朝ご飯で屋台巡り。
たまには外で朝食を食べたいなぁと思うも、近くに気軽に朝食を食べられるお店がないので、家で食べる今日この頃。
美味しい朝食バイキングとか、気になるんですけどね。
ゆっくりと目を開けば映り込むのは天蓋ベッドの天井。
砂漠の朝焼けが書かれているのをぼんやりと眺める。
「お目覚めでしょうか?」
ノワールの声に返事をした。
「……よく眠れたかも」
「それはよろしゅうございました。久しぶりに家族に会えたのが良かったのかもしれません」
「そうね」
未だ隷属させている家族達だが、王都の拠点は別の人に任せて、本拠点に皆で暮らすのもいいいかもしれないと思い始めている。
勿論その際は奴隷身分からは解放する予定だ。
現在解放してもいいのだが、実は皆から心配なので、奴隷のままがいいと言われたので保留している状態だった。
特に王都で生活するに当たって、最愛の奴隷というのは最高の身分証明で、安全確保もできるらしい。
「……まぁ、どちらにしろ本拠点を決めるまでは、しばらく街を回るけどね……」
ダンジョン攻略は楽しいし、珍しいアイテムとの遭遇も外せない。
家に引き籠もる生活も好きなのだが、いざ外に出てみるとこれはこれで思っていたよりも楽しいのだ。
「何かお飲みになりますか?」
「お腹に溜まらないさっぱりしたもので、冷たいものをお願い」
「承知いたしました」
ノワールが出してくれたのは何とビネガードリンク。
ポメグラネイトン酢を炭酸で割ったもの。
「……これ、凄く美味しいわ」
「お口にあったようで、よろしゅうございます。朝の支度は彩絲が担当となっております」
「了解です」
苦笑しながら返事をする。
天蓋を持ち上げれば服を両腕に抱えた彩絲が満面の笑みを浮かべて立っていた。
「チャイナドレス? 漢服?」
「良い所取りの現代版……をそのまま作ってみたぞ」
「え? お手製なの!」
「今更そこかの。虹糸蜘蛛じゃからな。この傾向の服はほぼ糸から作っておる」
「あ、そもそもそこまでないんだ?」
「じゃな。この服も人目を引くじゃろうのぅ。妾と雪華も同系列を着るから構わぬな? お揃い、好きじゃろ」
「……見透かされてる……」
私に用意されたのは涼しげなレース生地の中華風ドレス。
トップス二枚にスカート、上着とショールで仕上げるらしい。
着方がわからないのでなすがままに着せてもらった。
見た目より軽く、肌触りも良い。
色はホワイトとブルーが中心。
細やかに刺されている刺繍は月と星。
袖口が広いのに慣れないが、頑張ろうと思える可愛らしさだった。
「妾はグリーン、雪華はピンクを着るぞ。デザインも若干違うな」
「髪型もね!」
雪華が既に完全に着替えを終えた姿でやってきた。
色が違うだけで随分と印象が変わる。
デザインは胸の下で絞るか、絞らないか程度の違いだった。
「……私、その髪型はちょっと。雪華には凄く似合うと思うけど」
「そう? アリッサにも似合うと思うけどなぁ」
「はははは……」
雪華の髪型はツインテール。
髪飾りも桜モチーフで可愛い。
私も人がツインテールなのを見るのは好きなのだ。
だが自分がやるとなると恥ずかしい。
夫が大好きだからだ!
