久しぶりの家族団らん。
暑くなってきたのでミントスプレーを調合しました。
暑いと感じたときにぷしゅっと一吹き。
気持ちいいのです。
今年の夏は暑いらしいので、慎重に過ごしたいものですね……。
ハイタッチをしたセシリアが勢いのままノワールにこんなことを言い出した。
「の、ノワールさん! 久しぶりにノワールさんの御飯が食べたいです」
目はうるうる、耳はぴるぴる。
このところこの手の可愛いとは無縁だったので心が揺さぶられた。
ノワールが私を見る。
私は頷いて許可を出した。
テーブルには私用のハーブティーしかでていない。
「何か希望はありますか?」
「王都では食べられないものが、いいです!」
ネマがしゅたっと手を挙げた。
ノワールの料理は特別だからなぁ。
皆頑張って修行したからそれぞれ上手に作れるんだけどね。
「ではこの街で食べた物を中心にお出ししましょう」
周囲から歓声が上がる。
彩絲たちも苦笑しながら並べるのを手伝い始めた。
久しぶりに会う王都組に対して、彼女たちは優しい。
大きなテーブルに、更にいくつかのテーブルが用意され、まるでビュッフェのように品数が並ぶ。
「……相変わらず美味しそうですわ~」
「……ノワール殿の作る料理は味もさることながら、見栄えがすばらしいからなぁ。我らも見習わねば」
「そうですね!」
ローレルのどストレートな感想に、フェリシアとネルの真面目な声が続く。
セシリアは手に皿を持って開始の合図を今か今かと待ちわびている。
「ふふふ。遠慮なく食べ始めてね」
「はい!」
しかし一番に食べるのは何故かランディーニ。
何時でも素早いフクロウだ。
「……ランディーニ」
ノワールの呆れ声にも動じない。
「レチョンは普段の人数では出てこぬ料理であろう? うむ。このぱりぱり感は最高じゃぞ!」
ランディーニが真っ先に嘴を向けたのは豚の丸焼き料理。
フィリピンで有名な料理だったという記憶があった。
こちらでは初めて見る。
丁寧な切り込みが入れてあり、取れやすくしてあった。
ランディーニの咀嚼音に釣られて皆が手を伸ばす。
私も伸ばした。
「……うん。美味しいわね。見た目はあれだけど」
「高貴な方々のパーティーなどでは、頭付きを見せた後で下げて、切り分けた状態で提供いたしますね」
ノワールが説明してくれる。
迫力はあるしね。
豪華さも頭付の方があるとも思う。
「……王城と神殿からの介入がなくなったらやりたいことあるの?」
レチョンにはこれが合いますと手渡された飲み物はカラマンシージュース。
フィリピンのレモンと呼ばれているカラマンシーを使っているとのこと。
さっぱりしていて美味しい。
飲みながら皆に聞いた。
「……畑仕事。やってみたいですね」
豪快にレチョンを攻略していたフェリシアが呟く。
少し意外だった。
「あ。私もやってみたいです、畑仕事」
仲良しのネルも声を上げる。
「ドロシアさんがかなり食材に詳しくて。王都で入手しづらい野菜でも、育て方次第では自分で作れると教えていただいたのです」
ドロシアは大商人の妾だった女性だ。
引き籠もるしかなかったようだが、情報はそれなりに与えられていたのかもしれない。
「畑か……王都で借りられたりするのかしら?」
「王都でも外れに貸し出し区画があるのぅ。ただ距離があるから屋敷内に作る方が無難じゃな」
「屋敷内に、ですか?」
「うむ。それなら安全じゃ」
「野菜ダンジョンでも作るか? 適切な採取方法を守れば幼子でも入手可能だぞ」
突然会話に入り込んできたペーシュに、全員が驚きの眼差しを向ける。
当然私も向けた。
「まぁ、普通に地下畑を作ってもよいが。奥方はどちらが好ましいのだ? 」
「私はダンジョンがいいわ。美味しい物とか珍しい物が採取できそう」
「奥方らしいな。ではちょっと作ってくる」
「ぺ、ペーシュぅ?」
ペーシュの姿が消える。
どうやら王都屋敷の地下に野菜ダンジョンができるようだ。
「……アリッサ?」
「や、怒らないでってば! まさかここまで話がトントン拍子に進むとか思わないでしょ?」
「確かに」
ノワールが頷いてくれた。
ありがとう!
