彼女たちのゆくえ・4
まずは私とグレンの強い希望で、神殿の中庭で開催されているバザーを覗くことになった。雪鱗の神を信仰する教団そのもの、聖歌隊や近隣の託児施設など、さまざまな団体が店を構えている。
「あの矛がまさかこのように、市井の民に歓迎される日が来るとは思いもしなかった」
龍矛を模した木製のキーホルダーを手に取って、オリバーくんが微笑んだ。
「そうなの?」
「龍を殺す為だけに鋳造された、曰く付きの呪物なのだ、あれは」
「そうか。龍矛、だもんね。あんなに綺麗なのに、実用が想定されてるんだ……」
オリバーくんはキーホルダーをひとつ買うと、それを手作りしたらしい子供の頭を撫でて、賛辞を贈った。
「我が国への牽制だったのだ。かつて、ヴィズとこの王国の国境に、六華の龍と呼ばれる強力な蛇の魔物が住んでいて、互いの国を守っていたという伝説がある。表向きは、六華の龍を殺す――つまり、国の境を失くし自由な国交を結ぶことを示しているが、水面下では我が国の守護を打ち破り、貿易を支配せんという意志があったのだ」
「ええ~……そんなに深読みするの」
ここまで行動をともにして、オリバーくんについて分かったことが幾つかある。
まず、グレンも一目で気づいた通り、育ちがとても良さそうだということ。見目だけでなく、ふとした所作や教養が、およそ一般的な子供のものではない。アルスが言うには、ある程度の剣技を修めた人間の体運び……らしい。
もうひとつは、これは完全に私のみの個人的な所感だけど、恐らくジークと同じ、どストレートに正論を言って相手を折るタイプだということ。よく見ると鋭い眼光は、一瞥だけで人から異論を取り上げてしまうような威圧感がある。
それから、――ヴィズという国をとても愛しているということ。詳しいだけではなく、彼が自国の話をするとき、とても、慈愛に満ちた表情を見せる。まるで家族のようにヴィズを紹介する。
「ヴィズの王様は、よく受け取ってくれたね」
「うむ。その場で、矛を使って野性の蛇を殺して見せてやったのだ」
「そんな猛将みたいなことを」
「それもこの国の原生種をな。実に良い切れ味だった」
「スッゴイ皮肉なんじゃ……」
「後から聞き出してみれば、王国に悪意は無く、ただ若い王を試したかった、と……。あの時は悪い事をした。それもこれも、近代までの他国の評価を気にもかけていなかった旧貴族院の老が……」
それまで眉間に皺を寄せてぶつぶつ何か呟いていたオリバーくんは、はた、と、私たちの唖然に気づくと、誤魔化すように咳ばらいをひとつした。
「オホン。ともかく、そうして互いの思惑は一度白紙になったのだ。ヴィズの王はそれこそを真たる同盟の記念とし、矛を一般市民に公開するに至った、ということだ。もう二度と武器として使われることのないようにな」
「勝手に使ったのはヴィズの王様じゃ……」
「ウォッホンッゴホン、何だか今日はあれだな、寒いな、風邪かもしれん」
雪国から来てんのに?
