第93話 「三日目の依頼」
試験当日の朝、俺たちはギルドの前に集まった。
ダイン、ノア、ガストン、そして、ミラ。
「準備は、いいか」
ミラが聞いた。
「大丈夫です」
俺は答えた。
三人も頷いた。
「では、出発しよう」
ミラが言った。
依頼書の内容は、街道沿いに拠点を構える、中規模の盗賊団の掃討だった。人数はおよそ二十人程度と、記載されている。
俺たちは街道を進み、目的地に向かった。
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現地に到着すると俺はまず、索敵を行った。
「気配、確認しました」
俺は言った。
「人数は」
ダインが聞いた。
俺は少し、眉をひそめた。
「予想より、多いです」
俺は答えた。
「三十人以上、います」
ミラも少し、表情を引き締めた。
「依頼書の情報と、違うな」
ミラは言った。
「どうします」
ノアが聞いた。
俺は、少し考えた。
「まず状況を、正確に把握しましょう」
俺は言った。
「数の差が想定より大きいなら、戦い方も変える必要があります」
俺は木々の陰から、盗賊団のアジトの様子を確認した。
アジトは以前見たラーダ団のものより小規模だったが、周囲の警戒は厳重だった。
「見張りの配置を、確認しました」
俺は言った。
「正面に二人。裏手に一人」
「正面から突入するのは、無謀だな」
ガストンが言った。
「そうですね」
俺は答えた。
「まず見張りを、静かに無力化する必要があります」
俺は、三人を見た。
「ノアさん、遠距離から正面の見張り二人を、同時に無力化できますか」
俺は聞いた。
「試してみます」
ノアは答えた。
「ダインさん、俺と一緒に裏手の見張りを対処しましょう」
俺は続けた。
「ガストンさんは突入の際、前衛をお願いします」
三人はそれぞれ、頷いた。
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作戦は、順調に進んだ。
ノアの矢が正面の見張り二人を、同時に静かに無力化した。俺とダインは裏手の見張りを、素早く制圧した。
だが、アジトの中に踏み込んだところで、状況が変わった。
三十人以上の盗賊たちが想定以上に、統率された動きを見せ始めた。
「予想と、違う」
ガストンが、警戒しながら言った。
俺は盗賊たちの動きを、観察した。
単なる寄せ集めの集団ではない。訓練された統率の取れた動きだった。
「これは」
俺は少し緊張しながら、言った。
「普通の盗賊団じゃ、ないかもしれません」
その時、盗賊団の中から、一人の男が前に出た。
「よく、気づいた」
男は言った。
「私たちは、ただの盗賊団ではない」
俺は、その男を観察した。
黒っぽい服。これまで見てきた無冠の関係者とは、少し雰囲気が違った。
「あなたは」
俺は聞いた。
「私たちは」
男は答えた。
「王国のある派閥に、雇われている」
俺は、少し驚いた。
「王国の派閥、というのは」
俺は聞いた。
「詳しくは、話せない」
男は答えた。
「ただお前が、始祖の器であることは知っている。私たちの雇い主が、興味を持っているのでね」
ミラが緊張した表情で、俺に目配せをした。
これは想定していた試験の範囲を、超えているのかもしれない。
「ミラさん」
俺は、小声で言った。
「この状況、試験を中断すべきかもしれません」
「いや」
ミラは、静かに答えた。
「これもBランクとして、対応すべき状況だ。だが、無理はするな」
俺は、ダイン、ノア、ガストンを見た。
「連携を崩さずに、対処しましょう」
俺は言った。
「相手の実力を、まず見極めます」
三人は頷いた。
俺たちは統率された相手との、初めての本格的な戦闘に、突入しようとしていた。
王国のある派閥。その言葉が頭の中で、重く響いていた。
**次回・第94話「王国内の対立」**
> 「王国の、ある派閥」という言葉の意味を、ゼロは、まだ、理解しきれていなかった。ディーンとは、違う立場の者たちが、この国にも、存在するのかもしれない。戦いの最中、その正体が少しずつ、明らかになっていく。
【あとがき】
Bランク試験、予想外の展開になりました。「王国のある派閥」という新しい要素、王国内部にも一枚岩ではない事情がありそうです。次回その正体に、少しずつ迫っていきます。
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