そうですねぇ、本当にツインテールの麻莉彩は愛らしい。
私以外には見せないでいただきたい。
……こんな感じで夫はツインテールの私が大好きで、毎回大絶賛する。
なので夫がいない場所でも居たたまれない。
「私の髪型は中華風のドレスに似合う鉄板がいいなぁ」
「ツインテールは鉄板じゃ、ないか」
「ないのぅ」
言いながらも彩絲は手早くシニョンに纏めてくれた。
暑いときはこれが一番だろう。
髪飾りは月と星モチーフのものが使われる。
しゃらしゃらと揺れるタイプだったが、音は癇に障らなかった。
ブレスレットも同じ月と星モチーフ。
華奢なデザインなので、引っかけには注意したい。
「あとはこれを持ってねー」
雪華に渡されたのは中華団扇。
これは初めて見る星形。
刺繍は三日月と美しい花々だった。
「冷風が出るから気持ち良いよー」
そんな説明があったので、ゆらゆらとあおいでみる。
肌に快く感じる程度の冷風が漂ってきた。
「凄いわねぇ」
「同じ効果の物を作ったら売れそうだわ」
「少なくともこの形は珍しいでしょうね」
「効果も珍しいよ。冷気の付与ってできる種族が限られているから」
まだまだ知らないこの世界の仕様。
知るほど何故? がつきもせず浮かんでくる。
全ては知り得ないとわかっていても気になるが……今は、朝食優先だろう。
部屋から出れば、王都とは違うファッションの皆が待っていた。
誰もが可愛らしい。
フェリシアでさえも。
ズボンを好む彼女が今日は珍しくスカートを着ている。
私、彩絲、雪華のお揃いに反応した結果、そうなったと聞く。
微笑ましさに口元が緩んだ。
朝食の屋台は大きな宿の周りに多く集まるらしい。
高級宿から歩いてすぐの場所に幾つもの屋台があった。
「まぁ、どれも美味しそうですわ~」
「魚のフォーもあるとは驚いた」
「ですよね~。私はこれをいただきます」
ローレルが一番に決めていた。
魚のフォーも美味しそうだ。
私としては小さいサイズで、フォーとお粥を食べたかった。
「ささ。一口どうぞ~」
迷っているとローレルがスプーンを差し出してきた。
味見らしい。
せっかくなので、あーんをされる。
人魚にあーん。
素敵な異世界体験だ。
「あ、濃厚」
「ええ、とても美味しいですわ~。皆さんにもお勧めですの~」
「ちょ!」
ローレルは間違いなく私たちに勧めてくれた。
しかし私たちより早く反応したのは周囲にいた人々だった。
「わ!」
フェリシアのガードで突進してくる人々からは回避できた。
ほとんどが男性だ。
が、女性も数人店に群がっている。
「あら~。感想を言うときは、気をつけないといけませんわね~」
言いながらもローレルはちゃっかり魚のフォーを完食していた。
「主様。あそこの、カーウのスープが美味しそう」
「うん。野菜もたっぷり、カーウの肉もちゃんと入っているの。良質だね!」
ネイとネマが両耳にこそこそと囁いてくれる。
はい、優勝!
こんな可愛い子たちが大きな声をだしたら、先ほどの二の舞だもんね。
「ありがとう。すみません。こちらをいただけますか?」
「へ、へい。お買い上げありがとうございます。大きさはどれにいたしましょう?」
「一番小さいもので」
「お幾つ?」
振り返ると全員が手を挙げた。
「おお、大量のお買い上げありがとうございます!」
店主が手早く全員分をよそってくれた。
一番小さいサイズなので、リス族もぎりぎり持ち上げられる。
気の良い店主が心配そうに渡してくれた。
「ああ、美味しいですわ」
今度はセシリアだ。
両耳をぴるぴるさせながら大きく溜め息をついている。
あまりの美味しさについ大きな声が出てしまったようだ。
ちなみに耳が動いているのは可愛くて、溜め息は妖艶だった。
フェリシアが無言で私の腰を軽く抱えた。
「ありがとう、フェリシア」
「すみません、御主人様!」
フェリシアに抱えられた私の前でセシリアが深々と頭を下げる。
先ほど同様に、他のお客が押しかけてきたのだ。
「気持ち、わかるよ。美味しかったもんねぇ」
「はい。お野菜がたっぷり入っていて、カーウの旨味とよくあっていて、つい! 失礼しました」
「じゃあ、次はセシリアの気になっている物を教えて?」
「で、では」
まだ私たちの動向を窺っている者は多かった。
セシリアがそっと耳打ちをしてくれる。
「あちらのお粥が美味しそうです」
目線の先を見ればのぶたんの肉団子とエグックが入ったお粥のお店だった。
ジンジャーが利いてるよ! とも書いてる。
「では、あちらをいただきましょう」
「私が買ってきます」
セシリアの両肩と頭に三姉妹が乗った。
手伝うつもりらしい。
小さいサイズなら二つ持てる……かもしれない。
周囲にも声は聞こえたはずだが、一応、気は遣ってくれているようだ。
少なくとも私たちより先には買おうとしない。
「直接絡まれないだけ、マシかな」
「……そういう言葉は口にせぬ方が良いぞ」
「ごめんなさい」
彩絲に咎められた。
フラグが立ちかねないもんね。
四人が買い終わってこちらに戻るまで戦々恐々としていたが、思っていたような事態は起きなかった。
肉団子とエグックが入ったお粥はジンジャーがぴりりと利いていて大変美味しゅうございました。
柊麻莉彩 ひいらぎまりさ
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特殊装備品 *隠蔽中につき、他者には見えません。
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リゼット・バローのギルドカード
魚屋紹介状
衣類屋紹介状
称号 時空制御師の最愛
せっかくの大型連休なのに、頭痛に襲われています。
気圧かしら……諦めて鎮痛剤を飲んで、あとがひかないことを祈っておきます。
次回は、挨拶はしないで、さくっと移動です。(仮)の予定です。
お読みいただいてありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。