龍矛の話題から逃げるように、別の店先に並ぼうとするオリバーくんを追いかける。さっきから私もグレンも、興味津々でオリバーくんに質問攻めをしているのだ。
「ヴィズの王様って、どんな人なの?話を聞く限りだと、うちの国王に負けず劣らず……その……元気そうな人だけど……」
オリバーくんの口から語られる、ほんの二、三年前に、新たに帝位に就いたというヴィズの新王。それこそ今まで交流のなかった私たちは、その姿さえ知らない。ちなみに我が王国アトリウムの王様は、それはそれは、エネルギッシュな人デス。好きなものはお祭りと格闘技。
「……ヴィズを革新したのは確かだ。……だが、それが正しいと証明されるのには、長い年月が必要とされるだろう」
「おお~」
「立派な意見だねえ……」
「……ただの受け売りだ」
いけないと分かっていつつも、茶化していると捉えられてもおかしくない拍手をしてしまった私に憤ることもなく、オリバーくんは静かに目を伏せた。
私たちはお土産といくつかのオヤツを手に入れて、神殿裏の賑やかな路地に進んだ。私の手には小さいケーキドーナツの箱、グレンは魔物の牙で出来た造花や、恐らくロザリーとお揃いらしいアクセサリーを購入済み。アルスは何かの串焼きとアホそうな五連吹き戻しで両手が塞がっていた。何故か歩いているだけでああいうのを貰うらしい。
言われてみればそういえばというか、アルスは外国人観光客として手厚く歓迎されているようだった。今もこうして何となく歩いているだけで、イベントスタッフと思われる制服を着た人たちに、紙でできた冠や、派手なサングラスや首飾りを手渡されては、嬉しそうに身に着けている。そのせいで、今やアルスはお祭り全身コーデが完成、浮かれすぎの権化と化している。ああいうの、あとで捨てるときに妙に冷静になるよね。
「おお。新しい挑戦者だな」
オリバーくんの視線の先では、バザーに便乗した仮設ステージで、アームレスリング大会が行われいる真っ最中だった。神殿前……いや、裏だというのに野蛮な……。
骨組みのままの武骨な舞台の上では、現在のチャンピオンらしいサイクロプスの男性が、玉座めいた豪奢な椅子にどっかり座り込んでいる。
そこへ、オリバーくんが言った通りに、王者の座を狙う挑戦者が登壇した。エルフ族の、ともすれば女性にも見紛う髪の長い小柄な男性だった。
「随分細いエルフだなぁ。すぐ決着つきそうだけど」
私もグレンと同意見だ。司会者に紹介された男性は、コンパニオンに案内されながら競技台の前に位置どる。
チャンピオンは得意げに挑戦者の対称に立って、その威厳を見せつけた。
「いや。私ならあの男に賭ける」
オリバーくんがステージから目を離さずに告げる。
「俺もそう思うぜ」
訝しむ私たちの横で、アルスが不敵に笑った。
中央でレフェリーが試合開始の合図を出し、さあ、と誰もが息を呑んだ――そのときには、もう決着がついていた。
エルフの男性は利き腕をヒラヒラさせて賞金と賞品をかっぱらって行くと、理解の追いついていないギャラリーを振り切って、人混みへ消えてしまった。
やや遅れて、司会者の掛け声によってようやく人々は嵐のような歓声と拍手をステージへ送ったのだった。
「ほ……ほんとに勝っちゃった……!」
唖然とする私とグレンを差し置いて、アルスとオリバーくんは、だから言っただろうと得意げに周囲の人に自慢している。賭けとけばよかったなあ、じゃないよ……。
男子二人に呆れてステージから目を背けると、今度は別の場所のイベント告知と思われるポスターが配られているのに気づいた。
私はいやに派手なそれを、受け取った人の手元を盗み見るように確認した。
「第二特設ステージ、大声大会……」
「便乗できれば何でもいいんだな」
「ジークくんがいたら優勝できそう」
「確かに」
で。
どうしてもその、大声大会に出てみたいというアルスにせがまれ、私たちはオリバーくんを連れて第二ステージがあるという商店街のほうへ。
魔法的なエンチャント禁止、生の大声のみ、という条件で、何故か私の名前を叫ぶとあっさり優勝し、いくばくかの賞金と賞品のコートを貰って、アルスはさらにおめでたいオブジェクトへと進化したのだった。
他にもこの龍矛の展示――というか、同盟記念のお祭り騒ぎをあれこれ観覧した私たちは、すこし人に酔ったのもあって、喧騒から離れた工房通りの裏路地を歩いていた。
このまま何となく駅まで行けば、今日はお開きという感じかしらね。
相変わらず私とグレンはお土産だらけ、アルスはもはやどこかのシャーマンの部族長のような混沌とした格好で、オリバーくんはそれらに文句も言わずただ観察するようについてきている。
