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あるまじきコミュ障 上

今回はコミュ障(?)のお話です

俺の名前は長谷川、どこにでもいる長谷川だ。

でもあの『あり得ない耳を持つ、美少女を総取りしている、不良に見間違えられる、プリンヘアーの友達が少ない長谷川』じゃないから。あれはもはやコミュニケーションの神だ、同じ長谷川として崇拝する。


単刀直入に言おう、俺はコミュニケーション障害、略してコミュ障だ。


コミュ障とは一種の病気かもしれない、人と関わるのが下手という、絶望的な社会問題を引き起こす病気。


俺はその病気に感染した、恐らくは俺だけでは無いと思う、これは現代っ子に発症する危険な病気。俺の知り合いにも、もしかしたらいるかもしれない。


コミュ障、治す方法は……無い。俺の知っている中では無い、もしかしたらあるかもしれないが、それは確実ではないと思う。


コミュ障とは他人と関わらないから発症するのがほとんどだ。他人と関わらないから必然的にコミュニケーション能力が落ちる、小さい子が自分の考えを上手く言えないのと同じ事。コミュ障はその延長線だ。


だが俺は少々違う、俺はただ単に極度の上がり症だ。

その上がり症が俺のコミュ障たる所以。


俺は人と関わりが無い訳じゃない、関わりは人と同様にある。でも俺はそれを不意にして来た


俺は何故か知らないが人と会うと睨んでしまう性にある、話しかけて来た人全てに対し睨んで返す。

まぁこれは一種の照れ隠しなんだ、俺は恥ずかしくてまともな返しができない、だから代わりに行動で出る様になってしまった。

その行動が睨み。


そのせいで俺の周りには人がいなくなった、唯一まともに話せるのは家族ぐらいしかいない。


だから悲惨な物だったよ、俺の高校生活は。誰とも話さなかったんだから。いや言い過ぎか、先生とは話してたな。今となっては良い思いでだがな……全然よくねーよ


ちなみに俺は今大学生だ、この性格を治すためにサークルとか入ってる。まぁ孤立気味だけど。でも俺はサークルをやめない何故なら——


「ねぇ長谷川くん、ここはどうやって解けばいいのかな?」

来た、こんな俺を助けようと奮闘するサークルの人。

こんな俺にたまに話しかけてくれる数少ない人だ。

明るく振舞ってくれるのは『私には偏見はないよ』アピールなのだろう、見え透いた演技だな。

俺はやはり無言で彼女に教える、どうやって無言で教えるのか不思議だろうけど俺は彼女に教えている。

そして俺は彼女を見ない、見たら睨むから。


「ありがとう」

約20秒で教え終わった、彼女はそれだけ言うと俺から離れいつものグループに溶け込んで行く。そしてそのグループ内で何か話している。


どうせ俺の事だろうな、俺の悪口でも言ってんだろな「あの根暗男と20秒もいたよすごくな〜い?これで賭けは私の勝ちね」「もー、また負けたー、次は負けないから」みたいな食い物にされてんだな俺って。


