第91話 「新しい風」
リンネからランドルに戻って、数日が経った。
旧血族との対話は、今も続いている。ガレオンとの間で、石碑の記録を共同で管理する計画が、少しずつ形になり始めていた。
その日俺は、ギルドに向かった。
受付に着くとリナが、少し興奮した様子で俺を迎えた。
「ゼロさん、ミラ試験官から伝言です」
リナは言った。
「至急、会いたいと」
「何でしょう。わかりました」
俺は答えた。
「今、いますか」
「試験官室に、いらっしゃいます」
俺は案内されて、試験官室に向かった。
ミラが、書類を前に待っていた。
「来てくれたか」
ミラは言った。
「何か、ありましたか」
俺は聞いた。
「お前のこれまでの実績を、改めて確認していた」
ミラは言った。
「Cランクになってからの、これまでの活動記録を」
「活動記録、というのは」
俺は聞いた。
「ラグドの内乱の解決」
ミラは、指を一本立てた。
「無冠の残党、ラーダ団の壊滅。そして、最近のリンネでの旧血族との対話」
俺は、少し驚いた。
「リンネの件まで、把握しているんですか」
「王国からの報告と天秤からの情報提供が、ギルドにも届いている」
ミラは続けた。
「お前の活動が、大陸規模の様々な問題の解決に、繋がっていることは間違いない」
俺は、少し照れくさく感じた。
「それで、話というのは」
俺は聞いた。
「Bランクへの昇格試験を、提案したい」
ミラは言った。
俺は少し考えた。
「今のCランクでの活動でも、特に不自由は感じていませんでした」
俺は言った。
「それでも、実力に見合ったランクを持つことは重要だ」
ミラは続けた。
「Bランクになれば、受けられる依頼の幅も広がる。そして、王国や天秤との正式な協力関係を、築く上でも有利になるはずだ」
俺は頷いた。
「わかりました」
俺は言った。
「試験を受けます」
「よし」
ミラは、少し微笑んだ。
「試験の内容は、これまでとはまた違うものになる。心して臨んでほしい」
「どんな内容ですか」
俺は聞いた。
「Bランクの試験は」
ミラは続けた。
「実技だけでなく、判断力と指導力も問われる」
「指導力、というのは」
俺は聞いた。
「他の冒険者を率いる場面が、想定される」
ミラは答えた。
「Bランクは、単独での実力だけでなく、チームをまとめる力も求められる」
俺は、少し考えた。
「エリナも一緒に、試験を受けられますか」
俺は聞いた。
「エリナさんは、まだEランクだ」
ミラは答えた。
「Bランクの試験は、まだ早い」
俺は、少し残念に思った。
「わかりました」
俺は言った。
「一人で、挑戦します」
---
その日の夜俺はエリナに、Bランク試験のことを話した。
「すごいじゃない」
エリナは、少し嬉しそうに言った。
「Bランクになったら、もっと色んな依頼が受けられるようになるね」
「一緒に受けられないのが、少し残念だ」
俺は言った。
「私も頑張って、ランクを上げるから」
エリナは言った。
「いつか、追いつく」
「無理はするなよ」
俺は言った。
「わかってる」
エリナは、少し笑った。
俺は、ステータス画面を確認した。
ゼロ Lv.15
HP:67/67
MP:35/35
筋力:20 敏捷:24 魔力:13 耐久:17 知力:24
スキル:なし
備考欄:◇◇◇◇◇◇
Bランクへの試験。新しい挑戦が、また始まろうとしていた。
「試験は、いつですか」俺は明日、ミラに聞くべきことを頭の中で整理した。
窓の外を見た。二つの月が、静かに輝いている。
新しい風が、静かに吹き始めていた。
**次回・第92話「Bランク試験の内容」**
> ミラから、Bランク試験の詳細が告げられる。それは、実際の依頼を通じて、複数人のパーティを率いる、実践的な試験だった。ゼロは、誰と共に挑むのか。
第3章、スタートです。Bランクへの昇格試験、これまでとは違う「指導力」が問われる内容になりそうです。エリナと一緒に受けられないのは少し寂しいですが、それぞれの成長の道を、これからも描いていきます。
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