「そういえば……アルス。貴方も、異国人だろう?見かけない格好だが、故郷はどこだ」
「俺?幻界ってとこ。知ってる?」
「ふむ……確か、新たに観測された隣次元であったか。エーテルの墓場、因果の屑籠、学者の間ではそのように認識されているそうだな」
「おお、よく知ってるじゃん」
「そうだったんだ」
魔法を学んでいる私たちよりお詳しいとは……。
「俺たち自身もよく分かってないんだけどな。地元に来てる研究者の調書を確認させてもらったら、そういう感じで纏められてるっぽい」
「ふーん……ちょっとあとで……身体の内部構造とか調べてみたいな……」
「グレンさん!?」
「いや~ほら、もし今後、患者の中に幻界人が居た時の為にさ……」
なんて他愛もない会話をしていると。
――「占いはいかがですか」
こういう場所では珍しくない。
ローブを深く被った獣人と思われる女性が、店越しに話しかけてきた。
店といっても、簡単な机に、儀式用の道具が並べられているだけだけど。傍らの看板を一目見ただけで、占い屋さんだ、とわかる風体である。
「占い?」
これもお祭りには付き物かな。観光地でつい、運試しってしたくなってみちゃうよね。
「どんな占いなんですか?」
グレンが私より一歩前に出る。……あれ。グレンこういうのに興味あったっけ?
「私は、その方の瞳を見るだけで、その方の運命を視ることができるんです。角のお嬢さん、貴女は、過去に大きな悲しみを背負っていますね」
「ふうん?」
「そこの異国人の彼は――おや。ずいぶん変わった星をお持ちで。ふふふ、こちら側の運命のなかには、貴方は存在していませんね」
「……」
――???
真偽は本人たちにしか分からないとして、ローブの占い師は、次々と私たちの運勢を指摘していく。
「ヒューマーのお嬢さんは……まあ、大変。魔に魅入られていますよ、貴女」
「まあ……そうですね……」
「どうです、詳しくお知りになりたかったら。一回五百ソルで。そこの僕も……近くでお顔を見せてもらえませんか」
「ふむ。では頼もう。釣りは要らん」
占い師に促され、オリバーくんが、私たちを押しのけるように、机の前に立った。
グレンもオリバーくんも、表面上はそこまで浮足立っているようには見受けられないのに。路地裏の占い師という風情あるシチュエーションに、実は興味津々だったりするんだろうか。
……なんて、私の見立ては甘かった。
オリバーくんの顔を覗こうとする占い師の手には――短剣が握られていた。
「アルス、剣を抜け!」
「言われなくてもっ!」
「殺すな!」
速すぎて何が起こったか正確には把握しきれなかった。
オリバーくんが短剣を構えた獣人の占い師から軽く身を躱し、体術で短剣の切っ先を素早く往なすと、今度はアルスがそれに呼応するように、得物を失った腕ごと占い師を羽交い絞めにし、首筋にミストラルを突きつけた。
「下がれッ!!」
更にもう一手、オリバーくんは私とグレンを突き飛ばした。すると、紙一重の差で、私たちが居た場所に鏃が一発二発と、降り注いだ。
「な……」
混乱してへたりこんだままの私のもとへ、追い打ちのようにバタバタと軍服姿のひとたちが走って来る姿が見えた。
「無事ですか、坊ちゃん!」
エルフの男性が先頭に立って、武器を持った屈強な獣人の軍隊を引き連れている。
――あっ。よく見れば、さっきのアームレスリングのエルフのひとだ。
「問題ない。もう一人、南の建物に狙撃手がいる」
「そっちも今追わせてる」
「全く……いい加減自分で囮になるのやめろって言ってんだろ!俺は慣れたけど周りの奴等の胃がもたねえよ。せめて影武者立てろ、影武者」
「断る。胃薬でも飲んでおけ」
「じゃーせめて敵を増やす言動を控えてくれませんかね」
軽妙にやり取りを交わすオリバーくんとエルフのお兄さんの足下で、私とグレンは手と手を取り合って、ひたすらに呆けていた。
開いた口が塞がらないってこと、本当にあるのね。
突然、オリバーくんが襲われたと思ったら。急にわらわらと兵隊さんが来て。まるで予定されていたかのように冷静に占い師を取り押さえている。
兵隊さんも見たことのない制服だし、私たち、これから何か良くないことにでも巻き込まれるんじゃないかと、背中に嫌に冷たい汗が伝っていくのがわかった。馴染みの無い制服、シンプルに怖い。
いや、それもだけど。
オリバーくんが服の埃を払いながら、その人たちと対等か――恐らくそれ以上の態度で話しているのが、気になるんですが。ヴィズの──というか、オリバーくんの護衛の人だろうか?
