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神に何も貰えなかった転生者、実は成長上限がありませんでした  作者: Nagiousen


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第96話 「エリナの試練」

 鍛冶屋の跡で、エリナが、カルロに、向き合っていた。


「もっと、力をつけたいです」


 エリナは言った。


「鍵として、もっと深く修行したい」


 カルロはしばらく、エリナを見つめた。


「わかった」


 カルロは答えた。


「だがその修行は、これまでとは違う。危険を伴う」


「覚悟は、できています」


 エリナは言った。


 俺は少し、心配になった。


「どんな、修行ですか」


 俺は聞いた。


「鍵の力は」


 カルロは説明した。


「マナを引き寄せる能力から、始まっている。だがその先には、マナを体の中に深く留める段階がある」


「深く留める、というのは」


 エリナが聞いた。


「大量のマナを体内に長時間、保持することだ」


 カルロは続けた。


「これは器のように、外に出すのとは違う。内側に力を、蓄積し続ける」


「危険な理由は」


 俺は聞いた。


「マナは本来、体に留まり続けるものではない」


 カルロは答えた。


「無理に留め続ければ、体に大きな負担がかかる。制御を誤れば、命に関わる可能性もある」


 俺は少し、緊張した。


「本当に、やるのか」


 俺は、エリナに聞いた。


「やる」


 エリナは、迷わず答えた。


「団長との戦いで、私はまだ自分の力を、十分に活かせなかった。もっと強くならないと」


 俺は、エリナの真剣な表情を見た。


「わかった」


 俺は言った。


「でも、無理はするな」


「わかってる」


 エリナは頷いた。


---


 修行は、翌日から始まった。

 鍛冶屋の跡でカルロがエリナに、慎重に指導を行った。


「まず、少量のマナから始める」


 カルロは言った。


「体がその負荷に慣れてから、少しずつ量を増やしていく」


 エリナが、目を閉じ集中した。


 手のひらに、光の粒が集まる。その光を体の中に引き込むように、意識を向けた。


「感じるか」


 カルロが聞いた。


「熱い」


 エリナは、少し苦しそうに答えた。


「体の中が、熱を持ってる」


「無理するな」


 カルロは言った。


「限界を感じたら、すぐに止めろ」


 しばらく続けた後、エリナが集中を解いた。


「大丈夫か」


 俺は、駆け寄った。


「大丈夫」


 エリナは、息を切らせながら答えた。


「でもこれ、思ったよりきつい」


「今日は、これくらいにしておこう」


 カルロは言った。


「毎日少しずつ、慣らしていく」


 俺はエリナの様子を、心配そうに見つめた。


---


 数日間、修行は続いた。


 エリナの体内に留められるマナの量は、少しずつ増えていった。だがその分、負荷も大きくなっていった。


 ある日の修行中、エリナが急に苦しそうにうずくまった。


「エリナ!」


 俺は、駆け寄った。


「大丈夫」


 エリナは、荒い息で答えた。


「ちょっと、無理をしすぎた」


 カルロが、素早く対応した。


「マナを、外に逃がせ」


 カルロは、指示した。


「無理に、留め続けるな」


 エリナは震える手で、マナを体の外に放出した。


 しばらくして、エリナの呼吸が落ち着いてきた。


「大丈夫か」


 俺は、聞いた。


「大丈夫」


 エリナは、少し力なく答えた。


「限界を、超えそうだった」


 俺は、カルロを見た。


「今日はもう、やめましょう」


 俺は言った。


「そうだな」


 カルロは、頷いた。


「無理は、禁物だ」


 俺はエリナを支えながら、宿に連れて帰った。


---


 その夜、俺はエリナの様子を見守った。


「本当に、大丈夫か」


 俺は聞いた。


「大丈夫」


 エリナは答えた。


「ちょっと、疲れただけ」


「無理はするなって、言ったのに」


 俺は、少し強い口調で言った。


「ごめん」


 エリナは、少し俯いた。


「でも、早く強くなりたかった」


 俺は、エリナを見た。


「気持ちは、わかる」


 俺は言った。


「でも、エリナが無理をして倒れたら、意味がない」


「わかってる」


 エリナは答えた。


「もっと慎重に、進める」


 俺は頷いた。


「焦らず、着実に」


 エリナは、少し微笑んだ。


「うん」


 俺はエリナのステータス画面を、一緒に確認した。


 エリナ Lv.8

 HP:30/30

 MP:21/21

 筋力:10 敏捷:19 魔力:17 耐久:11 知力:14

 スキル:精密投擲


 数値には、まだ大きな変化はなかった。だが内側の力は、確実に育ち始めていた。


「これからもっと、成長できると思う」


 エリナは言った。


「そうだな」


 俺は答えた。


「一緒に、成長していこう」


 窓の外を見た。二つの月が、静かに輝いている。

 エリナの試練は、まだ始まったばかりだった。


 だが俺は、その傍らで支え続けると、心に決めていた。



**次回・第97話「一族からの贈り物」**


> 旧血族のガレオンから、ゼロたちのもとに、思いがけない使者が訪れる。それは、エリナの修行にとって、大きな助けとなる、ある知識をもたらすものだった。


エリナが鍵としての力を、さらに深める修行に挑みました。無理をしすぎて、体調を崩す場面もありましたが、それでも前に進もうとするエリナの意志を、大切に描きたかったです。次回、旧血族からの思いがけない繋がりが訪れます。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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