「幼子でも入手できるダンジョンでしたら……私も潜ってみたいですわ~」
「えーと? 個人所有のダンジョン。プライベートダンジョン! 私がそこに入れるなんて……嬉しいです」
ローレルに続いてセシリアも声を上げた。
家族しか知らない、潜れないダンジョンだもんね。
そりゃ、楽しいか。
「良質な野菜が採れるなら、それをそのまま売っても、いいの」
「そうだねぇ。料理して売るのもありだよねー」
ネマとネイはハイタッチをして更なる希望を告げてきた。
「……野菜ダンジョンで採取。採取した物をそのまま販売。もしくは加工販売、ですか」
「ドロシアも屋敷内であれば移動できるので……彼女も外へ出た気になって嬉しいと思いますわ~」
「うーん。キャンベルさんになら教えても良いかしら?」
「最愛の情報で制限がかかっているといえば問題なかろうて。野菜好きだから喜ぶじゃろうよ」
基本は家族にだけ。
あとはお茶会メンバーもいいかな?
あ、ローザリンデは駄目だね。
距離を置くんだから。
そうなるとリゼットさんも柵があるから無理っぽい。
エリスさんと柘榴、透理は大丈夫か。
透理は守護獣たちの御飯にもいいかもしれない。
エリスさんは……連絡、取れたときにでも。
狼族はそこまで野菜好きでもなさそうだし。
柘榴は美味しいトマトが採れるなら誘ってみようか……。
「できたぞ。野菜だけではどうかと思ったので、野菜三階、果物二階の計五階からなるダンジョンだ。取り扱い説明書は誰が管理する?」
家族以外の誰に許可を出すか考えていたら、ペーシュが戻ってきた。
仕事が早すぎる!
「奥方には一冊だ。読み物として読むのも面白かろう?」
「ええ、こういうの大好き。がっつり読ませてもらうわ」
「で、では。私が管理してもよろしいでしょうか?」
何かと消極的なセシリアが手を挙げる。
それだけ屋敷内で完結している場所に安堵を覚えるのだろう。
「構わぬか、奥方」
「ええ、よろしくね。セシリア」
「はい! 皆で仲良く読んだ後はしっかり管理しておきますね」
ペーシュから手渡された説明書をもらったセシリアは大切そうにぎゅっと抱き締めている。
「王都に戻ってやることが増えたのぅ」
「ダンジョンアタックは大好きよ」
「ウインドカッターで野菜のまとめ採取ができそうじゃな」
面倒な交渉事が優先なのを忘れたかのように、彩絲たちはダンジョン攻略に意欲的だ。
「普通のダンジョンとは違うぞ? まぁ、普通の畑かといえばそうでもないが」
ペーシュが悪魔的な微笑を浮かべた……気がした。
「ペーシュ殿作成の説明書をしっかり読んでから足を踏み入れるわよ」
「その方がいいな。怪我などはしないが、困っためには遭うかもしれないからな」
絶対遭うよね、それ。
「彩絲、雪華、ランディーニはどの組み合わせで行くの?」
「妾一人で王城かのぅ」
「そうねー。私とランディーニで神殿かなぁ」
「柘榴に連絡しようか?」
ふと先ほど思い出した名前を挙げてみる。
「あ、いいわね、それ。彼女がいたわ」
「面倒でもどちらにも足を運んでほしいものじゃ」
「我らだけでも大丈夫じゃが……彼女がいれば安心じゃな」
「じゃあ、早速手紙を書くわね」
以前購入しておいたレターセットを取り出す。
ついでに手紙のマナー本も出しておいた。
正式な依頼にしておいた方がいいだろう。
勿論野菜ダンジョンについても書くつもりだ。
マナー本を開いて該当箇所を読み始める私の横で、皆はわいわいと食事を楽しみながら今後の話をしている。
ペーシュもちゃっかりと話に入っていたのが意外だった。
これもリス族三姉妹効果なのだろうか。
何にせよ、好きな人たちの仲が良いのは嬉しい。
私は自然に浮かぶ微笑をそのままに、ペンを走らせ始めた。
柊麻莉彩 ひいらぎまりさ
HP ∞
MP ∞
SP ∞
スキル 鑑定∞
偽装∞
威圧∞
奪取スキル 生活魔法 育児 統率 礼節 謀略 地図
王宮料理 サバイバル料理 家庭料理 雷撃 慈悲
浄化 冷温送風 解呪 神との語らい(封印中)
ウインドアロー ウインドカッター
固有スキル 弱点攻撃
魔改造
簡単コピー
特殊装備品 *隠蔽中につき、他者には見えません。
サファイアのネックレス
サファイアの指輪
サファイアのイヤリング
特殊アイテム
リゼット・バローのギルドカード
魚屋紹介状
衣類屋紹介状
称号 時空制御師の最愛
4月から好きな作品がアニメ化されました!
今年は大好きな作品が次々とアニメ化して嬉しい限りです。
せっせと予約録画をしています。
次回は、朝ご飯で屋台巡り。(仮)の予定です。
お読みいただいてありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。