「こいつ、尋問します?」
「いいや。恐らく末端だ、碌な情報も与えられていないだろう」
「あー……じゃあとりあえず捕縛しときますね」
「うむ。ロキ総長に預けておけ。……首を晒すのは駄目か?」
「それ宣戦布告ッスね」
「そうか……」
なんか会話も猛烈に物騒だし!!
先ほどまでのオリバーくんの上品さからは窺い知れなかった大人顔負けの厳しい口調に、名状しがたい迫力さえ感じる。
「あ、あの」
私は、恐る恐るエルフのおにいさんに話しかけた。向こうでは、アルスが鎧姿の獣人さんに、占い師の身柄を引き渡している。
「あー、君たち。坊ちゃんに付き合ってくれてどうもな」
「は、はあ……」
「やっぱりお坊ちゃんだったんだ……」
「……あー……まあ。そうな。一応身元、確認してもいいかな」
そ、そうなりますよね。私とグレンは言われるがまま、ヘルメスの学生証を提示した。
エルフのお兄さんは学生証に軽く目を通すと、側に控えている角族の女性と二、三言葉を交わし、「どうもね」とこれまた軽く、すぐに学生証を返してくれた。
「君は?」
「へ?」
エルフのお兄さんはアルスを振り返った。
「身分証明できるものとか」
「うーん……」
色々身に着けているわりに、自分の私物は無いのねアルス。彼は困ったように首を捻っていた。
「あ、無いならいいや。三人とも、怪我はないね?」
いいんかい。
「ないです……」
「ったく、一般人を巻き込むなっての」
様子を見にやって来たオリバーくんを、エルフのお兄さんが小突いた。
「結果的に無事ではないか。巻き込んでなどいない」
「へーへー」
この人たちにとっては何度も繰り返したお馴染みのやり取りのように、自然な雰囲気で会話が進んでいるけど、こっちとしては……、
「何が何だかわからないんですけど……」
最早半べそになりながら、そう呟くことしか出来なかった。
「このアホのカーネリアン坊ちゃんがね、何も知らねえフリして、自分を狙う暗殺者をここまで誘い出したってこと」
「暗殺……!?」
私たちが暮らす環境ではおおよそ耳にしない言葉だった。
もしかして彼、すごいところのお坊ちゃんどころではないのでは。
「物騒な世界で生きてるんだなぁ……」
グレンがしみじみと漏らした。そう言うしかないよね。
えっ。じゃあ、オリバーくんは最初からそのつもりで、町に紛れるために私たちに同行したいと提案してきたのだろうか。この裏路地に来たのも。計算ずくで。
「……っ」
「ザラ、しっかり」
私が目眩のようなものを覚えて立ち竦んでいると、オリバーくんに、先ほどの角族の女性が手帳を手に、淡々とした態度で耳打ちした。
「お遊びもそろそろ終わりにしていただきませんと。間もなくホワイトサロン義勇軍との会談の時間です」
「む。もうそんな時間か……」
「お車はあちらに」
「うむ。皆の者、下がって良い。引き続き警備を頼む」
オリバーくんの鶴の一声で、軍服の兵隊が一礼して路地から撤退していく。残ったのは、例のエルフの青年と角族の女性のみになった。
その光景に私たちは、固唾を呑んで大きく瞬きすることしかできないでいた。
そんな私たちに、オリバーくんが改めて向き合う。私たちは視線を彼に戻し、訳も分からずオリバーくんの言葉に耳を傾けた。
「ザラ、グレン、アルス。とても楽しい時間だった。ありがとう。もう少し貴方達と遊んでいきたいところだが――部下がこの顔だ。別れが惜しいが、すぐに行かねばならない」
「い、いや……お気になさらず……」
