いながら口を開く。
「一昨日の酒場での魔物の一件ご存知ですか?」
紅茶は氷ついている、俺も紫電を発動しなかったらやばかったな。
「それは知っている。魔物も何者かが討伐したと聞いている。」
「その、魔物の口から聞きました。」
「ほう、ではなぜ君はここにいる?あのレベルの魔物などA級が複数出張る事案だ。君のような冒険者になりたてのひよっこにどうこうできるものではない。」
「そうなんですか、残念ですがあの魔物を倒したのは僕です。」
一層冷気を強めていくマルバ。
普通の人間ならば呼吸をするのもままならないほどの冷気を振り撒く元凶に、腹が立ってきたのも事実だった。
これは戦線布告だよな。
そう思いながら、紫電の出力を上げていく……
それに感づいたマルバが俺から距離を置く。
だがそれは下策だ。
飛び退いて着地するまでのあいだに39回位殺せてる。実際は殺しなどしないが。
もうこの部屋全体が俺の間合いだ。
もうマルバと俺では時間を共有していない。
ゆっくりと鯉口を切る、スラリと艶かしい八雲肌が、その身に刻んだ互の目乱れが、マルバの頸もとに吸い込まれるように流れていく。
「落ち着いてくださいマルバさん。」
びたりと当てられた刀の背と、決して目を離していない筈の人物の声が真後ろからすることに、毒気とやる気を失いドスッとソファーに腰を掛けた。
「強いな……これでも昔はA級で、ならしていたんだが…ナナシ、君の力はわかった。あの、魔物を倒したのも信用しよう。だが、その魔物に言われたからと言って、半魔という言葉が気になるというのはいささか踏み込みすぎでは?」
全部話さないとダメだよな……
そのあと
説明やら話やらで宿に帰ったのは夜遅くになってからだった。
1番必要な情報は得られなかった。いや、延期という方がただしいか。
……だが興味深い情報は得られた。
静かに部屋のドアを開ける。
すると可憐な寝顔が2つ……2つ?!?!
あららら、寝ちゃってるし、まぁいいか俺はソファーで寝るか。
流石にハイスピードでなんか起きすぎでしょこれ
ちょっと疲れたわ。
そう思いながら瞼を閉じた…