その場にいずらくなった俺は席を立つ、ドアを開けて行く当てもなくうろちょろする。

そしてコンビニでも行こうと思いつく。

大学には購買があるんだけど俺はいかない、人と関わるのが苦手だから。睨みをきかしちゃうのは相手に悪いから。


コンビニは大学の近場にあるからすぐにつく。


ピロリンピロリン

俺がコンビニに入ると


「いらっしゃいませー」

変なイントネーションのいらっしゃいませ、このいらっしゃいませの仕方は優しそうな垂れ目おじさんだ。

見なくても分かる、だから見ない。


何買うか、パルムでも買うか。

新商品ドリアンパルム、アタリかハズレかは食ってみないと分からない。以外とチャレンジャーなのが俺だ。


ドリアンパルムを持ってレジに向かう、だけど見てしまった。


挙動不審な客を——


明らかに挙動不審だ、あれは高校生ぐらいだろうか、ひ弱そうな男の子だ。

俺はこの光景を見た事がある、まさに万引きだ。それも超ド下手な。

万引きの対象がまさかの週刊少年ジャンプ。無理あるぞ、それは。


それにしても夕方に万引きをやるとは中々やるな、結構人いるぞ。見つかってるのは俺だけだけど。


俺の予想ではこの子はやらされてやっている、まぁイジメだろうな。

この子は負けたって事だ、周りの力に。

多分外にはいじめっ子がいるんだろう、万引きがばれて捕まる様を見て楽しむ気だ。


俺は人と関わらないからイジメとかにもあった事はない、だけど見た事はある。俺はただ見てるだけだったな、まぁこれがコミュ障の利点なのかは知らんが。


俺は万引きの現場に居合わせても特に何かをする気はない、俺ができるのは睨むぐらいだ。

少年よ、見逃すから上手くやれよ。捕まったらお仕舞いだかな。


俺は万引きを見て見ぬ振りをしてレジに並ぶ、レジ打ちはやっぱり垂れ目おじさん、相変わらず優しそうだ。

でも今回はそれにプラスする事があった。

それは挙動不審、おじさん何かを気にしている風だ。

気が気でない様なそんな感じ、俺はすぐに直感する。おじさん万引きに気づいてる。


「10003円になります」

なんだ10003円って間違えてんなこりゃ。

「あのー違うと思うんですけど」

客からも指摘されてるし、どんだけおじさんまいってるんだよ。


「あっ、すいません」

そうしてまたレジ打ちをする、でもチラチラ万引き少年の方を見てる。こりゃまた間違えるな。

「10000円になります」

間違えた、同じ間違えすんなよ。


「はい、10000ですね」

え⁉10000円⁉まさかの⁉間違ってるって桁じゃなかったの⁉って事はおじさんって3円プラスしてたって事⁉ちっちゃ過ぎるだろ‼


「はい、十円からお預かりします。えー十円が………」

十円から⁉桁数おかしくない⁉めっちゃおじさん困ってるじゃん‼

そしてその客から小さく聞こえてくる声

「早く行って……」

かなり小さくボソリと言ったが俺には聞こえた、早く行って。そしてお客さんはチラチラある方向を見ている、それはあの万引き少年。


勇気がないようで少年は周りを必要以上に見回している。


そうか、この客も気づきてたんだ。しかも逃がそうとしてる、万引きを見て見ぬ振りじゃなくて、手助けしている。

このあり得ない買い物と、あり得ない10円でおじさんの目をそらそうとしている。

まぁおじさん気づいてるけどね。


「……はい、丁度お預かりしました」

おじさん早っ!どんだけ手慣れてんだよ!

その声を受けた客は

「あっ、ちょっと待って下さい、これもお願いします」

そこに置いてあった団子を出す。どんだけ少年を逃がしたいんだよ、もはや呆れるわ。

おじさんは困った風にまたレジを始める、そして挙動不審に拍車がかかっている。

どんだけチラチラ見てんだよ、もう客をほっといて止めに行けよ。


そんな俺の思いとは裏腹におじさんはレジ打ちを続行。


はぁ…おじさん……ここは客より万引きだろ、何で行かないんだよ。

そこで思いつく、もしかしておじさんって万引きを見て見ぬ振りをしようとしてる?いやいやめっちゃチラチラ見てるわ。見て見ぬ振りじゃなくて見てるわ。


じゃあ、おじさんってもしかして少年を逃がそうとしているのか?このレジ打ちもそのため?

おいおい店員が万引きを手助けとかやるなよ。

でも面白いな、客とおじさんはどっちも万引き少年を逃がそうとしている、でも二人はそれに気づいていない。面白いすれ違いだな。


ピロリンピロリン

おっ、この音がしたって事はやったか?

俺が振り向くと同時にこの二人も同様に振り向く。


「いやー、大学からのコンビニは涼しいな〜」

「本当だよね〜」

「ねぇ、新商品出たらしいよ?」

「マジで?買わないといけん」


お前らかよ‼

来たのはまさかの同じサークルの女四人集、タイミングが悪すぎる。

万引き少年が突然の介入者にびっくりしてるじゃんよ、押しとどまっちゃったよ。

彼女たちは俺には気づいてない様で、どっかに消え去る、まぁ店内のどっかにはいるだろうけど。


「「はぁ……」」

客とおじさんが安堵だか疲れてんのか分からんため息をする。

おい少年よ、お前が万引きをしようとしてるせいで困ってる人がいるんだよ、現に二人。

するんならさっさと、やらんならその週刊少年ジャンプを置いてけ。


少年はおもいとどまっている、ばれずに万引きをするか、万引きをやめてイジメられるか。

まぁ万引きはばれてます、はい。

でも見過ごすんだから早よ行け。早よ行かんとレジが進まねんだよ。


俺の後ろには人が並び始めている。

おじさんと客よ、無駄なあがきはやめな、いくら待ったって無駄だ。

客よ、ただ無駄に金を払い続けるだけだ。

おじさんよ、ただ無駄にレジ技術を使うだけだ。

俺は心で訴える、心だから聞こえる訳ないけど。


今でも客とおじさんはいたちごっこを繰り返している、その間にもレジが溜まって行く。

そして後ろから聞こえる声


「あの子万引きじゃない?」

「本当に〜?」

「ねぇ、新商品美味しいかな?」

「マジで?ヤバいじゃん」


くそっ、ばれた。何にもするなよ、空気を読め。

万引き少年は今まさに、行こうか行かないかの狭間で悩んでいる。これは時間の問題、でも今行かれたらサークルの奴らに申告される。

そしたらおじさんは行かざるを得なくなる、そしたら全てが無駄になる。


「…………やるか………」

ちなみにこれは俺が言いました、はい。

何をやるか分かるか?以外とチャレンジャーなのが俺だって事だよ。


《続く!》




上下で完結の話でした、下も近頃投稿します

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