「この礼は必ず。貴方達は友人で、恩人だ。私は今日という日を忘れないだろう。」
オリバーくんはそう言って私たち一人ずつ握手を交わすと、角族の女性にエスコートされながら、厳めしい装甲のついた高級車に乗り込んでいってしまう。
そして、車窓から何度も私たちを振り返りながら、そのまま後に続いた青年と女性を連れ立って、装甲車の排気と共にどこかへ去ってしまった。
――まるで嵐が去った後のようだった。
お祭り騒ぎから少し離れた、隠れ家のようなノスタルジーさえ感じさせた路地裏通りには、占い師の簡素な看板だけが取り残されていて。
あとは獣人の軍隊も、高級車も、スーツ姿の少年も、何もかもが綺麗さっぱり、忽然と痕跡を消してしまった。
別れたというより置き去りにされた私たちは、先ほどから何の変化もない、魂を抜かれたような状態で、お互いの顔を見合わせた。
「何だったんだ……?」
「と、とりあえず……」
「帰ろ……っか……?」
何か壮大なドッキリだったのでしょうか。それとも、三人で同じ幻覚や夢でも見ていたのだろうか。
釈然としないまま、私たち三人は、ぼんやりと駅まで歩いたのだった。
.
.
.
後日――
私は、家のラジオで、再びオリバーくんの声を聞くことになった。
『取材班は、ヴィズの若き新王・カーネリアン陛下にお話を伺うことに成功しました!』
『カーネリアン陛下、この度の来訪で、何か印象に残ったことはございますか?』
『そうですね……。ああ。ヘルメス魔法学校の生徒の方と交流する機会がありました。とても良くして頂いて――彼らとは友人になることが出来たと思います』
「ブフォッ」
お母さんに心配されつつ、私は咳込みながら噴き出した紅茶を拭いた。
更に学校に着いてから、ヴィズの皇帝から直接、多額の寄付があったとかで――私とグレンは、詳しい話をするようにと、職員室に呼び出されたのでした。
.
.
.
.
・グレン、いつの間にかジーク組に入ってましたが、ジークが編入して噂になっていた頃に、ロザリーを介して「私達の恋の願いを叶えてくれたって?」みたいな感じで会いに来て、それ以来連中とツルんでいます。元々キョウあたりとは仲が良いのかも。その辺もそのうち明らかにしたい。
・今回出演したカーネリアン陛下は、作者の別の創作に登場する全くの同一人物です。
ヴィズはもともと獣人の剛力を生かした軍事国家で、巧みな馬上戦術を持ち略奪を繰り返す『嘆きの国』、日和見貴族たちのマウンティングフィールド『霧の国』、そして皇帝が代替わりするごとに大規模な帝位争奪戦争が起きる『鏡の国』の三つで少ない資源を巡ってばちばちぐわらぐわらいわしてた呂布もビックリ一人三国志状態でした(?)。
カーネリアンが10歳のとき、先代皇帝が病気で急逝し、待ってましたと言わんばかりに、世は群雄割拠の時代へ。
そんなところに先代の従兄弟で“嵐将”と呼ばれた騎士の息子・カーネリアンが、下馬評を利用し、傭兵や野盗をたんまり抱え、ゲリラをふっかけまくって対抗馬を殲滅、あっという間に皇帝の座に就いてしまいます。このとき実に12歳。彼を傀儡にしようと近づいてきた元老院や三国ズブズブになっていた汚職貴族たちを処刑し、腐った政治基盤をもろとも粉砕すると、更に嘆きと鏡の国の王族同士の婚姻を取り持ち、実質的に三国を平定してしまいました。当時13歳。
現在は戦こそ殆どないようですが、長年放置していた外交問題に手を焼いている様子です。現在15歳。ケネスは、唯一最初からカーネリアンが王になると信じて疑わなかった元チンピラ傭兵です。




